埼玉県の回転寿司事情は、首都圏の中でもかなり特殊である。海ナシ県ということも関係しているのかもしれないが、90年代半ばより「がってん寿司」と大手チェーンのせめぎ合いという様相が長く続いていた。
その後「銚子丸」が埼玉に進出、最近では「もりもり寿し」「金沢まいもん寿司」など北陸勢も参戦してはいるが、「がってん寿司」vs「大手チェーン」の構図は今も変わらない。今回は、そんな特殊事情を抱える埼玉県の厳選5店舗を紹介したいと思う。
1. グルメ回転寿司のパイオニア「がってん寿司」
埼玉県の雄、という枠を超え、日本グルメ回転寿司業界のパイオニアとして様々な回転寿司店に多大な影響を与えてきたのが「がってん寿司」だ。昨年はネットニュースサイトの「好きな回転寿司チェーンランキング」で「スシロー」を抑えて1位に輝くなど知名度も上昇しており、ますます存在感を際立たせている。
「がってん寿司」の人気に火をつけた商品が、握りのランチセット。他にも「日替わり握りランチ上(12貫)」1,408円など4種類のラインアップがあり、味、ボリューム、値段のどれをとっても文句なしと高い評価を得ている。期間限定の旬の握りセットは今食べるべきものがすべて揃っているので、特におすすめだ。
ランチ以外ではこちらがおすすめ。ほたるいか、桜えび、手剥き白えび、生にしんなど春を告げる魚が揃っているが、中でも真鯛は「がってん真鯛」と名付けブランド化されており、宇和島から活魚で配送している他、配合飼料など育て方にもこだわったオリジナルの商品だ。
春の桜鯛はさわやかな味わいがなんともなめらかで良く、湯霜造りにより皮ぎしの脂の旨味がさらに楽しめる。大手チェーンでも真鯛は鮮魚を使用しているが、こういった職人技で仕上げられるとその違いを実感できるだろう。
ちなみに「がってん寿司」には他にも3業態あるので、それぞれを簡単に説明したいと思う。
「匠のがってん寿司」
こちらは職人技を生かした江戸前寿司と創作寿司が看板の店。がってん寿司の中でも秀でた職人がしっかりとした技術で匠の味を提供している。
各寿司ダネをレモン〆、煮切り醤油、旨み〆、からすみや岩塩仕立てなど一手間加えて仕上げている。「匠のがってん寿司」のコンセプトが詰まった一皿だ。
「磯のがってん寿司」
こちらはアルコール需要を意識したサイドメニューを豊富に取り揃えた、回転寿司でゆっくりと呑みたい方にぴったりな店。
回転寿司では珍しく、自分で焼き物ができるという趣向が面白い。店内には生簀があり、貝類も生きたままで提供されているので鮮度は抜群だ。
ほとんどの方が頼むのがこちらの刺し盛り。この圧倒的なボリューム感でなんと1,000円そこそこというのだから、これはたまらない。回転寿司の本気の刺し盛りほどお得な商品はない。
「がってん寿司承知の助」
こちらは個室で楽しめる回転寿司をコンセプトにしたお店。間仕切りのある個室に寿司が流れてくるという、ちょっとした接待などにも使える仕様になっている。
王道の「がってん寿司」はもちろん、「匠のがってん寿司」や「磯のがってん寿司」など様々な利用シーンに合わせた店づくりができるのも、パイオニアならではのチャレンジ魂があるからに他ならない。安定感という点では業界随一の「がってん寿司」の次なる仕掛けに期待したい。