アテにも締めにも相応しい一品で胃もココロも満たされる

「バターチキンワインカリー」のM900円。L1,200円、S700円

ワインバーでありながら、山本さんがイチオシするメニューがカレーだ。具材はその日の食材によって、牛タンやテールなど変化があるものの、山本さんが魅せられたのが「バターチキンワインカリー」。

チキンは前日からヨーグルト、ショウガ、ニンニクでマリネし、ルゥはスパイスから仕込む本格派。クミンやコリアンダーなど基本のスパイスの他、バター、ハチミツ、チキンストックに加え、豆板醤、醤油、白味噌などの隠し味もプラスしたオリジナリティあふれるレシピ。

一口目はほのかに甘さが広がり、あとからじわりと辛さが広がる

ライスはこの日はターメリックライスだが、こちらもカレーの内容によりショウガご飯など相性を考えた組み合わせに、その都度変更される。付け合わせの自家製ピクルスやラペも口直しに心地よい。

 

山本憲資

スパイスの刺激だけでなく、隠し味を含めた複雑な味わいがたまりません! 不思議とワインにも合うのはお見事です。

「できるだけ健康的でナチュラルな料理を心がけている」と語る山形さん

「加えるワインは具材によって赤、白、ロゼなど異なります。あくまでワインとの相性を考えて味付けしています」と料理担当の山形さん。料理は独学ながら、お店で提供する約20種類のメニューは、ほとんどが手作りにこだわって調理している。

爽やかな山椒の刺激がもう一杯のワインへと誘う

「山椒キーマカレーがけそばトマトチャツネと(パクチーあり)」1,300円

昨今のコロナ禍において、神戸の有名飲食店店主ら数人が集い結成されたのが「神戸ラーメン研究会」。実はお二人もそちらに参加するほどのラーメン好きな一面を併せ持つ。そんなお二人が、大阪の鉄板焼き店とのイベントをきっかけに生み出した麺料理だ。

「山椒キーマカレーがけそばトマトチャツネと」は、岡山の老舗製麺所「冨士麺ず工房」の細平麺の上にキーマカレーとトマトチャツネをトッピング。好みに応じてパクチーも加えることができる。

キーマは花山椒を漬け込んだオイルと煮きった日本酒、オイスターソース、ハチミツなどを挽き肉に加えたもので、実に手が込んでいる
 

山本憲資

花山椒の爽やかな刺激とオイスターソースの旨みが詰まった挽肉、トマトチャツネの優しい甘さが玉子麺によく絡み、独特のおいしさがたまりません! 締めにぴったりですが、もう一杯すっきりとした味わいのワインと合わせて楽しみます。

「料理はジャンルを問わず、なんでも好きです」という山形さん。このほかにも季節の素材を使ったキッシュなども人気だ。さらに日によっては、豚汁や粕汁なども提供し、家庭料理に飢えた単身者に喜ばれている。

「美人姉妹が営むワインバー」という話題がつい先行しがちだが、それ以上にひとつひとつ丁寧に仕込んだ料理、そして的を射たワインの提供、加えて二人の温かいもてなしが訪れる人を魅了している。それでいてハイセンスな雰囲気が、女性からも厚い支持を得ていることがよく分かるお店だ。

※価格はすべて税込です。

※本記事は取材日(2021年12月13日)時点の情報をもとに作成しました。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認ください。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

撮影:藤川満
文:藤川満・食べログマガジン編集部