【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレー#93】「スパイスカレー青藍」
2019年のカレー界を振り返ると、スパイスカレーの全国的な認知度と需要が高まったということが言えるでしょう。事実、TVや雑誌などのメディアでスパイスカレーが取り上げられる回数は各段に増えました。元々は大阪を中心に盛り上がり、広がったスパイスカレーという文化。それを定義すると色々と細かくなってきてしまうのですが、共通して言えるのは「自由である」ということ。それは作り方も自由ならお店としてのスタンスも自由であることが少なからずあり、そのひとつが「間借りカレー」という営業方法です。
普段はバーなどをやっている飲食店の空き時間を間借りしてカレーのお店を営業するというスタイルは、大阪では枚挙にいとまがないほど存在し、東京でもその数はおよそ2年前と比べると倍増したと言えるくらいに増えました。間借り営業で人気を得て、そこから独立して自分のお店を構えるという流れは既に大阪の人気カレー店でよく見られる形。そしてその形が東京でもかなり増えてきています。東京におけるその形の先駆け店と言えるのが、今回ご紹介する高円寺の「スパイスカレー青藍」です。
店主の梶田さんは子供の頃からのカレー好き。大学時代に銀座の「ナイルレストラン」のカレーを食べて衝撃を受け、さらにカレーやインド料理に傾倒するようになったそうです。学生時代から料理が趣味だったこともあり、サラリーマン時代に仲間内限定で自作のカレーを振る舞うイベントを始めたのが2014年。それが好評となり、2016年から西早稲田「ブイプラス」で月に一回「西早稲田サンデーカレーライス」というイベントをSNSで告知開催し、カレーマニアの間で話題になっていました。
そして2017年夏。遂に脱サラし、高田馬場「バル014」で2カ月限定のランチ間借りカレー営業を開始。当初はフラっと行って食べられる雰囲気だったのが、そのおいしさが一気に広まって1カ月もすると早い時間に売り切れる人気沸騰具合となりました。そこから準備期間を経て2017年11月、高円寺の今の店舗を開店。そして今は行列もできる人気店になったという、間借りカレーサクセスストーリーを完璧に歩んでいるお店です。
一皿ごとに注文が入ってからスパイスをテンパリング(スパイスの香りを油にうつす工程)したり、トッピングのチーズは自ら削りたてを出したりと、手間隙惜しまないからこそのおいしさ。シンプルにカレーライスも楽しめますが、副菜がたっぷりのった定食がおすすめです。
この日は平日限定の新メニュー「スパイシービーフカレー定食」1,300円をいただきました。ご飯少なめだと30円安くなるという配慮もうれしい限り。(写真はご飯少なめです)
開店時からのレギュラーメニューである「チキンカレー」は爽やかなスパイス感、「ポークジンジャーキーマ」は奥深い旨味が特徴なのですが、スパイシービーフはがっつりスパイシーでありながら奥深さもしっかりと感じさせる実にゴージャスなカレー! 牛肉の持つ甘味と旨味が野菜とスパイスによって膨れ上がっていて、一口食べると無意識に笑顔になるようなおいしさです。
白菜柚子切昆布や紫色キャベツ塩昆布などの、和を感じさせる副菜と一緒に食べることによってさっぱり感も得られ、刺激的でありながら優しく、濃厚でありながらさっぱりもしているという、どこをとっても死角の無い完成された一皿。素晴らしいなぁとしみじみ感じます。
既にマニアなら知らない者はいないというほどの人気店ですが、この新メニューはまだ食べていないという方も少なくないのではないでしょうか。一度行ったからといって満足せず、これを機にまた行ってみてください。行くほどに、食べるほどに理解度が深まり、新たな感動を味わえるカレーですから。そしてまだ食べたことがないという方、このおいしさを知らないままでいるのはもったいないですよ!
※価格はすべて税込