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〈食べログNo.1には理由がある!〉台湾まぜそば編
食べログのジャンル別ランキング〈台湾まぜそば部門〉で1位(2019/11/1付ランキング)に輝いた「麺 酒 やまの」へ、「ラーメン大王」であり、「食べログ グルメ著名人」でもある小林孝充さんとともに訪問。その人気の秘密に迫ります!
教えてくれる人
小林孝充(こばやし たかみつ)
1974年栃木県生まれ。『TVチャンピオン』の「ラーメン王選手権」第8回、第10回優勝。歴代ラーメン王によるラーメン大王決定戦で優勝、初代ラーメン大王に輝く。ラーメンの食べ歩きは全都道府県に及び、これまでに食べたラーメンの杯数は13,000杯以上。ラーメンに限らず、おいしいものを求めて全国を食べ歩いている。ラーメンWalker百麺人。
“名古屋めし”を東京流にアレンジ。リピートしたくなる味に
「麺 酒 やまの」は、西武池袋線・都営大江戸線の練馬駅から目白通りに向かって徒歩数分のところにある店。三鷹「鶏こく中華 すず喜/スタミナ満点ラーメンすず鬼」などを手がけるオーナーの鈴木信介(すずき しんすけ)さんが2013年4月にオープン。
「周りにラーメン店がいっぱいありますが、表通りには面しておらず半地下になっていて、ちょっと降りたところでさらにそこからもう一つ扉をくぐったところにあり、ちょっとわかりにくい。看板も、知らないで来ると『やまの』とは読めず、そのほんのちょっと隠れ家っぽい雰囲気に心をつかまれます」と小林さん。
「麺 酒 やまの」の店名の通り、夜は居酒屋的にも使うことも可能。カウンターとテーブルに並ぶ椅子は共にハイスツールのため、目線の抜けがよく、初めて訪れた人や女性でもゆっくり落ち着ける雰囲気になっています。店を訪れる層の幅広さは、そんなところにも理由がありそうです。
食べログでは台湾まぜそば部門の1位であり、「食べログ ラーメン 百名店 TOKYO」2019年版にて選出されている人気店です。
小林さんも納得! ナンバーワンたる所以の注目ポイント
過去に2度ほど来店したことがあるという小林さん。「まぜそば 052」が、いわゆる台湾まぜそばにあたるメニューです。小林さんが指摘する「やまの」の「まぜそば」の重要ポイントはこの3点!
1. ぱっと見だとわかりにくいちょっと隠れ家っぽい外観と内装
2. 台湾まぜそばのなかでも異例な丁寧で美しい盛り付け 3. トッピングへの“愛と工夫” |
では、そのすごさの理由とはいったい何か? さっそく解き明かしていきます。
まぜるほどにおいしくなる、絶妙な麺と具のバランス
この店の一番人気は、なんといっても「まぜそば 052」。他に「辛いまぜそば」と、辛さが1〜5段階で選べる「タンタンまぜそば」とありますが、まずはシンプルに定番から行ってみましょう。
出された丼を眺めてみれば、小林さんの言う通り、盛り付けが丁寧! 麺がすっかり隠れるような形で具が綺麗にのっています。
「台湾まぜそばの具の基本は、台湾ミンチ(辛い肉そぼろ)、ニラ、ニンニク、卵の黄身。次に魚粉やのりなどが多いかな」と小林さん。「ミンチは台湾まぜそばの絶対条件ですね」とも。
バラエティに富んだトッピングでさらにおいしく
「ここはチーズやトロ豚(角煮)などのトッピングも人気なのが特徴です」と話す小林さん。「やまの」のトッピングには、他にもチャーシュー、半熟味玉、メンマ、ヤサイ、のり、ネギ増し、生卵が用意されています。今回、小林さんが選んだのは人気の「トロ豚」。まずは別皿で持ってきてもらいましたが、驚くのはそのボリューム感!
「トロ豚」というだけあって、トロトロに柔らかく、箸で簡単に崩せるほどの柔らかさ。麺に混ぜてもいいけれど、お店の人によれば、男性はそのまま豪快にかぶりつくことが多いそう。「味はどちらかというと甘めですね。甘辛。すごく柔らかくて、ちょっと中華風とも言えるかな?」と小林さん。ご飯にのせて食べても間違いなくおいしそうです。
よく混ぜることでさらにおいしく!
「丼が届いたら、まず最初にガッツリ混ぜるのがポイントです。下から上に、麺と具を返すようにしながら混ぜる。『15回まぜる!』という説明書きもありますが、もっと混ぜてもいいくらい。ここでにんにくが効いてくる。外さずに必ず入れたいですね」と小林さん。これによって麺に粘り気が出るうえ、卵黄の存在もあり、具と麺がクリーミーに一体化します。
小林さんによれば「台湾まぜそばはもともと激辛の台湾ラーメンを汁なしにしたものなので、辛いものが多いんです。でもここは辛さ控えめ。辛さというよりはタレの味の方が立っていますね」とのことで、思い切り頬張っても大丈夫。辛いのが好きな人は卓上のタバスコを追加して調整しましょう。また、唐辛子、昆布、鰹の厚削りが入った特製のお酢を加えると、味わいがぐっとマイルドに。
女性を中心に人気のチーズトッピングでマイルド感アップ
味をまろやかでリッチにしたければチーズトッピングを。「やまの」ではチーズを焦がして提供しています。「チーズを入れるとやっぱりマイルドになりますね。タバスコともすごく合う。洋風になりすぎず、ちゃんと元の味が感じられる絶妙のバランスですね」と小林さんも満足げ。
残ったタレには無料でもらえる“追い飯”が鉄板!
麺を食べたあとに残ったタレと具には、無料の白飯を入れて“追い飯”するのがこの店のお約束。麺でお腹一杯になったはずなのに、なぜか完食できてしまうのが不思議です。「これは旨い!」と小林さんも目を輝かせます。「ご飯もしっかり混ぜて食べたいですね。最近は油そばなど、他のまぜそばでも追い飯ができる店が増えていますが、台湾まぜそば発のブームじゃないかな」
おいしさと人気の秘密を店主に直撃!
小林さん
もともと、台湾まぜそばをやるようになったのはなぜだったのでしょう? 台湾まぜそばが名古屋の「はなび」で誕生したのが2008年。東京にはその5年後くらいに上陸したので、2013年オープンのこの店は、東京ではかなり早い方だったんじゃないでしょうか。
店主・西村さん
うちのオーナーの恩師が愛知県の出身で、その方は既に亡くなっているのですが、その方への恩返しとして何かしたいと考えたことがきっかけ。当時、台湾ラーメンは既にブームでしたが、台湾まぜそばは東京になかったので、挑戦してみようと考えたようです。
小林さん
台湾まぜそばでは、ざるのなかで麺を混ぜることで敢えて麺を傷つけて粘り気を出し、タレの絡みを良くしていますよね。それはやっていない?
店主・西村さん
湯切りのときに何回かは混ぜていますが、そこまで傷つけるようなことはしていません。あんまり混ぜすぎると麺がバラバラになってしまうので。そのぶん、トロッとした感じを出すために、タレの中に米粉を加えています。
小林さん
麺はどこのものを使っているのですか?
店主・西村さん
三河屋製麺のちぢれ麺を使っています。
小林さん
ほか、「やまの」ならではの、他の店とはここが違う!という工夫やこだわりはどこにありますか?
店主・西村さん
東京で出すにあたって、挽肉やタレの味付けは東京向けに。辛さを出すために韓国唐辛子と一味を使っていますが、辛さは控えめにして、辛いものが苦手という人にも楽しんでもらえるようにしています。あとは店の雰囲気。居酒屋的にお酒も楽しんでもらえるように、ちょっとごちゃごちゃした店内の雰囲気作りにはこだわりましたね。