〈2019 食通が惚れた店〉

平成から令和へと元号が変わった2019年。外食シーンにおいても、新しい時代の幕開けを感じさせる飲食店や、グルメにまつわるトピックスが盛りだくさん。そこで、グルメ情報を熟知した方々に、2019年に最も感動したお店について教えてもらいました。「2019年のNo.1」「2,000円以下のプチプラグルメ」「2020年の注目店」をそれぞれご紹介します。

 

今回は、世界一のフーディで食べログ グルメ著名人でもある、浜田岳文さんにお答えいただきました。

 

教えてくれる人


浜田 岳文
1974年兵庫県宝塚市生まれ。米国・イェール大学卒業(政治学専攻)。大学在学中、学生寮の不味い食事から逃れるため、ニューヨークを中心に食べ歩きを開始。卒業後、本格的に美食を追求するためフランス・パリに留学。外資系投資銀行と投資ファンドにてM&A・資金調達業務とプライベート・エクイティ投資に約10年間携わった後、約2年間の世界一周の旅へ。帰国後、資産管理会社(ファミリー・オフィス)社長を経て株式会社アクセス・オール・エリアを設立、代表取締役に就任。南極から北朝鮮まで、世界約120カ国・地域を踏破。現在、一年の4カ月を海外、6カ月を東京、2カ月を地方で食べ歩く。

2019年のNo.1飲食店

Q 2019年に行ったなかで、〈最も感動した飲食店〉はどこですか?

撮影:浜田岳文

A 「京味」です。

The Tabelog Award」の「Chefs’ Choice」第一回受賞者でもある「京味」ご主人の西健一郎さんは、少なくともここ30年の日本の料理界に最も大きな影響を与えた料理人でいらっしゃったと思います。その料理だけでなく、それぞれ活躍するお弟子さん達など、これほど多くのものを残した料理人は、今後生まれないかもしれません。ここ8年ほど毎月ペースで通いましたが、最晩年は体力的に辛そうにしながらも、料理を前にすると背筋がピンと伸びて目つきが変わったのを思い出します。最後まで現役の料理人として感動を下さった西さんのことは、一生忘れません。

 

 

Q 2019年に行ったなかで、〈印象に残った一皿〉は?

撮影:浜田岳文

A 宮古島「エタデスプリ」の「グリーンキャビア」です。

添えられたメッセージには、「Don’t pollute the sea」。宮古島の海で現在とれるもの、失われかけているもの、そして失われたものがそれぞれ盛り込まれた3皿の構成となっています。その中で、失われたものは、ウニ。昔は普通に潜ってとれたウニが、ここ最近は禁漁になっているので、代わりに北海道のウニを用いています。その土地を表現するのにあるものを使うのは常道ですが、ないものを持ってくる手法が斬新で、かつ効果的。メッセージ性含め、心に残る一皿だと思います。

 

 

2,000円以下のプチプラグルメ

Q 2019年に行ったなかで、人におすすめしたい〈2,000円以内のプチプライスで食べられる幸せ〉は何ですか?

撮影:浜田岳文

A 六本木「蕎麦おさめ」の「玄挽きそば」です。

玄挽きなのに、細打ちで喉越しがよく、上品で優雅なそばだと思います。そば本来の風味が十分強いので、個人的にはつゆは不要で、塩すらなくても良いと思えるくらいに完成度が高い。当初は外一だったのを最近十割にしたそうですが、食感は全く遜色なく、十割とは思えないくらいにコシがあります。この傑出したそばを、地方や郊外ではなく都心の六本木でいただけるというのも、稀有です。

 

玄挽きそば 1,200円(税抜)

 

※「食べログ」に掲載されている情報をもとに、料理名・金額を掲載しております。最新の情報はお店の方にご確認ください。

 

 

2020年 注目のお店

Q 2020年、〈注目したい飲食店〉はどこですか?

お店:pesceco/撮影:浜田岳文

A 「デスティネーション・レストラン」です。

過去、地方の名店といえば寿司や日本料理がほとんどで、西洋料理店は地元の常連さん向けの低中価格帯の店や、必ずしも食に強い関心があるとは限らない観光客を対象にした店が大半を占めていました。それが、ここ数年で状況が変わり、アクセスのよくない立地ながら、わざわざ遠方から訪れる価値のある店=デスティネーション・レストランが増えてきたように感じます。経営的には簡単なことではないと思いますが、島原「pesceco」、宮古島「エタデスプリ」、中標津「フェネトレ」など、若い世代の料理人がその地でしかできない意欲的な料理を作り出しています。2020年も、まだ知名度が十分でない地方のレストランや料理人に光を当て、大きな流れにしていく手伝いをしたいと個人的に思っています。

 

 

 

文:浜田 岳文・食べログマガジン編集部

撮影:浜田岳文