2019年11月11日、中目黒の人気店「くずし割烹おにかい」が従来のイメージにとらわれない“くずし鮨”をコンセプトに「鮨 おにかい」に生まれ変わった。賑やかな商店街のほど近くにひっそり佇む築100年の長屋の2階に、カウンター10席の小さな寿司屋が誕生した。
お店は看板もなく一見古風な住宅にしか見えないが、扉を開けると独創的な寿司屋へと続く階段が構えている。上った先には、外観からは想像できないモダンな店内が広がり、まるで大人の隠れ家のよう。
カジュアルに寿司を楽しめるように腕利きの若手職人が“くずし鮨”を生み出すこのお店は、今では予約の取れないお店として知られる「鮨 つきうだ」の姉妹店。
鮨 おにかいは、料理人と近い距離で「今日のくずしはなに？」とコミュニケーションが取れる店づくり。お酒は日本酒はもちろんのこと、イタリアワイン・ベストソムリエコンクール（JETCUP）にて優勝経験を持つ、ワインソムリエの永瀬喜洋氏監修のワインも用意されており、和食との絶妙なペアリングも楽しめるようになっている。
そんな同店の「おまかせコース」は、9,000円（税抜）とリーズナブル。この価格帯で、仕入れや季節によって変わる厳選された握り15品＋つまみ3品のネタを楽しめる。
お店の一押しメニューは3種類。そのうち1品目は、1時間煮切り醤油に漬け込んだ「マグロの赤身の漬」。こちらは良質な脂と深みのある味わいを持つアイルランド産のマグロをあえて使用。その味わいに合わせてシャリも調整するほど惚れ込んでいるそうだ。また、「お腹いっぱいになって欲しい」との思いから、シャリは大きめで握るのが特徴だ。
2品目は見た目も美しい「塩〆したブリ」。脂身の強いブリを3時間塩〆にし、仕上げに自家製の甘酢に付けた千枚漬けを重ねることで、ブリ特有の脂っぽさを感じさせない仕上がりに。さっと削りかけた柚子がほんのり香る、ここならではの逸品だ。
具材が軍艦から溢れんばかりの3品目は「煮鮟肝の軍艦巻き」。本来蒸し上げる鮟肝をあえて30分煮込み、甘くて柔らかい、まろやかなコクが特徴。鮟肝の下には奈良漬けが隠れており、鮟肝の柔らかさと奈良漬けのしゃりしゃり感が絶妙にマッチした食感も味わえる。
一押し3品に加え、同店ならではの「海老天のり巻き」も見逃せない。こちらは同じ建物の一階に構える「天婦羅 みやしろ」の揚げたての天ぷらを手巻きでいただける。「天婦羅 みやしろ」では銀シャリに天つゆで提供するところを、酢飯に穴子のツメでアレンジしたという。サクサクの衣とぷりぷりの海老が特製の甘だれと絡み合い、病みつきになる一品。
正統派のお寿司にくずしを加えた“くずし鮨”。一味違った寿司が食べたい、そんな時にはふらっと立ち寄ってみてはいかがだろうか。
