【THEご褒美スイーツ 〜知っておきたい通な店〜】

「食事と同じくらい、スイーツにも絶対手を抜きたくない!」と、日々美味なるスイーツを探し求める甘いもの好きさんにお届けする本連載。スイーツの歴史研究のみならず、製菓にも精通するお菓子の歴史研究家・猫井登さんが太鼓判を押す、ご褒美スイーツを紹介します。

〈第13回〉「だるまや餅菓子店」

暑い! 溶けてしまいそうに暑い! 暑いときのスイーツと言えば「アイスクリーム」や「かき氷」だが、気温が上がるほど、かき氷を食べたいという人が増える。気温30℃で30%超の人が、気温34℃で50%超の人が、かき氷を食べたくなると言われている。……というわけで、今回は「食べログ 和菓子・甘味処 TOKYO 百名店」にも選ばれる「天然かき氷」の名店をご紹介。

お店は十条銀座商店街にある

「だるまや餅菓子店」は、JR埼京線・十条駅からすぐの商店街、十条銀座にあるお店だ。こちらのお店で特に人気なのが、天然氷を使ったかき氷「あまおう」と「ミルク宇治」。まずは「あまおう」から。

【ご褒美スイーツその①】かき氷「あまおう」

「あまおう」1,800円

「あまおう」のシロップは、旬の時期に収穫したあまおう苺を冷凍したものを解凍して、和三盆糖を加えただけのシンプルなもの。くどさは一切なく、潔い甘さで、天然氷の味わいを引き立てている。

あまおうの果肉がたっぷり

こちらの「かき氷」はすべて、南アルプス・八ヶ岳の天然氷屋「蔵元八義」の天然氷で作られる。

透き通るような美しさが純度の高い証拠

天然氷とは、冬に自然の寒さだけで、ゆっくりと時間をかけて作った氷のことだ。水は時間をかけてゆっくり凍らせると不純物を含まない純度の高い状態となり、気泡のない透明な氷となる。冬場に作られた氷は氷室(ひむろ)に貯蔵され、夏を待つ。昭和初期には、全国に100軒近くの氷室があったが、現在残るのは数軒くらいだという。

ふわっふわの食感は天然氷ならでは

まずは、天然氷そのものを味わってみる。ジャリジャリ感は全くなく、ふわっふわ! 口に含んだ瞬間に、さぁ〜っと溶けていく。もちろん、頭のキーンもなし。すっきりと柔らかな印象で、森林の中で深呼吸をしたような爽やかさを感じる。

「蔵元八義」の水は、敷地内の80m程の井戸から汲み出しているが、八ヶ岳南麓のこの地区は名水百選「八ヶ岳南麓高原湧水群」と呼ばれ「三分一湧水」「大滝湧水」など多くの湧水がある。軟水でクセがなくて口当たりが良く、森の香りが感じられるようなすっきりとした味わいが魅力だといわれている。

【ご褒美スイーツその②】かき氷「宇治」各種

こちらのお店では、抹茶のかき氷については、宇治→特選宇治→極上宇治→別格宇治(それぞれにミルクと金時をプラス可)の4つのグレードがある。これは使用する抹茶のグレードによるもので、上のものほど、抹茶本来の甘みやうまみが強まるという。

「別格 ミルク 宇治金時」3,300円

せっかくなので、最もグレードが高い「別格」に「ミルク」と「金時」を加えた「別格 ミルク 宇治金時」を。最初から、ミルク(練乳)をかけてしまうと抹茶本来の味わいがマスキングされてしまうので、別添えでお願いする。

まずは、抹茶の部分を。最初は苦み。嫌なエグミはない。さらに奥深い複雑な味わいがやってくる。舌の奥に苦みと複雑な余韻が残る。

小豆は氷の上にも、底にもたっぷり!

今度は上にたっぷりとのせられた小豆とともにいただく。小豆のうまみのある甘みが抹茶の苦みとよく調和する。こちらの小豆も甘さは抑えられており、抹茶の味わい、ひいては氷の味わいを引き立てている。

練乳をかけて味の変化を楽しみたい

半分くらい食べ進んだところで、練乳をまわしかけてみる。まったりと甘く、味が変化。氷が爽やかなので、全体としてあっさりとした甘さだ。猛暑の折、爽やかな涼風を感じさせる、2種類のかき氷に大満足。