【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレー#143】「幸正」
カレーのおいしさにも色々ありますが、大きく二つに分けるとするならば、スパイスの合わさったおいしさと、素材の旨みによるおいしさに分かれるのではないでしょうか。もちろんその二つが融合しておいしさが深まるわけですが、どちらに重きを置くかはそのお店、そのカレーによって変わります。今週ご紹介するのは素材の旨みを追求したおいしさのカレー。新橋の「幸正」です。
JR新橋駅から徒歩5分程度。裏通りに佇む和風の建物。まさかここがカレーのお店とは思えないような外観ですが、その中に個性的なカレーがあるのです。
まず見た目からして美しい。綺麗な円形に盛り付けられたご飯の上に具材がのり、カレーがまわりを囲みます。まるでカレーの海に浮かんだご飯の島のよう。
看板メニューである「ビーフカレー」1,300円もおいしいのですが、今の時期のおすすめはブリ。ランチタイム限定の「ブリカレー」1,200円がお得なお値段となっています。
寒くなってきて脂ののったブリは必要最低限のスパイスと共に軽く焼かれ、とろけるような舌ざわり。これだけでもおいしいのですが、カレーとライスあってこそ。カレーは牛テールで取った深い旨みのスープがベースとなっており、スパイス感はやはり必要最低限と思えるもの。
しかし、だからこそ牛の旨みが前面に出て感じられるのです。ご飯が二層構造となっていて、下がターメリックライス。上がトマトライス。ターメリックライスには柑橘系の隠し味で風味付けした大根が混ざり、これが食感的にも味的にも見事な変化を生み出しています。トマトライスはカレーとターメリックライスを上手に繋ぐ手助けとなる存在。
トマトライスだけでカレーを食べ、ターメリックライスだけでカレーを食べ、最後に全部一緒に食べるとよくわかるのですが、全てにちゃんと意味があるのです。見た目だけ面白く綺麗にしたというわけではありません。このカレーにとろけるブリが合わさると、肉と魚それぞれの旨みの相乗効果が生まれて、文字通りほっぺたが落ちるような感覚。スパイス感がガツンとくるタイプではないのですが、じわじわとおいしさが身体に染み込んでいき、幸せなため息がもれてしまいます。
ランチタイムはポテトサラダとピクルスのセットが200円でつけられます。このポテトサラダもこだわりの逸品。ねっとりとした舌ざわりのポテトは3種類の芋を使用し、それぞれの味の差がわかる面白いおいしさとなっています。ピクルスの酸味がカレーに合わせても最高なので、是非セットで頼みたいところですね。ちなみに今週はポテトが1種類欠品となっていたので2種類しかありませんでしたが、事前に丁寧に説明があり、その分お値段も少し安くなっていたので問題はありません。
新しいカレーがどんどん生まれ、個性あるカレーも増えてきた中でも、このカレーは文字通り唯一無二のおいしさ。いわゆるカレーマニアにはスパイスの弾けるような香りが好きでカレーにハマったという方が多いので、スパイスカレーの流行以降にカレー好きになった人達にはあまり気付かれていないようなのですが、今どきのスパイスカレーが逆に苦手だという方にも安心しておすすめできるおいしいカレーであり、マニアが評価せずともしかるべき所が確かな評価をしています。今年で3年連続のミシュランビブグルマンも獲得した名店ですから。冬だからこそおいしさが増すブリのカレー。今の時期に是非!
※価格はすべて税込