今、街を歩いていてよく見かけるのが、「タピオカミルクティー」のお店に並ぶ人の大行列。お店の数もどんどん増えており、その光景を見かける頻度が多くなっていることを感じている人も多いことでしょう。なぜ人々はこれほどまで、タピオカに魅了されるのか?

 

そこで今回は、これまで日本で3回も起きたといわれるタピオカブームの歴史を、連載「スイーツ探訪」でお馴染み、お菓子の歴史研究家・猫井登さんに考察してもらいつつ、タピオカミルクティーが美味しい定番ショップも教えてもらいました!

第1次〜第3次まで総ざらい! 日本に起きたタピオカブームを振り返る

【第1次タピオカブーム】平成4年(1992年):タピオカココナッツミルクが大流行!

写真:gettyimages

 

この時ブームとなったのは、現在人気となっているタピオカミルクティーとは異なり、甘いココナッツミルクに、タピオカパールと呼ばれる白い小さな粒のタピオカを入れた「タピオカココナッツミルク」と呼ばれるものでした。

 

1980年代後半は、いわゆるエスニック料理ブームで、特にタイ料理が人気となり、デザートとして供されたのが、このタピオカココナッツミルクだったのです。

 

しかし、1990年代は、毎年人気スイーツが入れ替わるスイーツ戦国時代。翌1993年は「ナタデココ」、94年は「パンナコッタ」、95年は「カヌレ」……と、あっという間にその座を奪われてしまいます。

【第2次タピオカブーム】平成20年(2008年):台湾からタピオカティーブランドが上陸

写真:gettyimages 

 

タピオカが再び脚光を浴びるのは、なんと16年後の2008年です。台湾からQuicklyなどの「タピオカティー」ブランドが上陸。福岡を筆頭に関西、東京、札幌……黒いタピオカを使ったミルクティーを販売し、人気を獲得。これを受け、丸大食品がコンビニでタピオカミルクティーを販売、ほかのメーカーも追随し、一気に社会的な認知を広めました。

 

しかし、この時期、いわゆる高品質コーヒーブームが到来し、スターバックスやコメダ珈琲が店舗を増やした期間にも重なり*、スイーツ界においても1990年代のような圧倒的なブームとなるものはなかったものの、塩キャラメルを筆頭とした「塩スイーツ」のほか「かりんとう饅頭」「抹茶スイーツ」「生カステラ」……といった競合スイーツが次々と登場、人気は沈静化していきます。

【第3次タピオカブーム】平成30年(2018年):タピオカミルクティーが大ブレイク!

写真:春水堂

 

現在の第3次ブームへとつながる発端となったのは、2013年7月、タピオカミルクティー発祥の店のひとつとして名高い台湾の「春水堂(チュンスイタン)」が代官山に海外1号店を開いたことです。

 

背景としては、

 

1. 海外旅行先として東南アジアが人気となり、食関連ではパクチー旋風が起こり、エスニック料理が再び注目されたこと

 

2. 最近では旅行先として台湾の人気が急上昇しており、台湾料理、台湾スイーツが注目を浴びていること

 

3. インスタ映え

 

などが挙げられます。

 

しかし、なぜ今回はここまで人気を集めているのでしょうか? 一般的には、「タピオカ」ミルクティーと呼ばれていますが、人気店のメニューを見ると、「お茶(台湾茶)そのもの」にかなり重点を置いているのがわかります。

 

つまりお茶のクオリティーがかなり高いということです。シアトル系、サードウェーブと高品質コーヒーブームが続く中、コーヒーが苦手な人、コーヒーに飽きてきた人が、高品質のお茶に強い興味を持っても不思議ではありません。

 

高品質のお茶に加え、タピオカの原料はキャッサバと呼ばれる芋の根茎から製造されるデンプンで、弾力感と噛み応えもあり、また「飲み物」ということで、罪悪感なく空腹感を満たせることも理由のひとつでしょう。

 

「お腹が空いたけれど、微妙な時間に食事をとるのは……」「甘いものを食べたいけど、ケーキや菓子パンは……」という時に、今まで圧倒的な人気を得ていたのはスタバのフラペチーノでした。フラペチーノの発売は2006年ですが、2007年に発売された抹茶クリームフラペチーノで不動の地位を築きます。

 

出典:ふらだんすさん

 

フラペチーノの価格はサイズにもよりますが、大体500円から600円台。決して安くありませんが、そのニュース性、次々と生み出されるバリエーションの目新しさから、“10代の女子が高額なドリンクを購入する習慣”を産み出しました。実は、タピオカミルクティーの価格も、店や商品にもよりますが、大体500円台から。フラペチーノが作り出した習慣がベースとなり、10代の女子も抵抗なく購入していることも見逃せません。

 

販売形態としては、テイクアウトが多く、行列が出来ること自体が人気の理由のひとつといえるかもしれません。カフェの場合、いわゆるオジサンたちと席を並べなければいけない場合もあり、またオジサンが同じものを飲んでいる場合もあります。

 

しかし、行列が外に出来ている場合、勤務中のオジサンたちは並ぶことがはばかられます。また派手めのカップから太めのストローで吸うというスタイルもオジサンたちには抵抗があり、10代女子の聖域を守り、人気を持続させる要因になっているのでしょう。

 

さて、前置きがずいぶん長くなってしまいましたが、人気のブランドを見てみましょう!

ここに行けば間違いなし! 専門家がオススメするタピオカミルクティー定番ショップはこの4つ

【定番ショップ 1】タピオカミルクティー発祥のお店「春水堂」

出典:purin–candyさん

 

1983年創立。1987年に「タピオカミルクティー」を発明した発祥の店で、現在のタピオカミルクティーブームの火付け役ともいわれる。無添加の茶葉や淹れ方、手作りのシロップなど、品質を徹底し、 タピオカミルクティーや鉄観音ラテなど、数々の創作ドリンクを提案している。

【定番ショップ 2】カスタマイズを楽しめる「ゴンチャ」

出典:なごみ0517さん

 

2006年創立。2015年9月に原宿に日本1号店をオープン。商品のカスタマイズの幅広さが特徴。基本のお茶は「ジャスミン グリーンティー」「ウーロンティー」「阿里山(ありさん)ウーロンティー」「ブラックティー」の4種類。甘さ、氷の量を4段階から選べる。

 

トッピングはパール(タピオカ)、ミルクフォーム、アロエ、ナタデココ、バジルシード、グラスジェリーの6種類から最大3つまで選べる。組み合わせで2,000種類以上のバリエーションがあるという。

【定番ショップ 3】おしゃれな鹿がシンボル「ジ アレイ」

出典:せすく・ふぁぶれがすさん

 

2013年にオープン。日本では2017年8月に1号店を表参道にオープン。シンボルである鹿をあしらった大胆な空間デザインが特徴。フルーツのような華やかな香りが印象的な「ロイヤルNo.9 タピオカミルクティー」や、ジャスミンティー風味の「小山緑茶タピオカミルクティー」の人気が高い。

【定番ショップ 4】強弾力のタピオカ&値段の手軽さが人気「CoCo都可」

出典:かぴぱら556さん

 

1997年創業。2017年2月に渋谷に1号店を出店。こちらの特徴は、ミルクの風味、甘さ、お茶の香りがどれも強いこと。特にタピオカは弾力がかなりあり、それ自体の甘さも強い。また、基本のタピオカミルクティー(Mサイズ)が500円以下という手軽さも人気の理由のひとつ。

取材・文:猫井登