出世ごはん

デキるビジネスパーソンはこんなお店で食べている! 元銀座のホステス&開運アドバイザーの藤島佑雪が、かつての同伴その他の経験から見極めた「出世する店」を「おいしい理由」とともにご紹介!

No.33 100年続く老舗カフェで、100年時代を生き抜く人材を目指す

当コラム、一応、出世するために食事を絡めたアドバイスをする趣旨なんですが、世の中には「別に出世しなくてもいい。ただ、ずっとお声がかかって、働けますように」という向きも多かろうと存じまして、今回はそんなお話です。ただ、最近は人生100年だなんて言われているうえに、年金が頼りにならないから、定年後も働き続けるセカンドキャリアを考える時代だなどと申しますので、テーマは「100年時代を生き抜く人材になる!」でいかせていただきます。

 

わたくし考えました。いくらips細胞だなんだと医学が発達しても、ガンガンに第一線で100年働くのはムリですよね? 特に出世に興味のない方にとってはありえません。まあ、若いうちは目一杯頑張ったとして、ある時期からはゆったりいきたい。そんなスローな感じで100年目指すという。そんなワークにふさわしいのは、100年続く喫茶店なんじゃないかと思いまして。

 

1911年にオープンした銀座「カフェーパウリスタ」や1903年創業の浅草「デンキヤホール」、それからこの8月に100周年を迎える1919年創業の人形町「喫茶去 快生軒」。3軒とも、行くとゆる〜〜い空気が流れていて、本当に和むんですが、このゆるい空気に100年を生き抜く秘訣があるような気がしてならないんですよね。

1911年オープンの「カフェーパウリスタ」。銀座でモーニングが480円は貴重。写真:マル*サトシさん

農園から直輸入した最高級のコーヒーをレトロクラシックなカップでいただく。老舗喫茶ならではの醍醐味。写真:サプレマシーさん

 

とはいえ、100年前のカフェーや喫茶店といえば、福沢諭吉や芥川龍之介なんかの諸先生方などの文化人など、一部のインテリやハイカラさんが行く最先端のスポットで、コーヒーなんかも高級品。創業当初はイケイケどんどん、西洋文化を取り入れて、発信するぞ〜! なんて感じでヤル気満々で張り切りまくっていたはずなんですよね。

1903年に浅草にて創業した「デンキヤホール」。創業時からのメニュー「ゆであずき」500円も健在。写真:マスカル ポーネさん

 

ビジネスパーソンに置き換えると20代なんかはこのノリで当たり前。30代からはこのノリを続行するか、ちょっとペースダウンするかひとによって分かれてきて、40、50代とさらにその差が広がっていくと。でも、どうですか? 旧帝大を出て、外資系金融やコンサルで鼻息荒くしてた同級生が急に失速して、世捨て人になっちゃったりする姿を見かけたことありませんか? わたくしは、そういう方々をかなりの数、拝見してまいりました。まあ、そういう方は銀座のクラブのお客さまではなく、お客さまに連れてこられた部下のその後、というケースがほとんどですが。

 

そんな方々を拝見していて不思議なのは、キャリアが降下していくに従って、ひとが離れていくひとと、そうでないひとの差。落ち目になってもガツガツしているひとから、ひとが離れていくスピードの速さったらありませんよね。一方、いわゆる第一線からは身を引きながらも変な欲がなく、淡々とした方からは急激にひとが離れていくということがないんです。ま、そりゃそうですよね。ガツガツ派は、常に誰かから何か得をしようとしてますから、一緒にいても疲れますし。淡々派はそういうことがない分、いやすいですから。細くとも長くお声がかかっていくんでしょうね。

「喫茶去 快生軒」は、1919年8月8日、人形町にオープン。ブレンドコーヒー480円。写真:トントンマンさん

 

100年以上続く喫茶店は、うまく淡々派にモードチェンジできた店だと思うんです。開店当初は最先端のお店でも、特に時代に迎合せず。コーヒーやフード類はもちろん、おいしいですが、飛び抜けているわけじゃない。でも、ガツガツ儲けようとせず、良心的な価格で商品を提供するために、いろんな企業努力をし続けてこられたのでしょう。それがゲストには誠意として映る。そこにひとは、安らぎを感じて集まってくる。街の喫茶店が、低価格系にサードウェーブ系とヤル気満々のチェーン店にとって代わられる時代に、100年続くってそういうことなんでしょうね。

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