国内外を問わず、多くの人を惹きつける街、京都。「京都通」もたくさん存在するなかで、手土産には何を選べばいいのか? そこでフードジャーナリストとして活躍し、京都にも足繁く通っている小松宏子さんにおすすめの品を選んでもらいました。誰に贈っても喜ばれる、ついでに自分のためにも買いたくなる手土産とは?

古都の伝統にヨーロッパの技術を加えた、古くて新しい食べる宝石

受け取った方が「わ、可愛い!」と目を輝かすに違いない、小さな手毬のような京あめ。真っ白でモダンな店内には、日本書紀にまでそのルーツを辿れるという京都の飴の伝統にヨーロッパの技術を加えたという色とりどりの飴が、まるでジュエリーのように、ショウケースの中に並びます。水色にピンク、赤と緑、紫に……どの組み合わせも美しく、目移りしてしまいますが、一つ一つの飴の味が違うのはもちろん、すべての色に意味があるのだとか。平安朝の十二単の色目や万葉集の歌になぞらえたものから、ヨーロッパ王宮の流行色まで、ネーミングと色の意味が書かれているプレートを読んでいるだけでも楽しくなります。

ところで京あめの定義とは? 水飴を核にしてグラニュー糖を加え、それを加熱してとろとろの状態にし、そこに色素や香料などを加えて飴にする。これは世界共通の飴の作り方。この熱い粘土のようなかたまりを練ることで色が均一化し、引っ張ることで酸素が加わり、輝きが増します。スペインのパパブブレなどはここで酸味料を加えて、さっぱりとした酸味を出すとともに飴の輝きが増しますが、京あめは酸味料を使わず、職人の手で何度も引っ張ることで完成させます。つまり、より職人の経験と技術が必要なのです。

古都の伝統に新しい技術や感性を取り入れて、さらに優れたものを生み出していこうとする精神こそが京都の歴史を育んできたのでしょう。写真右の白い手毬は一番人気の、レモンライム味の「白絹手鞠」、水色は京都限定のヨーグルト味「シェルブールの雨傘」、赤はさくらんぼ味の「唐紅山吹」(店頭販売のみ)。

季節限定品や本店にしかないフレーバーもたくさん。コンパクトでかさばらないことや日持ちがする点は、京土産としてだけでなく、お礼や季節のご挨拶のプチギフトにも最適です。

 

各1個¥648(税込)

 

*上記の他、ジェイアール京都伊勢丹「京あめクロッシェ 袿」でも購入可。