定食王が今日も行く!Vol.60
夜深くまで頑張る人を優しく迎える、渋谷の実力派深夜食堂
渋谷ストリームから1分
超実力派の中華食堂!
定食を食べ歩いていて一番聞かれる質問のひとつが「夜遅く、美味しい定食が一人で食べられるお店は?」だ。忙しい人ほど、深夜の美味しいご飯に飢えている。忙しい一日の終わりは、できることならできあいを温め直したお弁当より、アツアツのできたてご飯で癒やされたい。
最近、注目の渋谷ストリームのすぐ側で終電を逃しても温かく迎えてくれる中華食堂がある。自分が社会人になりたてだった15年前、ラーメン屋としてオープンし、今では数十種類のさまざまなメニューが揃う最強の中華食堂へと進化した「麺飯食堂なかじま」だ。
私の記憶が正しければ、店主の中島氏は広東料理のシェフ出身だとか。その後今はなき「函館ラーメンしおの花」を経て同店をオープン。開店当初はラーメン店のイメージが強かったが、渋谷の若者やビジネスマン、そして観光客などを包み込むように中華食堂へと変貌した。
自宅が渋谷近辺だった20代、職場が渋谷だった30代、残業で終電を逃し晩飯難民になることも多かった。深夜24時以降に駆け込んで、大変お世話になった。
炒飯に“一味惚れ”し、
担々麺でまた恋に落ちた
最初にこの店に惚れ込んだきっかけはは、炒飯との出会いだった。その当時に仕事で関わった人がこの店の炒飯の大ファンで、「東京一うまいよ!」と、すすめられるままラーメンではなく炒飯を口にした。パラっとふわっと仕上がった炒飯は、黒マー油なのか、こんがりと焼けたような色で、濃厚な味付けがクセになる。細かく刻んだナルトやねぎにプリプリの海老とシンプルな具材が潔く、炒めた米の香ばしさが堪能できる。
2回目に恋に落ちたのは“担々麺 まろやか“だ 。最近は激辛ブームをよそ目に必ず“まろやか”とライスを一緒に注文する。胡麻ベースのスープと香ばしい肉味噌は、中太の多加水麺だけでなく、ご飯との相性も抜群だ! 胡麻の風味とほんのりとした辛みに、ライスも止まらなくなるほど胸が高鳴る!
ちなみにご褒美飯のお供として、必ず頼んでしまうのが焼き餃子。さほど大きくはないが、肉汁がほとばしるほどジューシーで、シンプル・素朴な味だから飽きずにいくらでも食べられそうだ。
食べるほどに恋に落ちる
3度目の恋は酢豚定食で
3度目の恋は、限定メニューとして登場する「酢豚セット」の定食。酢豚の見栄えは、タレで模様が描かれており、フレンチのような盛り付けで繊細ながら、大きな存在感を発揮する一皿。
とろっとろの分厚い豚肉と濃すぎない味付け、そして長芋の食感が全体を上品にまとめてくれている。
シャキシャキのパプリカや、長芋のネバネバとサクサクの食感で、食べ進めることが楽しくなる! ほかの町中華から圧倒的に頭一つ抜きでた“酢豚”を実現できていると感動。
セットについてくる半ラーメンは、醤油、塩、熟成塩などから選ぶことが可能に。個人的には熟成塩を頼むことが多い。白濁した濃厚なスープにちぢれ麺がよく絡んで、食べるとモチモチした食感が印象に残る。ハーフサイズなのに、とても満足度の高い一杯なのだ!
昼も夜も、そしてラーメン、担々麺も、炒飯も定食や丼も、最初は目当てが一つだったのに、あれもこれも楽しみになる。食べるほどに恋に落ちる実力派が、この「なかじま」だ。味だけでなく、価格やメニューはほぼ変わらず、平日は深夜2時まで出迎えてくれる、その頼もしい姿勢にもうっとりする。週に1度だけでなく、2度でも3度でも帰りたくなる深夜食堂。何度でも通って、何度でも恋に落ちてほしい。