TOKYO HIP BAR Vol.33

ジャズクラブのバーで味わう、“透明なトマトのカクテル”

出発前の空港のラウンジに高揚感があるように、何かが始まる前の控えの場は不思議な魅力があるものです。ライブ前の待ち合わせの場として、またライブ後のクールダウンに立ち寄る場所として、その名もバックヤードと付けられたバーがあるのが、東京を代表するジャズ・クラブのひとつ「Blue Note Tokyo」です。

写真:お店から

 

「Blue Note Tokyo」のドアを開くと目に飛び込むのは、これまで出演した歴代の名ジャズプレイヤーのモノクロのポートレート。入った瞬間から感じる非日常の雰囲気の中、入り口から続く階段を降りた地下1Fの奥に「バー・バックヤード」がひっそり佇みます。

写真:お店から

 

音楽を好む人が集まる場所だけに、バーの中にも大きなスピーカーが設置され、空間をジャズの音楽で心地よく満たします。カウンターの奥に広がるのは、海外の邸宅のようなソファー席。ヴィンテージ感ある上質なソファーにモダンな照明、温かみのある木材の壁が、“裏庭”や”行きつけ”の場所を意味するバックヤードの言葉とイメージが重なります。

大吟醸の技法を用いた

透明なトマトエキス

 

こちらで名物となっているのが透明なトマトを使用した「クリスタルメアリー」です。通常、ウォッカに合わせたトマトの赤い色が特徴的なブラッディメアリーですが、クリスタルメアリーに使用するのは透明なトマトエキス。福井県の生産者が日本酒・大吟醸の「雫取り」という伝統技法を使用して、自然の重力のままに滴り落ちるトマトエキスを一滴ずつためた「トマトクリスタル」というジュースをクリスタルメアリーには使用します。透明なのにトマトのフレーバーが香り、甘みと旨味が凝縮したブラッディメアリーが味わえます。

 

ニューヨークに本店があるブルーノートですが、日本でも今年で30周年。これまで海外ミュージシャンを中心に大御所から若手まで多くのミュージシャンに愛され、またファンに愛されてきた場所です。海外アーティストが常に出演するようなライブレストランが日本にない時代に、その文化を根付かせることから始めたというブルーノートは、決してジャズマニアのものだけでなく、音楽からアートに到るまで、興味をもってくれる方に開かれた場として存在したいという思いがあるといいます。

 

そうした思いからも、「バー・バックヤード」は開演前のアペリティフやライブ後の一杯はもちろん、バーのみの利用も可能です。ライブハウスならではの熱気が満ちた空間は、ライブ鑑賞の予定がなくても、その高揚感を味わいに何度でも足を運びたい場所です。