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【噂の新店】るぱん
薪火の料理人と名ソムリエ。1年間の間借り営業を経て本格始動!

大阪・肥後橋で人気を集めた「間借りるぱん」が、2026年4月16日、谷町六丁目に実店舗をオープンした。店を率いるのは、サービス・ワインを担当するオーナーの下野美穂さん。そして、薪火料理を得意とするシェフ・金井大樹さんだ。

金井シェフは、神戸の薪火レストラン「bb9」で2代目シェフを務めた料理人。それ以前には、芦屋のシャルキュトリー専門店「メツゲライクスダ」で6年間経験を積んだ。
一方の下野さんは、大阪を代表するガストロノミー「Fujiya1935」で7年半にわたりソムリエとサービスを担当してきた。
2人が出会ったのはそれぞれが独立を意識しはじめた頃。意気投合した彼らは、2025年4月から、期間限定の営業をスタートする。「まずは一緒にやってみよう」。そんな思いで始まった“間借り”での挑戦は、多くのファンを獲得。そして約1年の営業期間中に、現在の物件との出会いが訪れた。
店があるのは、昔ながらの風情が残る、空堀商店街近くの路地裏。もともとは民家と自転車店だった建物を改装した空間だ。 大阪の暮らしの気配が残る街並みに現れる赤いコンテナが店の目印。新たな物語は、この場所から始まった。

「薪火とワイン」が主役。肩肘張らず楽しめるレストランを目指して
「何料理かと聞かれると難しいんです。強いて言うなら“薪火の料理とワイン”ですね」。そう語るのは下野さん。

店ではコース料理に加え、アラカルトも充実。その背景には、下野さんがヨーロッパで体験したレストラン文化への憧れがあるという。「今日は少しだけ飲みたい。野菜だけ食べたい。でも上質な時間を過ごしたい。そんな使い方ができる店が、日本にはまだ少ないと思ったんです」
ワインを通じて人の気持ちがほどけ、料理を囲みながら自然と会話が生まれる。そんな食卓の風景を作りたい。下野さんにはそんな思いがあった。「特別な日だけじゃなく、日常の延長線上にあるレストランにしたいんです」と下野さんは、穏やかな表情を見せてくれた。
薪火だからこそ引き出せる、素材が持つ潜在力
「素材を素材らしく。その良さを最大限に引き出したいんです」。そう話す金井さんの料理は、すべて薪火を軸に組み立てられる。

例えば「薪焼きトマト」。丸ごとのトマトを湯むきした後、薪窯で一晩かけてセミドライに。さらに薪火のそばでゆっくりと水分を飛ばしながら焼き上げる。頬張れば、薪火の香りが鼻腔をくすぐる。続いて、くっきり浮かび上がるトマト本来の酸味と凝縮感のある味わいに目を見張る。
合わせるスープは、搾りたてのトマトジュースに塩と少量のオリーブオイルのみ。トマトが持つピュアな甘みが際立っている。同じトマトから生まれる異なる表情を、楽しませてくれる。

アオリイカとムラサキウニの一皿も印象的だ。細切りにしたアオリイカを熾火の上で軽く燻し、半生の状態に仕上げる。そこへ山うどの苦みと香りを添え、ムラサキウニをソース代わりに重ねる。
薪火の穏やかな燻香が、イカの甘みやウニのヨード感を引き立てる構成だ。

また、取材時に登場した「涙豆」からも、薪火へのあくなき思いを感じる。「柔らかい熱の入り方をさせたいから薪を使っています。香りも穏やかですし、素材の持っている水分や香りを生かしやすいんです」
薪火は単なる香り付けではない。食材の輪郭をより鮮明に描くための、調理技術そのものなのだ。

ワインで旅をするような体験を
料理に寄り添うのは、下野さんがセレクトするワインたち。

グラスは常時8〜10種類ほどを用意。シャンパーニュからロゼ、オレンジワイン、デザートワインまで幅広く揃える。コースの一皿一皿に合わせる、ペアリングも人気が高い。
「普段ならボトルで買わないようなワインも、グラスで気軽に楽しんでほしいんです」。そう話す下野さんが、ペアリングで意識しているのは“旅”。「たとえば、フランスの初夏、スペインの海辺、イタリアの食卓。料理とワインを通じて、その土地の風景まで感じられるような提案を心掛けたいですね」と言って微笑む。
ワインのセレクトは、ヨーロッパの名門生産者はもちろん、山梨のキスヴィン・ワイナリーなど、自らが信頼を寄せる造り手のワインも積極的に取り入れる。「造り手の顔が見えるものを選びたいんです。それは食材もワインも同じですね」
谷町六丁目から始まる、新しい日常

薪火の香りに包まれながら、グラスを傾ける。肩肘張った特別なレストランではない。でも、いつもより少しだけ豊かな時間が流れている。
料理人とソムリエ、それぞれが培ってきた経験を持ち寄りながら作り上げた「るぱん」。
谷町六丁目の静かな路地に生まれたこの店は、きっとこれから多くの人の日常に寄り添う一軒になっていくだろう。



