小池さんおすすめの「オーダー必須」のメニューとは?

「特上生タン塩」2,200円(1人前)

まず注文したいのが「特上生タン塩」。とにかく流通が品薄状態の昨今、こちらでは仕入れられる中で最高のクオリティのオーストラリア産を厳選。下処理がちゃんとされている品質の良いものだからこそ、ドリップもなく、状態が良いのだとか。だから、塩ダレでしっかりと揉みこみ仕込みに工夫を加えることで、最大限に素材の良さを引き上げている。

センターでサッと焼いてひっくり返す。表面はカリッと仕上げるのがコツだ
 

小池さん

筋がなく噛みやすい、サクサク食感が堪らない生タンは、塩ダレがよくなじんでいて、臭みも一切ない。和牛よりむしろ柔らかくて、本当においしくて好きです。正肉と内臓によって塩を変えているところにもこだわりを感じますし、シンプルにネギなしで旨い!

「ハラミスジ」980円(1人前)

国産和牛を使用した「ハラミスジ」は、ハラミ2本の間からぶら下がっているサガリの真ん中の筋部分のこと。通常の焼肉店ではなかなか出ない、肉通が好むレアなパーツ。食べやすいよう小さめにカットされ、さらに包丁仕事をきちんと施してあるところに店主のセンスがうかがえる。

香ばしくカリカリになるまでよく焼きして。センターの筋からじわっと肉汁が出てきたら完成の合図。やけどに注意を!
 

小池さん

絶対ハラミは国産派の僕に刺さる一品。弾力、旨み、肉汁、どれをとっても最高な、お酒のアテにもなるかなりレアな部位がしっかりメニューに載っていることに驚きです。赤い肉部分はもはやおまけくらいの気持ちで、この筋が最高! 火を通すと湧き出してくる甘みと旨みのハーモニーに、和牛のおいしさが凝縮されていて病みつきになります。

「シマチョウ」880円(1人前)

お次は、絶対に外せないホルモン「シマチョウ」。牛の大腸で、こちらは脂がたっぷりとぶ厚いボリュームがしっかりあるタイプなのが特徴。うっすらとピンクめいてぷりっとした、鮮度が高く瑞々しいシマチョウに期待が高まる。「包丁入れも見事!」と、小池さんのお墨付き。

焦げないように細心の注意をはらいながら皮からしっかりと焼き、じっくりと脂に火入れするイメージで。たまに立ち込める肉汁による炎や煙の香りもご馳走に
肉を楽しむ小池さん
 

小池さん

ボリュームしっかりめのシマチョウは、食べ応えも抜群。オリジナルのザラメベースのタレに潜らせたっぷりと絡めて、脂の旨みと皮の食感を堪能します。甘いけどスーッと消える後味の良さは格別。醤油とザラメを使ったしいたけベースの無化調ダレが秀逸! 店主が通う老舗の秘伝のタレのレシピがベースらしく、その店も訪問したくなるほど。

「香味野菜ととろろポン酢の牛焼き」1,800円

ヘルシーに焼肉を食べられる! 変化球の洒落たメニューは、女性たちにも人気。大葉、かいわれ、みょうが、ねぎなどの香味野菜を焼肉で巻いて、とろろポン酢にダイブ。さっぱりとした味わいのイチボによく合う。仕入れや日によって部位が変わる楽しみも。

片面だけササッと焼いて、香味野菜を肉に包む
一旦焼肉の合間に挟みたい箸休め的存在
 

小池さん

さっぱりとした味の肉を活かす技に驚いています。食感のバランスもとても良くて、肉の柔らかさと野菜のシャキシャキ感を、とろろのねっとり感が上手く繋げている感じが楽しめます。これお米にも合いますね。

「肉に合うネギ飯」480円

肉に合うサイドの「ネギ飯」も見逃せない。肉との調和を一番に考え、にんにくを使用しないさっぱりとしたネギが魚沼産コシヒカリの白米の上にトッピングされた一品。油で熱してから太白胡麻油と混ぜたしょうが風味のネギが、爽やかに食欲を掻き立てる。

肉と完璧に調和するので、どんどん進む!
 

小池さん

お肉とのバランスがちょうどよくて、ついバウンドさせたくなります。焼肉店の白米って侮れないですからね。妥協できないポイントでもあるので、細部まで肉好きの心を掴んでいく! 本当にいい店ですね~。

「焼肉って大衆の食べ物」というマインドから、誰が来てもおいしい「80点の焼肉店を作りたい」と語る店主。最大公約数、喜んでもらえるちょうどいい塩梅を探り、大衆的な焼肉のスキマに、女性に喜ばれるイマドキなサイドメニューが入っているのも人気の秘訣だと小池さんは考察する。決してチェーン店っぽくはなくそれでいて「こんなにおいしくて7,000円!?」の満足度は格別だ。

お互いへのリスペクトを熱く語り合う二人。焼肉のプロだからこそ、牛への愛、命との関わりや会社まですべてにロスのないサイクルを作ることが大事、だと共感しあう

「突き詰めて一部にわかればいい、という店より、とにかく多くの人においしいと思われるよう研究熱心に追求していてリスペクトできる」と小池さんが語る一軒。食べておいしくて、値段も手頃で満足感が高くてまた通いたくなる。そんな日常使いに最適な「うしこぞう」。予約困難になる前にぜひ訪問してみて!

※価格はすべて税込

文:濱口眞夕子(SEASTARS Inc.)、食べログマガジン編集部 撮影:八木竜馬