小池克臣が推す「予約困難予備軍」の焼肉店
巷には「予約困難」な焼肉店がたくさん存在している。口コミやメディアへの掲載など、予約困難となる要因はさまざまだ。本連載では肉バカ・小池克臣さんに早めに押さえておくべき「予約困難予備軍」の焼肉店を焼き方のポイントとともに教えてもらう。
教えてくれる人
小池克臣
横浜の魚屋の長男として生まれるも、家業を継がずに、外で、家で、肉を焼く日々を送る。焼肉を中心にステーキやすき焼きといった牛肉料理全般を愛し、ほぼ毎晩、牛三昧。その様子をInstagramやYouTubeで発信中。著書に『肉バカ。No Meat, No Life.を実践する男が語る和牛の至福』(集英社刊)。公式ブログ「No Meat, No Life.」。
歌舞伎町の路地裏にある、小池さん推しの店主がいる店へ
賑やかな夜のイメージが強い歌舞伎町が今回の目的地。新宿区役所から少しだけ脇道を入ったところに、「焼肉うしこぞう 新宿店」がある。「とにかく店主の肉への知識と情熱が凄く、間違いのない店です」との小池さんによる前情報に、入店から胸が高鳴る。
2023年5月にオープンしたこちらは、神奈川で6店舗、飲食業を計8店舗手掛ける店主による、人気の川崎「うしこぞう」の東京進出店だ。客単価6,000~7,000円、飲んで8,000円くらいの手軽さでありながら、本格的な肉のクオリティをどこまで追求できるかをテーマとして掲げる。
小池さん
川崎店に足を運んだことがあり、肉の仕入れや店主・斎藤さんの熱い感じにも感動したお店だったので、昨年東京進出を果たしてすぐに駆けつけました。とにかく店主の経歴がズバ抜けていて、店名の“うしこぞう”そのままの人で、まさに“肉のサラブレッド”。10代から肉の解体の経験があるので、仕入れの目利きも肉の扱いもすべてレベルが違います。経験値の高さから、信頼のおける間違いないクオリティが気に入っています。
川崎から満を持して東京進出へ! 店主の思いとは……
「野球少年だった僕は、16歳で同級生の実家の肉屋(内臓肉卸)に入り、牛豚の解体からすべて任され、一から覚えて経験を積みました。管理や営業、お金の流れなどを勉強し、20歳で肉卸業を起業。老舗のホルモン店を譲り受け、1店舗目の経営がスタート。付いたあだ名が“ホルモン小僧”だったので、店名の由来に。卸業の肉の配達をやめ、母に店を任せ、昼夜は焼肉店への修業も同時に始め、気付けば主要な焼肉の名店12軒ほどで修業を重ねました。焼肉や料理の知識のほか、利益を生む仕組みなどの経験も十分に得た23歳で借入して鶴見に移転オープン。昨年、念願の東京進出を果たし、新宿で勝負しています。人が好きなこともあり、今楽しくて仕方がない。業者ともウィンウィンになるような、長年の経験を活かした肉の仕入れや、国産・輸入にかかわらずいかに工夫して素材を高めておいしくした料理を、なるべく手頃な価格で提供できるか、最大限がんばっています。リピーターが多いのもうれしい限り。お客様に喜んでいただけたら本望です」(斎藤さん)
小池さん
斎藤さんがすべての仕入れを統括し、知識も含め、手を加える技のレベルがすごいんです! 例えるなら100点未満のものを100点以上に高めて、最高のものを作り出している。同業がたくさん通っているというのは、おいしい本物の証。それでいて1/3くらいのプライス感。それを新宿で実現できているのが素晴らしいです。