ワインショップはお買い物も軽く一杯もOK

インパクト抜群な「グレープリパブリック」のワイン

山形県南陽市に醸造所を構える「グレープリパブリック」は、土地ごとの気候、地勢、土壌のみならず、そこに暮らす人や、人々が育んできた文化を含めたテロワールという概念を第一に考えたワイナリー。世界最古のワイン造りといわれるアンフォラ醸造を採用しているのも特徴だ。エチケットの鶴は、南陽市が日本を代表する民話「鶴の恩返し」が伝わる地であることにちなんで、グレープリパブリックから南陽市に恩返しの想いを込めてラベルデザインに。おしどりは、山形県の県鳥。カモシカは、山形県の県の獣で、国の特別天然記念物にも指定されている。

そんな「グレープリパブリック」が2024年8月8日、初めてのレストラン「GRAPEREPUBLICINC. VINERIA SALONE(グレープリパブリック ヴィネリア サローネ)」を開業した。

鎌倉の小町通りからすぐの立地ながら閑静なエリア

「GRAPEREPUBLICINC. VINERIA SALONE」が店を構えるのは古都・鎌倉。有機栽培を大切にしたワインを自然に近い環境で飲んでほしいという思いから、都心ではなく、海と山が近い土地を選んだ。また、すでにアメリカやカナダ、台湾、スウェーデンなど14カ国に輸出しており、海外にもファンが多いことから、日本を代表する観光地である鎌倉が、世界と南陽市を結ぶ中継点となり第2の拠点になればという願いも。

「グレープリパブリック」のワインがずらりと並ぶショーケース

扉を開けると、まずショップスペースが広がる。ガラス張りのショーケースには、アーティスティックなエチケットが目を引くカラフルなワインボトルが並ぶ。こちらではオリジナルのTシャツを購入することができ、今後ワインを販売するショップとして展開予定。毎月リリースされる自社ワインを中心とした圧巻のラインアップは、ワイナリーの他では非常に貴重なスポットとなるだろう。

ショップにある黒板メニューとバーカウンター

ショップにはバーカウンターを備え、大きな黒板にその月のラインアップが書かれている。50cc(600円~)または100cc(1,000円~)の2サイズが選べるほか、スタッフがおすすめする3種(各40cc/1,200円)、5種(各40cc/1,800円)のテイスティングセットも用意。飲み比べることで「グレープリパブリック」の特徴を理解できるだろう。1杯からオーダー可能なので、気軽に立ち寄れるのもうれしいところ。

ワインが主役の料理をサローネグループのシェフが監修

ダイニングスペースもガラス張りで自然光が差し込む

ショップを通り抜け、活気あるキッチンを横目に奥へと進むとダイニングエリアが広がる。料理を手掛けるのは、横浜・元町にある「SALONE2007」を本店とし、東京ミッドタウン日比谷内の「SALONE TOKYO」や大阪・中之島にある「QUINTOCANTO(クイントカント)」などを展開するサローネグループ。

サローネグループというと高級店を多く展開してきた印象があるが、今回鎌倉に誕生したこちらは、昼も夜も小さな子どもを連れて家族で訪れることができるようなカジュアルな雰囲気だ。まだオープンから間もないが、早くも地元の家族連れが訪れディナーを楽しむ光景もしばしば見られるという。内装デザインはワイナリーの自然を彷彿させるようなナチュラルなテイストで統一。器やカトラリーなどには、鎌倉の海をイメージしたターコイズブルーも取り入れられている。

「グレープリパブリック ヴィネリア サローネ」のシェフを務める栗山義臣氏 写真:お店より

創立以来スタッフ間のコミュニケーションを積み重ねており、ぶどう栽培の手伝いにサローネグループのスタッフが行くこともあれば、グレープリパブリックの都内での催事や試飲会などにソムリエメンバーが参加することも。同じチームのように協力を繰り返してきたという。開業にあたり、シェフに抜擢されたのは、サローネグループの「biodinamico(ビオディナミコ)」(東京・渋谷)でシェフを務めていた栗山義臣氏。これまで頻繁に南陽市の醸造所を訪ねており、醸造責任者の矢野陽之氏とも交流が深く、「グレープリパブリック」の理念を特によく知る料理人だ。

店名にもあるヴィネリアとは、イタリア語でヴィノ(vino=ワイン)とオステリア(OSTERIA=居酒屋)を意味する造語。「グレープリパブリック」の醸造責任者の矢野氏がイタリア北部エミリア=ロマーニャ州のボローニャで働いていた際に通っていた飲食業態で、カジュアルなワインとともに楽しむスタイルを踏襲している。

「グレープリパブリック ヴィネリア サローネ」のサービスを務める日髙良佑氏

ワインを提供する日髙氏は、こう教えてくれた。「これまでサローネグループが展開してきたのは料理ありきのレストランでしたが、今回は初めてワインありき。そのため、まず醸造責任者の矢野に“ワインに合わない食材”をピックアップしてもらうことからメニュー作りが始まりました。たとえば、イタリア料理に欠かせないチーズですが、ゴルゴンゾーラなどのブルーチーズ系は相性が良くないので使用していません」