〆には店主のこだわりが詰まったそばをいただく
さて本命のそばは、十割でごく細くすすればふんわりとそばの香りを立ち上らせる。季節によってそばの産地は変わるが、この日は東京からも近い埼玉県三芳町産。太陽をたっぷりと浴びた夏の新そばだった。
「夏そばらしい清涼感もありつつ、うまみもあります」と外牧さん。つゆはかつおと昆布の合わせだし、砂糖を使わないがキリリというよりは、じんわり優しい味わいで、そばの清涼感をより高めてくれる。
外牧さんが修業した「信州そば むらた」は地元博多だけでなく、全国からそば好きが通う名店。その伝統を受け継いで、そばはつなぎなしのそば粉十割手打ちを貫く。日によっても、そばの産地が変わっても、打ち方やそばの細さ、ゆで加減などを微調整しつつ、日々ベストなそばを模索しているという。
山本さん
昨年そば屋に業態変更されたとのこと、おそらくだしも丁寧にとっていらっしゃってつゆも素晴らしく、メインのそばもおいしいです。
そば湯の新しい楽しみ方を発見!
「そば湯であらゆる酒を割ってみたら発見したんです」と梅澤さんが笑いながら教えてくれたのがテキーラのそば湯割り。しかもプレミアムテキーラ「クラセアスール レポサド」を使うというから驚いた。
ウイスキーカスクで寝かせたテキーラの甘い香りと、そばの穀物の香りが一体化し、まるでトロピカルフルーツを食べた時のような化学反応が生まれるのだ。
「食中というより、〆の一杯にぜひ」と言う。
「umebachee」は電話非掲載、予約はメールのみ。店前には看板がなく、あるのは中がのぞけない鉄の扉のみ。そう聞くとハードルの高い店のようだが、一歩中に入ってしまえばカジュアルで居心地がいい。フラリと入る店ではなく、わざわざこの店の料理と酒を目指して来るゲストばかりだからこそ、店の雰囲気が悪くなるということもない。最近はランチ営業も始めたというから、昼にゆったりとそば前を楽しむのもよさそうだ。
※価格はすべて税込