【小豆島の美味しいところ丸かじり!】Vol.3  オリーブ生そうめん編

オリーブの栽培面積、収穫量ともに日本一を誇る香川県は、“うどん県”だけの魅力にとどまらない、実は“オリーブ県”という側面も持つ。しかし、多彩なオリーブグルメを展開しているにもかかわらず、その驚きの美味しさはあまり知られていない。

 

Vol.3となる今回は、日本三大そうめんの一つである「小豆島 手延べそうめん」のオリーブ生そうめん&魔女宅気分を満喫できるオリーブ公園をご紹介。

 

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そうめんなのにコシがすごい!生そうめんの新食感

日本三大そうめんの一つである「小豆島 手延べそうめん」は、約420年の歴史を誇る小豆島を代表する伝統的食材だ。その昔、ほとんどが農家だったため、収穫を終えた閑散期にそうめん作りを始めたことが、一大ブランドを作るきっかけとなったという。

 

Vol.1(オリーブ編)Vol.2(オリーブハマチ編)でも触れたが、小豆島と言えばオリーブ。「小豆島 手延べそうめん」も同様で、「オリーブそうめん」なる絶品そうめんを製造・販売している。

オリーブ生そうめん

 

手延べそうめんを食せる場所は数あれど、是非とも足を運んでほしいお店が「生そうめん」を食べることができる「なかぶ庵」。通常、そうめんは天日干しをして乾麺とした後、6か月ほど熟成させて流通するが、生そうめんはその工程を行わずに製造する。

こちらは通常の生そうめん

 

つるっとしているのにモチモチ。「これがそうめんなの!?」と飛び上がるくらいコシがある。おそらく、目隠しをされて口の中に放り込まれると、そうめんと回答できる人は皆無ではないだろうか? 食べたことのない食感……こういうものこそ“新食感”と形容したくなる。モチモチのそうめんを咀嚼する度に漂う風味、むちゃくちゃ美味い!

 

そうめんは、つるっと楽しむに限るが、生そうめんはいつまでも口の中に留めておきたくなる(そして風味が漂う)美味しさがあるのだ。

「なかぶ庵」では食べるだけではなく、要予約で「箸分け体験」を行うこともできる(コースによって工場見学や食事、試食も可能)。小豆島そうめんの製法は、伝統的技法によって製造されている。

 

小豆島特産の純正ごま油を塗りながら練った生地を、木箸を使い丁寧&繊細に極細の糸状になるまで引き延ばすことで完成するわけだが、極細の糸状にするプロセスこそ「箸分け」なる技法だ。

このように棒状にした生地を管にひねりながら巻きつけて、2本の橋に渡して次第に細くしていく。機械で製造するそうめんと違い、手作業でひねって延ばす工程を繰り返すことで、鉛筆の芯のように(小麦粉に含まれる)グルテンが麺の中心を通るようになるのだとか。これにより“つるっとしているのにモチモチ”の食感が実現するわけだ。

管にくくられた生地を見ればお分かりいただけると思うのだが、このようにねじって交差するように生地がくくられているため、橋にかけた生地に箸を入れ、上下に分けると生地がどんどんと延びていく。スーッと箸を入れて分けていくときの気持ち良さと言ったら……包装緩衝材のプチプチをつぶすときと同じような“よく分からない快感”がある。

極上の絹のような質感を伴い、美しく橋に掛けられた麺からほとばしる伝統感。それでいて、映画『マトリックス』のオープニングの緑色のコーディング画面のような斬新な絵面。人の姿を、そうめん越しに見る機会などそうそうないだろうから、生そうめんの魅力を全身で味わってほしい。

 

思わず撮りたくなる!オリーブ公園の“いいね!スポット”

香川県のオリーブ展開は、まだまだある。お手軽&ポップなところで言えば、「道の駅 小豆島オリーブ公園」内にあるオリーブ記念館で販売しているオリーブソフト(300円)。

オリーブの葉の粉末を加えた味わいは、どこか抹茶のような風味が広がる。といっても、抹茶ほど濃くはなく、さっぱりとした味わいでバニラとの相性もバッチリ。瀬戸内海を見下ろす小高い丘に、約2,000本のオリーブが広がるオリーブ公園で食べるオリーブソフトの爽快感たるや!

 

こちらのオリーブ公園、実写版『魔女の宅急便』のロケ地になったことでも知られており、園内にはいたるところに魔女宅気分を味わえるスポットがあることも特徴的。

雑貨ハーブカフェ「コリコ」の店内は、キキがお留守番をしていそうな空間。全女子必見のフォトスポット。

 

異国情緒あふれるオリーブ公園の雰囲気は、まさに映画の世界にいるような錯覚を体験させてくれる。瀬戸内海のはずなのに、まるで地中海にいるような。インスタグラマー垂涎の“ほうき”&“ギリシャ風車”の組み合わせは、「いいね!」のキラーコンテンツ間違いなし。ここに来た全員が、ジャンプするシャッターチャンスに全身全霊をかけている! ソフトクリームも風景も、シズル感が大事なのだ。

オリーブの歴史を知ることもできるオリーブ公園は、定期的にオリーブやハーブにまつわるワークショップなども開催しているという。小豆島の魅力を発信しようという心意気も含めて、とても気持ちの良い場所だ。

 

小豆島は美しい。

 

ひとたび行けば、リピートしたくなる理由がよく分かる。小さな島ではあるが、B級グルメとは種を異にする本格的な質を存分に楽しめる小豆島。

 

オリーブや醤油といった食材がA級であるがゆえに、奇をてらった勝負ではなく、シンプルかつ素材の味をそのまま活かした直球勝負が可能となる。

 

食材、風景、そして人々。

 

どれも一級品が集う稀有な島だからこそ、旅行者は「また味わいたい」と再訪したくなるのだろう。

 

 

取材・文・写真:我妻弘崇(アジョンス・ドゥ・原生林)