あの人の“食の情報整理法” Vol.1 定食王編

食べることが大好きな食通はどうやって情報をキャッチしているのか? 今回は食べログマガジンの人気連載、「定食王が今日も行く!」の著者である定食王さんのリサーチ術をご紹介します。

 

定食王が食べ歩きをライフワークにしたきっかけとは?

 

食べ歩きが好きになったきっかけは、大学時代に流行っていたミッドセンチュリーモダンの家具を備えたカフェ巡りだった。川口葉子さんが運営していた東京カフェマニアというサイトや雑誌などで取り上げられていたカフェをめぐり、ノール社やハーマンミラー社の椅子を見て歩くことが、その当時の学生の間でちょっとした流行だった。バワリーキッチンやロータスなど、行列のできるカフェが存在したほど。

 

その後、大学3年から就職活動を始めた頃、神奈川県の藤沢に住んでいた私は、毎日のように東京に向かうモチベーションとして、その日の就職説明会や面接の場所に近いレストランやカフェを書き込むため東京23区地図を買った。Google マップやスマホなどない当時、就職活動のためでもあったが、祥伝社から出ているかなり詳細で分厚い一冊だったのを覚えている。そこにテレビや雑誌で見て行きたいと思ったお店を書き込んで、付箋を貼っていくようになり、食べ歩きにハマるようになったのだ。面接に行くのではなく、ご飯を食べに行くと思うと緊張もなくなり、就職活動も楽しくなった。

 

今でもお店の情報源は変わらず、雑誌やテレビが多い。それに加えて、知人のフェイスブックやインスタグラムで見たものは、すべて食べログの行きたいリストやメモ帳に登録。自分はかなりズボラな人間なので、こういったことは自分の中でシステム化するようにしている。

連載をしているからではないが、食の情報の整理は最近はもっぱら食べログ。店探しについては、人から頼られることも多いので、僕の食べログを使ったリサーチ方法を公開しよう。

リサーチその1. がんばって残業した22時、今から定食が食べたい!

残業後は一人でも美味しい定食が食べたい! そんな時は食べログアプリで現在地の近くで定食・食堂で時間帯検索。定食・食堂カテゴリーで結果が出てこないが、一人で入りやすい店(居酒屋、カフェ)などを含めてみる。また、夜の予算を2,000円以下などに設定すると、比較的一人でも入りやすい店が出てくる。自分がフォローしている食の好みが近いレビュアーが何人そのお店に行っているかも表示されるので、迷った時にはこちらを参考にすることもある。

 

リサーチその2. 休日に同世代子連れ夫婦からランチのお誘い。ペットも入れるお店は?

とある日曜日、同世代子持ち夫婦とのランチができるお店をサーチ。子供可、ペット可でランチができるお店を探す時は、サービスの項目で「子供可」、「ペット可」にチェックを入れる。幼い子供がいる友人との食事は、「エレベーターある?」「ベビーカーを入れられる?」「個室ある?」など独身者・子供なしの友人とは気にするポイントが異なるので、そんな時にこのサービスで検索できるフィルター機能が役に立つ。日曜日にランチ営業をしているお店は意外と少ない。駅を指定したら日曜ランチをやっているかは必ず調べるべし。渋谷、日曜ランチ、子供可という難解な検索にも対応してくれる!

 

リサーチその3. 旅行や出張先で行きたかったお店を思い出したい!

テレビや雑誌で見たり、人から聞いて「行きたい!」と思った店は必ずその場で食べログアプリの「行きたい」リストに登録。そのお店のどの料理を食べるべきかも入力しておくと、なんでこの店に行きたかったんだっけ?何が食べたかったんだっけ?など細かい記憶も思い起こさせてくれる。まるで自分のハードディスク代わりになるのだ。営業先や、どこかへ急に出張に行った時にも、行きたい店のタブをクリックして、地図表示にすると、近くの行きたかった店などが表示される。年に数回の関西への出張や、東京都内でも普段の行動範囲外のエリアにあるお店などは、この検索をするととても便利だ。

 

 

リサーチその4. これから大人数で急遽飲み会が決定!ちょっとわがままな条件でお店を見つけたい

仕事の目標達成!今夜は飲むぞ!20人で夕方から入れるお店あるっけ?というニーズに応えてくれるのが、予約機能もついた今日空いている店検索。団体での飲み会にも対応、30人で個室で3時間以上飲み放題で、できれば一人4,000円以下で!なんていうわがままリクエストにも応えてくれる。

 

リサーチその5. 今度の海外からの客人はベジタリアン。おいしいお店はどこに?

海外からの来客や友人から多いのが、ベジタリアンでも美味しく食べられるものがあるお店をというリクエスト。食べログアプリはベジタリアン向けのお店も一発検索が可能。外国人が喜ぶお座敷や掘りごたつがあるお店も検索できるのでおもてなし用のお店もすぐに探せるのだ。

 

食べ歩きをしていると人からお店を聞かれることも多くなる。しかし、子供連れ、ペット可、ヴィーガンメニュー可など、自分でしない検索条件を出された時は、他の食べ歩きのエキスパートたちに教えてもらうことも多い。それによって自分の興味範囲外のレストランも、自分の引き出しに入れておくようにしている。

 

いい店は、その人のライフステージや、誰と食べるか、状況によって異なるので、自分の頭の中のリストだけではまかなえないことが多い。きちんとニーズを把握して、それに応えるためにどう検索したらよいかを知っておくと、食べログのデータすべてが自分のものになる。お店をよく知っているのももちろん大事だが、検索が上手だとよりたくさんの人を幸せにできると思う。