鎌倉に新鮮さを求めるなら、夜を狙え

土日はもちろん平日でも観光客で賑わう鎌倉は、日没とともにぐっと落ち着きを取り戻す。すると、地元の美食家たちが通う名店が明かりを灯し、大人のためのおいしい“夜の部”が幕をあける。おいしいお酒と料理、鎌倉ならではの幅広い人々との交流など、都心の夜では体験できないちょっとした旅情感。湘南新宿ラインや横須賀線の開通でアクセスも容易になったいま、金曜の夜に仕事を早く切り上げ馳せ参じるもよし、週末にサンセットを楽しんだ後、気になるお店を飲み歩くもよし。もっと気軽に訪れたい、大人のための鎌倉のグルメガイドを2回にわけてお届け。

旅人たちとの出会いをおいしく盛り上げる日本酒＆郷土料理「＋SOBA BAR ふくや」

海外からの観光客増加にともない、ゲストハウスのオープンが続く鎌倉。そのひとつである、人力車の倉庫だった蔵を改築したホステル「Hostel YUIGAHAMA｣の1階にあるのが｢＋SOBA BAR ふくや」。舌の肥えた地元の人たちに愛されている、山形の郷土料理の居酒屋『ふくや』の2号店であるこちらはゲストハウスの1階という場所柄、海外の人を含め、多くの旅人が集うのが面白い。

山形名物｢ダシ｣を大胆にあしらった冷や奴は、お通し感覚で頼みたい。細かく刻んだ、なす、きゅうり、ミョウガ、大葉、納豆昆布を、山形の旨みたっぷりの醤油がまとめる。｢だしやっこ｣500円。

肌寒い夜に食べたくなる煮込み料理を頼むなら、｢山形名物いも煮｣を。きれいに面とりされたじゃがいもは、口のなかでほろっと崩れる“煮加減”が絶妙。さらに、一緒に煮込まれた山形牛がコクを添える。700円。

東北出身の店主、山川正芳さんがセレクトした、はずれなしの日本酒のラインナップより、この日、お店のスタッフがすすめてくれたのが｢純米吟醸あら玉｣。味のバランスがよくどんな料理とも好相性。最初の一杯にも〆の一杯としても。1,000円。

日本の古都にいながら、山形を中心とした東北のおいしい郷土料理とお酒に舌鼓をうちつつ、新しい出会いを楽しむ……。そんな、自由で開放感たっぷりの夜が似合うのも鎌倉ならではの魅力。

餃子とレモンサワーではじめる、鎌倉の夜｢山本餃子｣

腹ぺこで鎌倉に到着したのなら、まずは餃子で腹ごしらえをするのはいかが。女性オーナーの山本さんが切り盛りするこちらの餃子は、ニラ、ニンニクを使っていないため、2軒目を控えていても安心して食べられる。サイズもこぶり、量も6・9・12個から選べるのがうれしい。餃子の具は、お肉は挽肉と叩いたものを合わせたり、隠し味に干しえびを用いたり、皮は邦栄堂製麺のものを使ったりするなど、それぞれに山本さんの“餃子愛”を垣間見ることができる、丁寧な作り。

とりあえずビールと餃子！もいいけれど、ここはあえてレモンサワーをセレクト。餃子と良く合う、果実味あふれる爽やかなレモンサワーは、鎌倉の人気バー｢ヒグラシ文庫｣直伝のレシピで作られた本格派。驚くほど餃子を引き立てるので、ぜひご賞味を。

餃子は6個で450円。餃子に、おかず、ライス、スープがつく、｢餃子定食｣も人気。餃子の数を選べるのがうれしい。6個850円。9個950円、12個1100円。週末限定で登場する蒸し餃子もぜひ賞味したい。

潮風の余韻を感じながら、地産の食材をいかしたメニューでアペロを楽しむ｢oui oui｣

これからの季節は、澄んだ空と海とのコントラストが美しい鎌倉。サンセットを愛でながら海辺の散歩を楽しんだ後、アペロをするならこちらのフレンチビストロへ。10月末にリニューアルオープン1周年をむかえ、ますます人気に拍車がかかっている。

元製氷所を改築したという店内は、天井が高く、ゆとりのある空間。そこに、さまざまな表情を持つアンティークの家具がセンス良く配される。すぐそこが小町通りとは思えない、異国情緒漂うしっとりした空間は、大人にぴったり。カウンター席もあり、窓側の席も両サイドにあるので、女性ひとりでも気軽に立ち寄れる。

料理は、鎌倉野菜や近郊の漁港でとれた魚など、地産のものをアレンジしたアラカルトが中心。定番ながら、ここならではのひねりが施されたメニューはどれも食指を動かされすべて制覇したくなる。これからは、ジビエメニューも登場する予定だとか。パンは、鎌倉の名店｢キビヤベーカリー｣のものを使用。1階でも販売しているので、お土産に購入しても。