炙りソーキの香ばしさ✕まろやか豚骨だしで完成する幸せの一口

阿久津さんもイチオシの「ソーキそば」

真っ白のスープはドロドロではなくサラッとした飲み口。豚骨と鰹のダブルスープはこれまでも見かけることが多かったが、豚骨一本でこのまろやかさとスッキリ感を演出している所に、「なかざ家」の研究を感じる。その味に女性や子どもたちも最後の一滴まで飲み干す姿が見られる。

 

阿久津さん

「なかざ家」さんを知ったのは、そばじょーぐー(沖縄言葉で沖縄そばが大好きな人の意味)の友人が教えてくれたのがきっかけです。初めて来店した時は、スープの白さに感動!「こんなに真っ白な沖縄そばがあるんだ!」と驚きました。あくまで沖縄そばに合う豚骨由来の甘みやまろやかさを活かした丁度良い濃さ、普段は塩分や油分を気にしてスープを残すことも多いですが、あまりのおいしさに全部飲んでしまいます。

そのだしとの相性抜群と言われているのが一番人気のソーキ。口の中でトロッととろける柔らかさに、ほんのり付いた甘いだしの味、表面を炙って脂っこさを飛ばした香ばしい味は絶品。まろやかなだしに沈めるとお互いの旨味を侵食することなく溶け合い、唯一無二のハーモニーを生み出す。口の中が幸せいっぱいで満たされるおいしさだ。

三枚肉の味付けには石垣島のピパーチ(胡椒)が使われ、八重山そば(石垣地方の沖縄そば)の雰囲気も持つ。それは店主のお母様が石垣島出身で、小さい頃に食べていた味がベースになっているから。だしは最後までしっかり飲んでもらえるように、一度炊いたものは捨て、臭みをとってから炊き込むなど下処理に時間をかけている。

まるで薬膳スープのように染み渡る、アクセントの生姜をゴロゴロ三枚肉と

リーズナブルさも驚きの「なかざ家そば」小450円〜

ワンコイン以下のお手頃サイズで学生からも人気! ソーキそば同様、真っ白のスープは自家製の生姜甘酢漬けを加えるのもおすすめ。生姜効果でじんわり身体も温まり、薬膳スープのような深い味わいも楽しめる。この生姜はゴロッと大きめにカットされている三枚肉とも相性が良い。

沖縄そばと合わせることが多い紅生姜。店主の仲座さんはもっと自然に近い生姜を作りたく、沖縄そばに合わせる前提での味付けで考案。これも常連客から大好評で販売を求める声があったが、「豚グース」同様に自家製、しっかり作れる量を店で沖縄そばと一緒に楽しんでもらっていると話してくれた。

コチラも箸でほぐれる柔らかさの「なかざ家そば」の肉
アッサリし過ぎじゃないから純白だしにバッチリ合う!「ジューシー」

沖縄そば店で忘れてはならないジューシーの存在。沖縄そばのだしを使い具沢山を意識して作られた「なかざ家」のジューシーはボリューミーで食べ応えもあり、しっかりした味で存在感もある。

白と白の世界を、まろやかな豚骨が包む優しい味

お肉を使わない「ゆしそば」

もう一品おすすめしたい沖縄そばがこちら。真っ白ダシに浮かぶ白いフワフワゆし豆腐とホワイト率高いビジュアルに、黄色い麺がアクセントに見える。使う豆腐は、全国からも注目の糸満市で37年続く名店「宇那志豆腐店」のゆし豆腐。実は豆腐の味がしっかりしていることでもファンが多い宇那志豆腐、まろやかな豚骨だしとバランスよく絡み、最後まで飽きずスッキリ食べられる優しい味に仕上がる。

「ゆしそば」を食べた人から「豆腐おいしいけどどこのね?」と質問が出て、「宇那志豆腐です」と答えると驚く人も多いそう。それほどまでに有名店の豆腐から新しい魅力を引き出した豚骨だし。そんなだしと豆腐や肉を支える「なかざ家」の麺はもちもち食感とツルツルさにこだわり、オリジナル配合で製麺してもらっているそう。黄色が強く出ているのは真っ白なスープに合わせて「見た目重視!」と笑顔で教えてくれた。

もっと手軽に! ミニサイズのサーターアンダギーが沖縄の枠を超える

手前から時計回りにチョコチップ、紅茶のアールグレー、抹茶

沖縄を代表する銘菓「サーターアンダギー」はよく拳サイズで見かけるが、レジ横に可愛く並んだつつみの中には、2口サイズ。しかも他では見かけないカラフルでポップな印象。よく見ると札にはメープル、コーヒー、カシューナッツにオレンジやチョコなど、他店ではなかなか目にすることのないフレーバーが書かれている。

多いときには10種類以上が並び、どれにするか迷う子どもたちも。でも大丈夫! たくさん食べられるように……という願いを叶えてくれるミニサイズで、選ぶのも楽しく箱詰めして手土産にする常連さんもいるそう。注文は40個、50個と配ることが想定される場合も多く、県内外への通販も行っている。

 

阿久津さん

店主のお母様と奥様が手作りするサーターアンダーギーは小ぶりで食べやすく、外側はカリッと中はふんわりとした食感がやみつきに。抹茶やチーズ、ラズベリーなどユニークなフレーバーで洋菓子のようです。

沖縄そばをはじめ、トッピングや調味料、サーターアンダギーに至るまで細かい部分にこだわりがしっかり存在している「なかざ家」、その根源は本当においしいと言ってもらい、伝統を残しつつ新たな定番を作りたいという思い。今は珍しいだしだけど「沖縄そばなら、なかざ家が好き」と言ってもらえる日まで、味を崩さず地元の人や観光の人にもっと知ってもらえるようにと意気込みを話してくれた。



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撮影:サガワねこ
文:サガワねこ、食べログマガジン編集部