グルメなあの人にお願いして、本当は教えたくない、とっておきのお店を紹介します。今回は、沖縄県内でフリーライターとしても活躍する阿久津彩子さんが注目している、地元人気の弁当店から生まれた沖縄そば店。
教えてくれる人
阿久津彩子さん
2011年創業の編集プロダクションWORD WORKS OKINAWA運営。グルメや観光、経済などさまざまなジャンルの取材・執筆・撮影に取り組むとともに、沖縄の車と食を楽しむドライブメディア「沖縄くるまーい」の編集員として県内各地の魅力を発信。縦列駐車は苦手だが、さらなるおいしいお店を見つけるために(=目当てのお店に安全に駐車するために)運転技術の向上に励んでいる。
純白スープに沖縄そばの未来を託した「濃厚豚骨沖縄そば なかざ家」
「沖縄そば」といえば、鰹だしの透き通ったスープが定番だが、近年は鶏ダシや魚介ダシなど新スタイルが台頭し話題を広げている。その中でも濃厚好きやラーメン好きの心を掴み、リピーターを増やしているのが豚骨ダシ。空港近くの好立地で県内外にファンを増やしている注目店「濃厚豚骨沖縄そば なかざ家」は、そのニューフェイスの中でも一際話題となっている。その理由は、この「沖縄そば」が生まれるきっかけにあった。これからはさらにファンが増え、全国へ名を轟かせるであろう期待を込めて、店を守る仲座さんご夫婦に話を聞いた。
弁当屋時代から大人気だった「沖縄そば」をグレードアップ!
近くに学校やレンタカーショップもあり、車の通りが絶えないこの場所には創業30年の人気弁当屋があった。その店が温かい木の格子に囲われ広々とした沖縄そば店に変身したのが1年半前。きっかけはコロナ禍での度重なる休業期間で、次の展開を見据えての転身。弁当店時代から通称・100円そばと言われる沖縄そばは人気商品だったそうだ。
店の造りはテーブル、座敷、カウンターと使い勝手も良く、平日の昼間はサラリーマンや観光客でいっぱいになる。小さなお子様からオジイオバアまで、幅広い年齢の方が、足を伸ばしたりと自分の楽なスタイルでくつろげる空間だ。オープンキッチンからは常にだしのいい香りが漂い、到着する沖縄そばへの期待が高まる!
阿久津さん
元々ご家族でお弁当とお惣菜の店を切り盛りされており、沖縄そば屋としてリニューアルしてからも家族経営ならではのアットホームな雰囲気はそのまま。お会計の際に「おいしかったです」と伝えると、皆さんとてもうれしそうに接してくださるのが印象的です!
長年続いた弁当屋から沖縄そば店への転身は、もちろん簡単ではない。「店を締める日々が続いた時、人気の100円そばにもっとこだわりたくなってきたんです。元々100円とはいえ自家製だしをとって力を入れて作っていたメニュー、工夫したらもっとおいしくなるぞと思い、それで本格的に沖縄そば一本でやっていく目標が出てきました」。店主の仲座さんは、そう思いを教えてくれた。
店頭に並ぶ人気オリジナル商品「豚グース」。これも仲座さんのお父さんが古酒(クース)好きで、それを使った何かができないか考え、だし取り用豚骨の余り肉と併せて開発された手作り調味料。大量生産はできないものの口コミで評判が広がり、これだけ買いに来る人がいたりクラウドファンディング返礼品に選ばれたりと、注目を集めている。かなり辛めで沖縄そばはじめ汁物だけでなく、麻婆豆腐やご飯との相性も抜群! ネット販売も行っているそう。
そんなアイデアと研究心いっぱいの仲座さんだからこそ生まれた沖縄そば。弁当屋時代のお客さんも多いが、よりこだわったことで今までは訪れなかった年配客も増えたそう。真っ白の豚骨だしは濃厚なコクがありながらスッキリ飲み干せる味わいで、豚骨ラーメンが苦手というオバアも気に入って、家族で通いだしまで飲み干していくのだとか。