〈ニュースなランチ〉

毎日食べる「ランチ」にどれだけ情熱を注げるか。それが人生の幸福度を左右すると信じて疑わない、編集部員や食いしん坊ライターによるランチ連載。話題の新店から老舗まで、おすすめのデイリーランチをご紹介!

ミシュランガイド・ビブグルマン掲載の香港スパイス麺が日本初上陸

コロナ禍でなかなか海外旅行に行けないからこそ、日本でおいしい異国の味を楽しみたいところ。特に気張らず、ローカルに愛される味を手軽に味わえたなら……。そんな願いを叶えてくれるかのように2022年3月31日にオープンしたのが、新宿中央通りに位置する「譚仔三哥米線(タムジャイ サムゴー ミーシェン)」の日本1号店だ。

ブランドカラーである赤をポイントに、革新的でクールな現代の香港を感じられるデザイン 写真:お店から

タムジャイ サムゴー ミーシェンは、香港で人気を誇る米線スープヌードルレストラン。タム家の兄弟たちが前身となる「譚仔雲南米線」を香港・永隆街1号にオープンさせ、その後創業メンバーの一員であるタム家の三男タム・チャップ・クワン氏が2008年にタムジャイ サムゴー ミーシェンを立ち上げた。

香港の街を象徴するネオン、香港で人気のタイル張りが印象的 写真:お店から

ちなみに広東語で「サム」は3番目、「ゴー」は兄弟という意味で、店名はタム家の三男という意味が込められている。2011〜2013年には3年連続で『ミシュランガイド香港』のビブグルマンに掲載。同ブランドは現在、香港・シンガポールで85店舗(2022年3月10日時点)を展開し、香港で毎年3,000万人以上(タムジャイグループ合計の来客数)が訪れる人気店となっている。

写真:お店から

スープ6種類、辛さ10段階、トッピング25種類=組み合わせは100万通り!

同店の特徴は、中国雲南省発祥のお米と水だけで作られた米線(ミーシェン)を使い、6種類の異なる味わいのスープに加え、10通りの辛さと25種類のトッピングを自分好みに組み合わせて楽しめること。その組み合わせは100万通りにも及ぶ。

つるグニュ食感が新鮮な米線は、お米と水だけで作られたグルテンフリー麺

お米と水だけで作られた断面が丸い細麺は、パスタでいうアルデンテに仕上げるため製造過程で発酵させており、グニュッとした食感ながら歯切れが良い。油も使わずグルテンフリーのため、軽やかでお腹に優しい味わいだ。

写真左上から時計回りに「番茄湯(トマト)」「酸辣(サンラー)」「三哥酸辣(サムゴーサンラー)」「煳辣(ウーラー)」「清湯(クリアスープ)」「麻辣(マーラー)」 写真:お店から

スープは、なめらかで口当たりが良い全てのスープのベースとなっている「清湯(クリアスープ)」550円に、トマトのフレッシュな甘さと酸味、スパイスの豊かな香りがあいまった「番茄湯(トマト)」670円、花椒(ホアジャオ)オイルとチリパウダーによる辛さと痺れにコクとうま味が合わさった「麻辣(マーラー)」610円、辛さと酸味のバランスが最適な「酸辣(サンラー)」610円、焦しスパイスの香りと風味が際立つ「煳辣(ウーラー)」610円、中国のお酢からくる酸味とスパイスの辛味が合わさり、更にそこにコクとうま味が加わった「三哥酸辣(サムゴーサンラー)」670円の6種類。

香港では「マーラー」、「クリアスープ」、「トマト」の順に人気だという。ちなみにこれらのスープにはレギュラーで300gの米線が入り、高野豆腐、モヤシ、ニラがトッピングされている。

辛さ最大の「特辣」にした「マーラー」のスープ。時間差でやってくる辛さは強烈だが、うま味も強く感じられ、辛いもの好きならクセになること請け合い

辛さは10段階からお好みの辛さを選べる。初心者におすすめなのは一番辛さを抑えた10小辣で、数字が小さくなるごとに辛さが増す。ちなみに香港では10小辣と5小辣が人気だ。激辛好きにおすすめなのは、「マーラー」スープの小辣。食べて5秒後くらいに辛さがくるが、ただ辛いだけではなくしっかりとしたうま味が感じられるのが魅力だ。また、辛さが苦手な人は、全く辛くない「不辣」が選べる「トマト」や不辣のみの「クリアスープ」がおすすめ。

好みの具材を選べるトッピングは圧巻の25種類! 写真:お店から

トッピングは、肉、野菜、きのこ、魚介のボール系など25種類(90〜190円)。香港では「鶏むね肉」「豚バラチャーシュー」「豚ひき肉炒め」が人気で、シグネチャートッピングとなっている「いかボール」や「フィッシュボール」「三角揚げ」は本国から輸入している。

編集部注目は、スープがまるで薬膳火鍋な「煳辣(ウーラー)」と「三哥酸辣(サムゴーサンラー)」

写真左から「三哥酸辣(サムゴーサンラー)」と「煳辣(ウーラー)」

今回6種類のスープを食べ比べて編集部が注目したのが、スパイス感が強く、薬膳火鍋のような香りが立ち込める「ウーラー」と「サムゴーサンラー」。どちらもベースの辛さが5小辣となっている。今回はスタッフおすすめだという、豚バラチャーシュー、チンゲンサイ、シイタケを「ウーラー」に、豚ひき肉炒め、ベビーイカ、マイタケを「サムゴーサンラー」にトッピングして食べてみた。

焦がしたスパイスの香りがなんともクセになる「ウーラー」

「ウーラー」に使用しているスパイスや配合などは企業秘密だというが、焦がしたスパイスが力強く香り、しっかりとしただしの塩気は薬膳スープのような味わい。たっぷりのチンゲンサイや、豚バラチャーシューのコク、シイタケのうま味とよく合い、体の芯から温まる。5小辣ながらそこまで唐辛子系の辛さが強くなく、麻辣でいうと麻(しびれるような辛さ)の方が前に出ていると感じた。

スパイシーでホットな味わいが魅力の「サムゴーサンラー」

「サムゴーサンラー」は「サンラー」よりもパンチの利いたサンラーといった印象。スープにはラー油のようなものが浮かび、多彩なスパイス使いからも酸味がアクセントになった火鍋のようにも感じられた。トッピングする具材や、辛さの調整によって値段は上下するが、1,000円以下で本格的な火鍋スープのような味わいが堪能できるのは画期的だ。

香港の定番スタイル!「香港レモンティー」や「トーフェイ・チキン」をお供に

「香港レモンティー」には輪切りのレモンがしっかり4枚入り

米線と合わせて、「香港レモンティー(ICE/HOT)」280円とサイドメニューの「トーフェイ・チキン」380円(3個)をオーダーするのが香港の定番スタイル。タムジャイ サムゴーこだわりのティーベースを使った、ちょっぴり甘めの香港レモンティーは、熱々でスパイシーな米線スープのお供にぴったり。レモンをつぶしてお好みの酸味で飲むのが香港スタイルだ。

「トーフェイ・チキン」

「トーフェイ・チキン」は湖南料理の一種・トーフェイ料理をイメージしたメニューで、クミンなどのスパイスをまぶした手羽中を焼き上げている。香港では似た商品が出回るほど人気を博した一品で、こちらのトーフェイ・チキンは香港で商標登録もされているという。

店内のネオンランプでも「うちのトーフェイだよ!」とキュートにアピール

このほかにも豚バラにニンニクソースをかけた「豚バラチャーシューにんにくのせ」550円(小)/950円(大)、「ピータン」350円など、お酒にもよく合うサイドメニューが多数ラインアップ。日本限定メニューの「丸ごとトマトの黒酢ソース」350円や「ほうれん草のマスタードソース」300円も揃う。

日本限定メニューの「ほうれん草のマスタードソース」

4月14日には2号店の吉祥寺店を、4月21日には3号店の恵比寿店のオープンも控えている「タムジャイ サムゴー ミーシェン」。一杯640円〜という良心的な価格で、アルコール以外のメニューはすべてテイクアウトにも対応。一人でも気軽に、香港で人気のローカルな味わいを楽しめるなんてうれしい限りだ。

※価格はすべて税込

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

※営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、最新の情報はお店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

取材・文:中森りほ

撮影:食べログマガジン編集部