焼きそば専門店ができたり、「2017年はこだわり系焼きそばがヒットする!」と某雑誌が太鼓判を押したかと思えば、「いや、ヒットしない!」とギャル曽根さんがぶった切ったり、焼きそば業界がじわじわ熱く盛り上がっております。

 

でもやっぱり焼きそばは、家で作ってワシワシ食べたいもの……。しかも濃厚ソース系って、飲み過ぎた次の日、二日酔い気味のときに食べたくなりますよね? あれ? なりません? あれ?

 

そんな話をタベアルキスト・マッキー牧元さんとしていたら、彼が驚愕の焼きそばレシピを3つ提案してくれました。正直、腰が抜けました。さっそくご紹介します。

マッキー牧元の焼きそば劇場

①四川風田舎焼きそば 小子麺

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四川風田舎焼きそば・小子麺。その店は環七沿いにあった。

 

横浜で何か食べて帰ろうかなと思う日もあったが、その店「吉華」のことを思うと、もう居ても立ってもいられなくなり、いつも空腹を抱えて車に乗った。

 

車を停め、店に向かう。歩きながら、担々麺を思い浮かべて、涎が出る。腹が鳴る。

 

辛い。ただ辛いだけではなく、複雑な香りがあって、麺をすするたびに変化していく。そんな坦々麺だった。

 

店の片隅に座り、坦々麺を頼もうとすると、ご主人の久田大吉さんが現れて、「今日は違う麺料理を作るよ。焼きそば好き? 四川の田舎焼きそばね」。そう言って厨房に下がった。

 

焼きそばもきっと辛いのだろうな。そう思って待っていると、運ばれてきた焼きそばは、辛さとは無縁の料理だった。

 

優しい。優しいが味の奥底に、こちらをとりこにしてしまうクセがある。食べ終え、何日か経つと、また無性に食べたくなる焼きそばだった。

 

以来、坦々麺はやめてこの小子麺を思い浮かべて「吉華」に向かうことになる。

 

「吉華」はもうない。お酒が大好きだった久田さんは、去年お亡くなりになられた。

 

僕は、久田さんの人懐こそうな笑顔を思い浮かべながら、今日もこの焼きそばを作る。

 

<材料>1人分
マルちゃん焼きそば・・・1人前
豚肉・・・60g
干しエビ・・・30g
ザーサイ・・・20g
長ネギ・・・1/5本
卵・・・1個
水溶き片栗粉・・・大さじ2
鳥ガラスープ・・・小さじ1
しょうゆ・・・小さじ1
サラダ油・・・適量
日本酒・・・小さじ1
塩・・・少々

 

<作り方>
1.干しエビをお湯で戻したら取り出し、鳥がらスープを小さじ1杯加えてスープを作る。取り出したエビ、ザーサイ、長ネギをみじん切りにする。エビ、ザーサイはボウルに、ネギは器に取り分けておく。

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2.マルちゃん焼きそばの麺をざるにあける。しょうゆをほんの少し垂らし、麺をほぐしながら混ぜ、下味をつける。

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3.フライパンに油をたっぷり入れ、キッチンペーパーでまんべんなく伸ばす。2.で下味をつけた麺を入れ、少し置いておく。片面がカリッと焼けたらひっくり返し、両面を焼く。箸でいじらないのがポイント。

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4.もうひとつフライパンを出し、油を適量入れる。豚肉を強火でよく炒めたら、1.のザーサイと干しエビを入れる。
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5.1.で作ったスープを回し入れる。日本酒、しょうゆ、塩を加え、味を整えたら火を弱める。ネギを入れて、混ぜ合わせたら水溶き片栗粉でとろみをつける。

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6.卵を溶いたら豪快に回し入れ、混ぜる。3.の麺をお皿に出し、餡をのせる。

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②カレー焼きそば

 

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二日酔いで頭に霞が掛かっている時は何もしたくない。

 

風呂に入り、白湯と梅干しでも食べてじっとしていたい。しかしそんな消極的な姿勢では、二日酔いをのさばらせるばかりである。

 

こういうときは、二日酔い撃退焼きそばを作るのがいい。食べてやっつけるだけでなく、手を動かし、頭を少し働かせることによって、徐々に二日酔いを後退させていくのである。

 

作るなら、辛く、簡単だが、手順が多い方がいい。そして行き着いたのがこの焼きそばである。

 

冷蔵庫に卵があるのを確認したら、コンビニでマルちゃんの焼きそばとウインナー、青のり、紅しょうがを買って家に帰る。なあに今夜は飲み過ぎだなんて日は、帰り道に買ってきてもいい。

 

ま、僕の場合は、二日酔い常習者でありますから、マルちゃんの焼きそばとウインナー、青のり、紅しょうがにジャガイモもは常備していますけどね(威張るところではない)。

 

ウインナー、野菜を切る。炒める、麺を炒める。カレー粉を振る。

ほうらどうだ。このあたりで少し二日酔いが引いてきたぞ、そして出来上がり。カレーの香りに、消えていた食欲が復活する。

 

胃薬より効果てきめん。でも本当は、二日酔い仲間がいて、そいつのために作り、一緒に食べると、もっと効果があるのだがね。

 

 

<材料>1人分
マルちゃん焼きそば・・・1人前
カレー粉・・・小さじ2
ウインナー・・・3本
ジャガイモ・・・1/2個
キャベツ・・・1/10個
卵・・・1個
ニンニク・・・1粒
ショウガ・・・1/10個
紅しょうが・・・適量
七味・・・適量
ウスターソース・・・小さじ1
とんかつソース・・・小さじ1
サラダ油・・・適量
日本酒・・・小さじ1
塩・・・少々

 

 

<作り方>
1.ジャガイモは棒状に細く、ウインナーは縦半分に、キャベツはざくっと切る。ショウガは洗ってから、ニンニクは包丁の柄でつぶしてから、それぞれ細く切る。

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2.フライパンに油を垂らし、ショウガとニンニクを入れてから火を付ける。香りが出てきたら七味を入れ、中火でジャガイモを軽く炒める。

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3.塩を振り、ジャガイモに透明感が出てきたらウインナーを入れる。さらにキャベツを入れ、ある程度炒まったらカレー粉を加える。

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4.日本酒を入れ、味付けにウスターソース、とんかつソースをほんの少し入れる。新しいフライパンを出し、目玉焼きを作る。

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5.さらにフライパンを出し、マルちゃん焼きそばの麺をほぐしながら、弱火で片面だけパリッと焼き上げる。

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6.添付の粉末ソースを4/5加える。さらにお好みでカレー粉を。具材を混ぜ、お皿に出す。目玉焼き、紅しょうがをのせる。

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③ペヤング香港風

 

マッキーさん 083香港に行くと、まず九龍にある周さんの店に行く。

 

この店は、雪蘭(シェンラン)に教えられた。明治大学に留学していた雪蘭とは、六本木のバーで出会い、何度かご飯を食べるうちに深い仲になっていった。

 

彼女の実家のあった香港へも幾度も旅をした。

 

「ただいま!」

 

香港につくと、彼女は真っ先に周さんの店へ向かった。彼女が小さい頃から通っていた店だという。

 

「家でお母さんの料理を食べるより、ここで食べると帰ってきたって感じがするの」

 

そういって彼女は知的な目を輝かせて笑った。薄い上唇の右横にある小さなホクロが、僕の心を焦らす。

 

鹽焗雞、菠蘿生炒骨、蓮藕餅、 泥鯭肉丸粥、大豆芽菜炒肉鬆、黃沙豬潤。

 

名物料理をよく食べた。でも〆はいつもシンプルなオイスター風味の勞麺だった。雪蘭は、黒酢を掛けて食べるのが好きだったなあ。

 

昨夜もペヤングで、周さんを思い出しながら作った。牡蠣油のうま味に微笑み、五香粉の香りに目を細めて食べる。家の中が次第に九龍へと変化していく。

 

途中で黒酢をたらりと掛けて食べる。ズルルル。

 

その瞬間、どうしようもないほどの切なさで、胸がいっぱいになった。

 

 

<材料>1人分
ぺヤング・・・1個
ウインナー・・・2本
長ネギ・・・2/5本
ミョウガ・・・お好み
五香粉・・・適量
オイスターソース・・・適量

 

 

<作り方>

1.ウインナーは輪切り、ショウガは洗ってから細切りに、長ネギで白髪ネギを作る。ぺヤングを開け、かやく、ソーセージを入れる。

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2.お湯を入れる。食材が入っているので、カップの内側の線より少し上までちょっと多めに。3分半待つ。

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突然ですが……

お湯を注いで何分待ちがベスト!? 調べてみました

 

ちなみに、お湯を注いでから3分待つのが本当にベストなのか!? という疑問が湧き、やってみました食べ比べ。2分、3分、4分、5分、6分の中で1位に輝いたのは……ダダダダダ ジャン(ドラムロールの音)。

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満場一致で4分!!
(マッキー牧元&編集者調べ)

 

麺のコシと歯切れの良さが絶妙なバランスでした。これは麺だけ食べた結果なので、ソースを入れると違うのかも(実際、ぺヤング香港風は3分半を推奨)。
次は味ありで検証してみます!(勝手に前のめり)

 

 

 

3.添付のソースをほんの少し残して入れ、さらにオイスターソースを2回しほど入れる。オイスターソースも加えるとうま味が増す。

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4.白髪ネギとミョウガをトッピング。最後に、五香粉を振って香りをつける。マキソバ_170223_0006

【編集後記】

個人的にはカレー焼きそばの斬新さが、瞠目でした。カレーと焼きそばという主人公同士が、お互いを高め合いながら活かし合っているのです。それはさながら、鯉(蛟)が滝を登りきり龍になっていくような壮大さでした。そんな龍味を味わいました。

 

焼きそばが龍になるのです。

 

……。

…………。

 

それでは、また!