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森脇さんのお気に入り! 11品を良心価格で味わえる「焼肉特撰コース」
カウンター席で肉のプロが火入れするステーキも魅力的だが、森脇さんのおすすめは、盛りだくさんの11品を堪能できる「焼肉特撰コース」11,000円。そのコースに含まれるメニューの中から、特に森脇さんがゾッコンだという3品をご紹介。
加藤牛肉店の伝統的な逸品「手ほぐしコンビーフ」
コンビーフは加藤牛肉店を代表するメニューのひとつ。脂で固めている一般的なものとは異なり、塩漬けにした山形牛を6〜8時間炊き込むなど、徹底的に脂を落としているのが特徴だ。焼肉特撰コースでは、人肌程度に温めたものを、カリッとトーストしたバゲットにのせて提供。上半分は純粋にコンビーフの味を活かし、下半分はトリュフオイルの香りを加えている。
森脇 慶子さん
何も手を加えずに、そのまま食べてもおいしいです! この間、雑誌の企画でお取り寄せしたときは、ほぐしてから常温になじませ、そのままムシャムシャ(笑)。温かいご飯にのせて、予熱で温めるのも好き。しっとりとした口当たりになるんですよ。
厚切りの牛タンは中まで火を通すのがトレンド「特撰タン」
一般的に牛肉と、その内臓は販売の権利が異なる。牛肉を一頭買いした場合でも、その牛タンやモツ肉は仕入れることができない場合が多い。そのため和牛を専門とする焼肉店ながら、牛タンだけは外国産といったケースも多々ある。
こちらの焼肉特撰コースで提供される牛タンは、正真正銘の山形牛。生産者や仲買人と深い繋がりを築いているからこそ、加藤牛肉店では内臓を含む本当の一頭買いが行えるのだ。しかも焼肉で使用するのは、舌の根本に近いやわらかい部位。その中心部だけを切り出したという特撰タンは、非常に贅沢な一皿である。
森脇 慶子さん
牛タンはしっかりと焼いた方がおいしいと思います。私が若いころは、さっと焼いたほうが良いって言われてたんだけど……ここ7〜8年は、しっかり焼くのが主流。肉の香りが高まり、サクッとした食感になりますよ
食べ比べれば違いもはっきり分かるはず「こだわりの山形牛赤身3種食べ比べ」
カメノコ、肩サンカク、内モモ、シンシン、トウガラシ、ブリスケといった希少部位から、仕入れ状況により厳選したものが提供される山形牛赤身3種食べ比べ。
「部位によって厚みを変えるなど、カッティングがとても綺麗。それぞれの肉の特徴をよく理解していることが伝わります。おいしい焼肉屋さんって、カットを見れば大体分かりますよね」と森脇さん。
焼肉特撰コースでは、同じ赤身でも味の変化が楽しめるように、違いがわかりやすい部位がバランス良く盛り付けられているのもうれしい。
森脇 慶子さん
カルビやホルモンなど、脂の多い部位は基本的に塩味が好きですね。特に加藤さんのお肉は繊細な味の違いを楽しむために、塩です。例えば肩サンカクと比べてカメノコは弾力があり、赤身の味もしっかりしているので私の好みですね。内モモに関しても、部位によってサシが多く入っているところもあれば少ないところもあるのですが、今日の内モモは特にサシが多い場所を使っているので、いつもより強く肉の甘みを感じます。じっくりと味わって、ぜひ肉質の違いを感じてみてください。
コースから外れてアラカルトに寄り道するのも、感動の一皿と出合う秘訣
山形牛サーロインで作る生ハムのとろける食感「ブレザオラのサラダ」
一般的な生ハムは豚肉だが、イタリア北部では牛肉を使用したブレザオラも作られる。その調理法を駆使して加藤牛肉店が開発したのが、山形牛のサーロインの生ハム。特徴は、比喩ではなく、本当に口のなかで溶けるところ。脂の融点が低い、出産未経験の雌の山形牛だけを扱う強みを、存分に活かしたメニューなのだ。
森脇 慶子さん
焼肉特撰コースを楽しみながら、アラカルトでステーキやハンバーグなど、気になるメニューを追加するのも良いですね。牛の街である西麻布の醍醐味は食べ比べですが、このお店だけでも十分に満喫できます。加藤さんのお肉は質が良いから、霜降りでも全然しつこくない。1kgぐらいならペロッと食べ切れます
森脇 慶子さん
お店でも食べますし、ときどき自宅にも取り寄せています。レタスなどのクセがない野菜と合わせるのが良いですね。ほかの食べ方は、なんだかもったいない気がして……本当に一瞬で溶けちゃうから! シンプルに味わうのが一番だと思います。
山形牛がもたらす、口福の味を噛み締めて
当然のことながら、他人の評価は必ずしもあてにはならない。とどのつまり、感動の一皿を決めるのは自分自身の感性だ。だからこそ森脇さんは食べ歩きを続けるのだろうし、そのなかで「焼肉ステーキ あつし」との出合いもあったのだ。もしも店に興味が湧いたのであれば、一旦すべての評価は忘れ、山形牛の味わいを純粋に楽しんでみてはいかがだろうか。
※価格はすべて税込