2021年7月29日に発表した「食べログ ステーキ 百名店 2021」。こちらにちなんで先日公開された解説記事に続いて、今回は【アメリカンステーキ・日本式ステーキ・お手頃価格ステーキ】の3ジャンル別に、ステーキのおすすめ店を紹介します! 教えてくれるのは、前回に続き、肉料理&アメリカ料理に精通するハンバーガー探求家の松原好秀さんです。
教えてくれる人
松原好秀
ハンバーガー探求家、評論家。2014年に『ザ・バーガーマップ東京』(幹書房)出版。ウェブ・雑誌の連載のほか、テレビ・ラジオの出演も多数。2017年夏には映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』の公開記念キャンペーンの企画協力も担当した。
お肉パワーで暑さを吹き飛ばせ! 専門家が選ぶこの夏おすすめのステーキ店はこの3つ
1【アメリカンステーキ】「BLT STEAK ROPPONGI」
「BLT STEAK」は米国NYのお店です。NYの旗艦店オープンは2004年。従来のステーキハウスの古風なスタイルに、フレンチの要素などを取り入れ、NYのステーキシーンに新風を巻き起こしました。日本上陸は2014年。国内1号店がこの六本木で、銀座と大阪にも店があります。
店内は、高さ6mという吹き抜けの高天井。テラス席あり、中二階あり、奥に個室もあって、通常は128席のところを、現在はゆったりと席を配置しています。
アミューズ(最初の小皿料理)からメインまで、モダンに、おしゃれに、洗練された料理の数々がBLTの魅力です。「マグロのタルタル」や「シーザーサラダ」も相当おいしくて、ステーキに辿り着くまでに十分満足してしまいそうなほどの逸品揃いですが、BLTと言えば、パンの代わりに出てくる「ポップオーバー」が店の代名詞になるぐらい有名。シュークリームの皮のような不思議なパンで、グリュイエールチーズが上からかかっています。
こちらが今回いただくお肉。USDA(アメリカ農務省)認定のプライムグレードのTボーンステーキです。量はfor2(2人前)、750g超。四辺がカクカクッとしているのが特徴的です。BLTではこのTボーンをはじめ、骨付きの肉のみドライエイジング(乾燥熟成)していますが、そもそも、プライムグレードの肉は熟成させずとも十分やわらかいので、独特の風味や旨味を得ることがエイジングの目的だそうです。
上記が専用の焼き窯の写真です。肉の両面にバター、塩コショウを振った後、925℃の高温で表面を焼き込み、その後、250℃ほどの別の段に移して静かに火を入れます。肉を少し「休ませる」ことで旨味が内部に閉じ込められるのだそう。
焼き上がりました。T字形の骨を境に上がサーロイン、下がヒレです。サーロインは、よく焼けた表面がカリカリのシャリシャリ。噛むと脂身が「ぷちっ!」とはじけて広がります。この辺がアメリカンなステーキならではの豪快さ。
一方のヒレは、何と言ったらいいか……歯応えはゼリーのようにやわらかくて「ヒレってこんな味になるんだ」という新たな発見のあるヒレでした。味に慣れてきた頃に2種類のソースがちょうどいい「味変」の役割を果たします。
なお、NYのBLTで一番出るのは「ヒレ」だそうです。つまり、BLTの推しは「ヒレ」ですね。でも、サーロインの「はじけ」感も堪らないんですよねぇ。その両方が食べられるのがTボーンと。ほかにもトマホーク、ハンガーステーキなど色々あるので、どうぞ皆さま、大いに悩んで決めてください(笑)。
※価格は税込・ディナータイムはサービス料別