【カレーおじさん\(^o^)/の今月のカレーとスパイス】2025年8月を振り返る

猛烈な残暑、まだまだ暑さは続きそうです。暑い時期には暑い国の料理を食べるのが良いと言われますが、もはや日本も世界的に見ると夏に関しては相当暑い国に入るのではないでしょうか。だからこそ元々暑い国の料理だったカレーがさまざまな進化を遂げて愛されているのでしょう。今月もクロスボーダーなカレーをご紹介しました。

  1. 南インド×フランス×日本! 世界一周的スパイスそばの名店
  2. ネパール料理を新しいスタイルで提供する人気店の姉妹店
  3. タイ風カレーにスパイスカレー焼きそばまで、楽しい立ち飲みバー
  4. スリランカ×大阪 さまざまな名店シェフたちに薫陶を受けた流浪の間借りカレー店が遂に独立!
  5. スパイスカレー的インドカレーとイタリア的スパイスカレー! 群馬の注目すべき2つの新店

以上6店舗。どこも確固たる個性のあるお店ばかり。似たようなお店が無ければわざわざでもそこに食べに行くしかないわけで、だからこそ常連が付いて人気店となるのでしょう。

飲食店、特にカレーのお店は物価高で苦難の時代ですが、生き残りのヒントも隠されているかもしれませんね。

【第1週のカレーとスパイス】夏の間に食べておきたい! マニアだけが知る“スパイスそば”の名店シェフが新店をオープン「そばと肴 禅」

京王よみうりランド駅近くにあった「手打蕎麦 はしば」のシェフが独立し、2025年5月5日、調布に「そばと肴 禅」をオープンさせました。

2025年5月5日、調布にオープンした「そばと肴 禅」

オープンからしばらくは店名の通り、そばと王道の酒肴で営業していましたが、夏の季節となり遂に僕の大好きなカレー系そばもスタートしました。

店内のカウンター席
テーブル席も完備

そば通の中には「カレーそばは、そばの香りが消されるから邪道」と語る方も少なからずいますが、こちらはそば自体もスパイスのひとつとしてとらえ、その香りも含めて全体の味を設計しているお店なので、邪道と思っている方にこそここのカレー系そばを食べてほしいです。

「おから」

そば前にシェフおすすめの「おから」500円を頼んでみると、だしガラのうまみがしっかりと感じられ、ミョウガがのり爽やかで個性あるおいしさで早速素晴らしい。

カレー系そばは2種ありました。

「ハモと夏野菜のラッサム蕎麦」

まずは「ハモと夏野菜のラッサム蕎麦」1,800円。ラッサムとは南インド料理の酸味と辛味が特徴のカレースープ的な料理なのですが、冷製のラッサムにラタトゥイユ的な夏野菜とハモの天ぷらがのるという独創的すぎる冷やしそば。ハモ天もラタトゥイユもそれぞれおいしく、一緒に食べてさらにおいしい。

味変には、ライタを彷彿とさせるバジルソースをかけて召し上がれ!

味変用のバジルソースもあるのですが、これもインド料理のライタ(ヨーグルトのサラダ)をイメージさせつつ、バジルでイタリアの風が吹きます。このさまざまな国の料理のテイストが混ざり合う中で、香りの良い朝天唐辛子がビシッと味を引き締めるという設計。

そばの割合は、そば粉10:つなぎ1の外一

カオスなようでいて紛れもなくそばが主役であり、このそばがラッサムにもラタトゥイユにも負けない香りと喉越し。そばは自家製粉した十割のそば粉につなぎを一割入れた「外一」だからこそでしょう。

「豚バラとあずきのポークビンダルつけそば」

「豚バラとあずきのポークビンダルつけそば」1,800円も面白さとおいしさの共存が光る一品。ポークビンダルとはインド南西部ゴア地方の郷土料理で、酸味と辛味が特徴のカレー。

温・冷で異なるスパイス×そばの風味を堪能したい

酸味と辛味というと先述したラッサムも同じなのですが、ベクトルの違う酸味であり辛味なので食べ比べるのも楽しいです。和風ポークビンダルーとも言えるつけ汁は温かく、冷製のラッサム蕎麦との対比もよく考えられていると感じました。

「ミニ鶏キーマ丼」

さらには「ミニ鶏キーマ丼」600円も。こちらはそばに合わせるミニカレー的な立ち位置なのですが、しっかりスパイシーでありながら、カツオ、昆布、椎茸のだしと隠し味に味噌でご飯と合うように設計されたもの。出汁キーマ的な趣もあり、これだけでもカレー専門店に負けないおいしさで「流石!」とうなりました。

鶏キーマ丼は、そば飲みの〆にも最適!

スパイス系のそばは9月頃まで提供予定。具材や内容はその時期によって変わる場合もあるとのことですが、スパイスそばが無くともおからはじめ、さまざまな酒肴や鶏キーマ丼があるだけでも行く価値のあるお店です。いや、やはりこの唯一無二のスパイスそばを味わうべきなので、まずは夏のうちに行くことをおすすめします。

そばはもちろん手打ちです

そば好きもスパイス好きも酒好きも楽しめるお店。どれも好きなら虜になることうけあいの新店です!

【第2週のカレーとスパイス】ピンクのソースは何味? ネパールの小籠包“モモ”の専門店が西新宿にオープン「MOMO Stand Tokyo 2nd」

広尾の知る人ぞ知る新感覚ネパール料理店「MOMO Stand Tokyo」が、西新宿に姉妹店の「MOMO Stand Tokyo 2nd」を2025年7月18日にオープンしました。

2025年7月18日、西新宿にオープンした「MOMO Stand Tokyo 2nd」

モモとはネパールの小籠包とも呼ばれる料理。皮で包んだ肉や野菜のあんを蒸したり揚げたりして食べる料理なのですが、全国各地でよく見かけるインドネパール系のお店の定番メニューともなっているものです。

バーのようなお洒落な空間

こちらのお店ではそのモモにスタイリッシュな工夫を加えて提供するということで、お店の雰囲気からして他のネパール料理店とは一線を画すおしゃれで落ち着いた雰囲気です。

「モモサワーセカンド」

まずは「モモサワーセカンド」880円で乾杯。モモと言ってもこちらの場合は桃のこと。カルダモンと一緒に桃を漬け込んだお酒のサワーで、すっきりとした甘さが良い感じ。

「2nd ベジ モモ」

「2nd ベジ モモ」682円は、じゃがいもなど野菜あんの温かいモモに冷たいビーツのソースをかけた、本店と違う2nd限定のスタイル。彩りも良く、前菜に持ってこいです。

ソースのピンク色はビーツ由来

「シーフードカレーモモ」682円はアサリをメインとした魚介あんのモモにホワイトソースをかけ、クミンパウダーをあしらったもの。クラムチャウダーカレーのようなフュージョンを感じます。

「シーフードカレーモモ」

ちなみにモモは通常1人前2個ですが、2人で行くと1つずつ盛り付けて出してくれるホスピタリティもうれしいです。

クラムチャウダーのような仕上がり

「ポークセクワ」462円、「ラムセクワ」528円は、それぞれ焼き具合も程よく炭の香りが香ばしく、それがおいしさにつながっています。

「ポークセクワ」と「ラムセクワ」

〆の「ダルバート」はほっくりとした豆の歯応えを残したダルに、マイルドなラムカレー。どちらもリッチなテイストで、お店の雰囲気同様他のネパール料理店と一線を画すテイストです。

「ダルバート」880円

カウンター席のみならずテーブル席も充実。一人で行って軽く飲むも良し、グループで行ってさまざまなモモを食べ比べるも良し、さらにはデートにも使える雰囲気なので、色々なニーズに対応してくれます。

ネパール料理激戦区の大久保からも徒歩で行ける場所ですが、少し離れていて少し違うというのが楽しいです。

【第3週のカレーとスパイス】神田飲みの〆にカレー焼きそばはいかが? ガード下の人気店が2軒隣に移転リニューアル「kitchen723」

神田駅から秋葉原駅をつなぐガード下の人気店「kitchen723」が、2025年7月23日(723の日!)に、2軒隣の店舗に移転しました。こちらの場所は元々kitchen723の姉妹店だった「Trieste」のあった場所で、kitchen723に統合移転という形となりました。

7月23日、723の日に移転オープンを迎えた「kitchen723」

ランチ営業は無し(Trieste時代からランチに間借り営業していた「mami+spice」が継続してランチ営業)、kitchen723としては夜のみの営業となりました。

移転後は夜のみの営業に

元々はバーだったため本来の姿になったというわけで、バーらしい「ちょい呑みセット」1,500円を。日替わりのスパイスおつまみ2つとドリンクのセットです。

「ちょい呑みセット」

この日のおつまみはゲーンハンレーと似ているようで少し違うタイ風ポークカレーと、ローストラム。どちらもスパイス料理としてレベルが高く、個性もあるおいしさです。飲み物はレモンサワーを選びましたが、こちらも炭酸の具合が心地よいです。

ローストラム(写真奥)とタイ風ポークカレー(写真手前)

しっかり食べたい方は看板メニューの「723全のせカレーセット」1,800円がおすすめ。定番のチキンカレーと日替わりのカレーに副菜がのるワンプレートにドリンクがつくセットです。

「723全のせカレーセット」

ハーブの利いたヘルシーなチキンカレーは安心安定のおいしさ。比較的カロリーが低いというのもうれしいポイントです。もうひとつは海老カレーでしたが、こちらもシャバッとしたテクスチャで王道のスパイスカレーといった趣。ご飯はこんにゃく米を使用しているのでチキンカレー同様低カロリーです。

「カレー焼きそば」

少し変わったものをつまみたい時は「カレー焼きそば」1,000円がおすすめ。

麺とカレーソースの相性バッチリな一皿

ごくごく普遍的なソース焼きそばに723のチキンカレーをかけたものなのですが、ソースとカレーの味の相性が良く、どんどん箸が進みます。

「ラムとポークのスパイス肉団子」

「ラムとポークのスパイス肉団子」800円もインド料理のコフタと家庭料理のミートボールの間くらいの着地が楽しいです。

女将さんの軽快なトークが聞けることで人気の1階カウンター席

1階は立ち飲みスペース、2階にはテーブル席もありますが、女将なっちゃんのテンション高く楽しいトークも聞ける1階席が人気。外から見て混んでいるように見えても2階は空いているということも少なからずありますから、一声かけてみてください。

カレー激戦区神田エリアの個人的お気に入り店。今後も通い続けたいお店です。