〈ニュースなランチ〉

毎日食べる「ランチ」にどれだけ情熱を注げるか。それが人生の幸福度を左右すると信じて疑わない、編集部員や食いしん坊ライターによるランチ連載。話題の新店から老舗まで、おすすめのデイリーランチをご紹介!

「寿司おさむ」から「オカミハウス」へ、味と心意気を継承

恵比寿駅西口ロータリーから歩くこと数分、恵比寿南の交差点に「白金オカミハウス復活!!」という何やら怪しいのぼり旗が立っています。その横には、見たら入らずにはいられなくなる「うにごはん」の写真。そう、ここが最近SNSを賑わせている「恵比寿南オカミハウス」です。

迎えてくれるのが女将の小林温子さんです。まずは“オカミハウス復活!!”とはどういうことかを聞いてみました。「このお店の前身は1977年に西麻布で創業し、広尾、白金と移ってきた『寿司おさむ』です。白金時代から土日祝日だけお寿司屋のB面的な扱いで居酒屋『オカミハウス』をやらせてもらっていました。コロナが影響して移転先がなかなか決まらず、やっと営業できることになったのです!」と、復活がうれしくて仕方がない様子。

笑顔が素敵な女将の小林温子さんと、「寿司おさむ」の大将・齋藤修さん。今は裏方で小林さんを支えています

もともと「寿司おさむ」は小林さん家族が行きつけのお寿司屋さんでした。大将の齋藤修さんはご夫婦でお店を営んでいましたが、奥さまが他界されたことで廃業やむなしという状況になってしまったのです。小林さんは大好きなこの味を絶やしたくない、お店を失いたくないという一心で養女となりお店を継承することを決意したそうです。小林さんのご両親もその強い思いを応援してくれ、2013年から2代目女将となりました。

一膳で2度、3度、4度おいしい、うに飯膳の食べ方教えます

この品数で1,500円とは驚きのプライス!

さて、お待たせしました。話題の「至福のうに飯膳」 (1,500円)をご紹介いたしましょう。御膳にはうに飯、海苔、サラダ、プチ刺身、牛すき焼き小鉢、玉子焼き、具沢山のお味噌汁、お漬物といったラインアップ。

ひと品ひと品、すべてにこだわりがあります。この美しい玉子焼きもしかり。卵液は鶏卵3個に対して鰹と昆布で取った出汁を50cc、あとは薄口醤油とみりんを入れます。フライパンには油を引かずスクランブルエッグの要領で空気をたっぷり入れながらかき混ぜてしまいます。3〜4回くりかえしたら最後に卵液を流し込み巻くようにして返します。

この場所じゃなければ編み出せなかっただし巻き卵

最後の“返し技”はちょっと難しそうですが、この作り方だと外側はしっかりとしていて中はふかふかでふっくら。食感は洋風ですが味わいは醤油と大根おろしがよく合う和食の玉子焼き。「プチ刺身」は日替わりで牡蠣、アジ、鯛など、旬の魚を用意しています。

食欲をそそる顔つきです

これがひと口頬張ったら直ちに虜になってしまうほどの「うに飯」です。そもそもうにを入れて炊いているのでお米ひと粒ひと粒にうにの風味がしっかりついているわけです。まずは炊き込みご飯で味わってから卵黄を割って、こってり濃厚な味わいの「うにTKG」を楽しみます。続いて生のうにとともにいただきます。この最強マッチングは確実に至福のひとときを与えてくれます。

ミョウバンを使わずに瞬間冷凍したうにはおいしさが違います

さあ、ここからがこの御膳のおもしろいところです。まずは「うに飯」に海苔をパラパラと。次に「うに飯」を牛すき焼きのお肉で巻いてみましょう。そもそもすき焼き味と卵は相性抜群、この「うにTKG」に甘辛醤油味は震えます! お財布に余裕があればここで「うに増し(500円)」して、思いっきりご飯と混ぜれば史上最高の米粒になることでしょう。気づけばお茶碗は空っぽのはず。となればお代わり!ですね。

米粒が大きくて丸みを帯びているので噛むほどに味わい深くなります

太っ腹な女将は「白飯」と「自家製ふりかけ」を無料にしています。茨城県産の「ふくまる」は粒が大きく味がふくよか。冷めても硬くならず炊き立てと変わらないのがすごい! その「白飯」に、鰹節に白胡麻、鰹醤油、みりん、お酒、七味唐辛子で作った「自家製ふりかけ」がヤバウマです。お茶碗1杯のご飯はあっという間になくなります。もしまだイケる強者ならば「うに飯」を追加(500円)して、このふりかけをかけてみて! 間違いなく箸は止まりません。