貝に光りモノ、大満足の握りは他にも

朝むきの甘みと弾力に唸る「青柳の握り」

「青柳の握り」550円

青柳は、この日は北海道産で、当日の朝に殻をむいた鮮度の高いものを使用。シコシコとした弾力のある歯応えと、噛むほどに広がる磯の香り、濃厚な甘みがたまらない。

 

大木さん

最近めっきり寿司屋で見かけなくなった青柳が、こちらでは堪能できます。

パサつきゼロのふくよか食感に驚く「浜ゆで車子(蝦蛄)の握り」

「浜ゆで車子(蝦蛄)の握り」660円

蝦蛄(しゃこ)は、絶好の漁場として知られる愛知・知多半島周辺で水揚げ直後にすばやく釜茹でしたものを贅沢に3本使用。
パサつきのないふんわりやわらかな食感が特徴で、甘辛いタレが蝦蛄本来の甘みと風味をいっそう引き立てている。

濃厚な甘ダレをひと刷毛して仕上げる
 

大木さん

私がいただいたのは愛知の蝦蛄でしたが、想像以上にふくよかでびっくり。

職人の手仕事を舌で感じる「小肌の握り」

「小肌の握り」550円

江戸前寿司の代表的なネタのひとつである小肌は、同店でも人気の高い握り。
大きめで脂ののった小肌を選び、酢と塩で〆る下ごしらえでは、塩の量や振り方、〆る時間をその日の小肌の状態に合わせて調整。また「魚臭さの原因になる水気をザルにのせてしっかり抜くことを心がけています」と斎藤さん。そして寝かせる際には利尻昆布を当てる。こうした丁寧な仕事で、しっとりした舌触りとともに皮の香りと脂のうまみを存分に味わえる仕上がりとなっている。

断ち切った皮の間に端切れを通す形は「食感やシャリとのバランスがよくなるように」との理由から。見た目の華やかさにも一役買っている
 

大木さん

しっかり〆てあって、江戸前らしい味わいです。

屋号は親方の名前から。当初は愛犬の名前を入れたいと考えたものの、知り合いの店の屋号と同じになってしまうため断念したそう

確かなネタと職人の技が光る本格寿司を、お好みで気軽に味わえる「すし春」。
また秋口から冬の時期は、つまみとして人気の自家製塩辛も上物が入荷する予定なので、お酒好きはぜひチェックを。ふらりと訪れても入りやすいムードだが、席数が限られているため来店時は1週間前を目安に予約を入れておくと安心だ。

※価格はすべて税込

教えてくれた人

大木淳夫
『東京最高のレストラン』編集長 
1965年東京生まれ。ぴあ株式会社入社後、日本初のプロによる唯一の実名評価本『東京最高のレストラン』編集長を2001年の創刊より務めている。その他の編集作品に『キャリア不要の時代 僕が飲食店で成功を続ける理由』(堀江貴文)、『新時代の江戸前鮨がわかる本』(早川光)、『にっぽん氷の図鑑』(原田泉)、『東京とんかつ会議』(山本益博、マッキー牧元、河田剛)、『一食入魂』(小山薫堂)、『いまどき真っ当な料理店』(田中康夫)など。 好きなジャンルは寿司とフレンチ。現在は、食べログ「グルメ著名人」としても活動中。2018年1月に発足した「日本ガストロノミー協会」理事、「料理レシピ本大賞」特別審査員も務める。『東京最高のレストラン2026』が2025年12月に発売。同年10月に初の著書『50歳からの美食入門』(中央公論新社・中公新書ラクレ)を出版。ポッドキャスト「いま行くべき店、死ぬまでに行くべき店」も放送中。

文:當間優子、食べログマガジン編集部 撮影:ジェイムス・オザワ