【噂の新店】「SUSHI AGORA」

東横線学芸大学駅から徒歩で5分ほど行った先にオープンした「SUSHI AGORA」。寿司屋とは思えぬ佇まいと、おまかせコース6,600円という価格に話題沸騰中！

特製ソース＆調味料のマリアージュが寿司の新境地を作る！

コースはお造りから始まりました。鰹の下には茄子のお浸しを忍ばせ、モロヘイヤソースでいただく夏らしい一品です。鰹も茄子も単独で十分おいしいのですが、ソースを絡ませると、素材そのものの野性味がまろやかな滋味へと変化します。これは薬味の定番である紫蘇や葱には出せない深みです。

2品目は早くも握りが供されます。硬めに炊いた北海道産「ななつぼし」に赤酢を合わせた酢飯はオールラウンドプレーヤー。ホロリと解け、口溶けもよくどんな寿司種も受け止めます。

美しく飾り包丁を入れた鰊には生姜に唐辛子と醤油を合わせた紅葉生姜をトッピング。なまめかしいトロンとした鰊の脂を紅葉生姜がピリリと引き締め、解けた酢飯とともに喉を通るとじんわりと滋味深さが後を引きます。

北海道の仲卸から直に仕入れるため、北海道ならではの魚種があるのもこちらの魅力。昆布締めしてうまみが凝縮したほっけにはおぼろ昆布をのせ、さらにうまみを増殖させます。王道の組み合わせのおいしさに納得させられます。

斬新なアイデアが詰まったつまみと握りに沼る！

甘鯛に箸を入れるとサクッと音がしていい香りが漂います。寿司店だからこその豊富な魚種の端材と香味野菜で作るブイヤーベースは味わい深さが断然違います。和食の定番料理である「甘鯛の松笠焼き」とフランス料理の定番料理であるブイヤーベースがこんなにも合うなんて！

鮃にはあん肝ソースを。噛むごとに白身ならではの淡白で繊細な味わいが口中に広がったかと思うとあん肝ソースが追いかけてきます。海のフォアグラと呼ばれるだけあってコク深さは群を抜き、濃厚な余韻へと変化させるのです。

江戸前寿司店で供されることがないサーモンも大葉のジェノベーゼをのせることでグレードアップ！素材の味を生かしながらひとつまみの薬味でこうも味変させるとは驚きます。

なんともそそられるビジュアルです。脂がのったとろとろの中トロの上から山わさびを削りかけています。山わさびがもたらす強い辛みが鮪の脂を程よく中和し、新しいおいしさが生まれます。

蓋を開けると、“まずは見た目が肝心！”と言わんばかりのビジュアルに食指が動きます。コロッケの中には蟹身がぎっしり。上にはほぐした蟹身をのせ、下には蟹味噌を敷いているので、一緒に食べると蟹を丸ごと食べているかの如く、口中は蟹一色！衣もサクサクで揚げ方もベスト！

〆は楽しみ方3通りのバラちらし！

〆に供される「バラちらし」にはブイヤーベース同様、さまざまなあらを使った特製のあら汁も一緒に用意されます。食べ方は自由とのことなので、まずはバラちらしだけでいただきます。

ほっけ、富士山サーモン、鮪、イサキ、蟹、イクラなど、その日に用意している魚介がわんさか盛られてまさに〆にふさわしく豪華絢爛。見てよし、食べてよしの季節を感じる味わいです。

あら汁はスープが濁ったり臭みが出たりしないよう、通常弱〜中火でじっくり煮込みますが、こちらでは骨が溶けてしまうくらい強火でぐつぐつ煮込みます。豚骨スープのように唇がくっつくほどクリーミーなテクスチャーでうまみたっぷりのあら汁、一口で虜になります。使う魚種によって違う味わいが楽しめるのもツボ！

魅力は料理だけにあらず！ビール、日本酒、ワイン、焼酎、サワーなど、種類も豊富な飲み放題がなんと3,300円なのです。質を落とさずにリーズナブルな価格にすることで、高くなってしまった寿司店の敷居を低くしたいという思いが伝わります。

店に入れば客目線のサービスを徹底しているスタッフが、おいしく楽しい時間となるようもてなしてくれます。客だけでなくスタッフ同士も顔が見られるようにと、奥のキッチンからエントランスまで一直線にした造りも相まって、店の雰囲気はとてもハートフル。「カウンター越しの距離も近くしてお客様との会話を大切にしています」と、そこから生まれたメニューもあるそう。軸をブラさずに客の要望を叶えながら進化し続ける「SUSHI AGORA」にたまらなく魅力を感じるのです。