揚げ物でプハーっとしたくなる暑さがやってきた!

まだ6月だというのに最高気温の上昇が止まらない。おかげで、キンッキンに冷えたビールの美味しい季節がもう到来! お供にするなら揚げ物は抜群の相性だけれども、唐揚げやとんかつだと胃がもたれるし、カロリーも気になる。

でも揚げ物を我慢するなんて、無茶だ! という方に提案したいのがアジフライ。 肉系の揚げ物に比べてカロリーは低いし、ふんわりジューシーなうま味でビールが進む進む!

 

そこで今回は、フードライターというべきかフードファイターというべきなのか、最近は痛風までも悩みの種になってしまった揚げ物大好きなアラフォー男子ライターがおすすめする絶品アジフライに出合える10店をご紹介。鯵が旬を迎える夏から秋に向けて、好みのアジフライを見つけに行ってみませんか?

ポンチ軒

揚げ物職人のアジフライを自家製ソースで

鯵は産地を限定せず、脂が乗ったうま味のある物を常に仕入れている。下味の塩・こしょうは素材の味を生かすため、控えめに。そして、小麦粉、卵に絡めた後は、糖分・塩分控えめの特注生パン粉をまとわせ、ラードでコクを加え独自にブレンドした油に入れ、胴鍋で揚げる。

DSC_3889

きらめく小麦色に揚がったアジフライには、ピクルスやケッパーが入った自家製タルタルソースとおろしポン酢が付いてくる。

 

「海鮮系のメニューには基本的にこのふたつのソースを付けています。」とのことだが、タルタルで食せば、マイルドでリッチな味わいになり、ポン酢で食せばほどよい酸味でサッパリ食べられる。どちらも、もっとアジフライをください! と言いたくなってしょうがない。

DSC_3910

店長の橋本さんいわく「うちはとんかつ屋なのですが、揚げ上がりのタイミングを体感でわかっている揚げ物職人がいるので、このアジフライもぜひ!」とのこと。隠れた自信作もぜひご賞味あれ!

【メニュー紹介】

「アジフライ」580円

 

家庭料理の店Ryo

家族の絆で家庭の味をいつまでも

世田谷区砧で、18年間夫婦で営む店。供されるのは家庭料理的ながら、中でも鶏の唐揚げは近隣の住人や学生たちに「絶品!」と愛され親しまれている。

 

そんな同店のアジフライは、知る人ぞ知る人気メニューなのだ。

_97T8651

「長年信頼関係のある業者さんから、その時々で質のいい鯵を全国津々浦々から取り寄せています。開いた状態で届けてもらっているので、私たちはただ衣を付けて揚げているだけなんですけどね(笑)。」とおどけるおかみさんだが、その揚げ具合が年季の入った技から成るものなのだ。

 

小ぶりな鯵を粗めでパリパリのパン粉でしっかり包みこみ、200℃の高温で3~4分、しっかりと揚げる。何でも、鶏の唐揚げは180℃、鯵や牡蠣などの魚介系は200℃の油と、素材ごとに温度を変えているのだそうだ。加えて、鯵の大きさ、脂加減、揚がり具合などを見て、さらに細かく火加減を調節している。家庭料理的ではあるが、そこはさすがプロの技。

_97T8696
店内にはご夫婦の調理師免許証が掲げられ、さらにご主人の実兄も厨房に立つ。ご家族で営み、家庭の味をワンランク上のひと皿に変えて提供する温かいお店だ。

【メニュー紹介】

「アジフライ」1枚200円、「アジフライ定食」750円

 

あげもんや

プロの技が光るアジフライ

使用するのは主に九州や千葉、石川産の大ぶりな鯵。一度に40~50尾届くそうだが、それをまずはきれいにさばく。今度は小麦粉と卵に浸し、仕上げにさっくりと揚がる「共栄フード」の生パン粉をまとわせる。そして、牛の油とラードを混ぜたブレンド油の中へ。

b059

「時間にして約2〜3分ですが、時間を計るというよりは色や泡の出具合を見たり、油の音を聞いたりしながら揚げているので、ほとんど自分の感覚ですね。」と、かつて築地「豊ちゃん」で働いていたという店主の寺田大介さん。

 

その経験値で揚げるアジフライは、衣は軽やか、中はふんわりジューシーという、まさにプロのなせる技であり、美味しさなのだ。

b103

そして、香辛料にこだわったブレンドの「白鷹ソース」を、ぜひ掛けてみてほしいとのこと。スパイシーさが鯵の甘みをほのかに引き出すだけでなく、飽きの来ない味に変えてくれるのだという。確かに、さらに味わいに奥行きが生まれ、これはうまい!

【メニュー紹介】

「アジフライ」320円、「アジフライ定食」860円

 

とんかつ八千代

築地で数十年愛される味

築地以前、魚河岸がまだ日本橋にあった頃から名をはせてきたのがこちら。老舗とんかつ店が揚げるアジフライは、築地で働く方だけでなく、近年では観光客を含めた国内外の人々の英気も養っている。

人気の理由はいくつもあるが、まずは素材。島根や長崎、京都、富山県産など、脂が程よくのった大ぶりの鯵を厳選して購入する。次に揚げ。少しレア気味に3分ほど揚げるのだが、うなるのはその後。30秒ほど置いておき、余熱で鯵に火を入れるのだ。こうすることで、身はふっくらとみずみずしく仕上がるのだという。

 

そしてソース。自家製のタルタルソースは塩分控えめ。アクセントに洋がらしを加え、ほの甘さを演出するため隠し味に砂糖を少々。その優しい味わいが、鯵の風味・うま味を引き立てるのだそうだ(写真は別皿に盛ってもらったが、通常は半身に掛けて提供)。

そして最後に心遣いだ。このアジフライに100円プラスするだけで定食に早変わりするのはうれしい限り。というわけで、目の前に出されたアジフライをいただけば、築地の名物は寿司だけではないと痛感させられること間違いなし!

【メニュー紹介】

「アジフライ」1,200円、「アジフライ定食」1,300円

 

にっぽん漁港食堂

ボリューミーなアジフライで一杯

食堂である。しかし築地場外市場内で昼間からサクッと一杯飲める、唯一の立ち飲みスペースがある店でもあるのだ。そしてアジフライはおかずとして、あるいはつまみとして両者で堪能できると人気を博している。

 

使用する主に静岡もしくは新潟産の鯵は250g~300gもあるビッグサイズ。しかしながら締まったその身は歯応え抜群。白絞油で揚げれば、衣はザクッとして香ばしく、かむほどに味が口中に広がっていくさまは、まさに最高。

a022

シンプルにウスターソースかしょうゆを垂らし、好みでカラシを付けて頬張れば、これまた最高。あるいはトッピングである水菜やわさび菜、ミニトマトに自家製ごまドレッシングを掛け、こちらと共に頬張るのもおすすめだ。ボリュームあるアジフライと野菜の爽快感&ドレッシングの味わいが同時に口に広がる感覚は、三たび最高と、幾重も美味しさが堪能できる。

a038

どの食べ方でもご飯も酒も進むこと請け合いだ。どちらで楽しむかは、皆さん次第。もちろん二度行くのも大いにアリです。

【メニュー紹介】

「単品アジフライ」1,200円

 

小田保(魚河岸食堂内)

鮮度抜群の身質で勝負!

豊洲移転後も築地の賑わいを残すために、2016年11月に場内の人気店が集結し、フードコート「魚河岸食堂」が開設された。「鳥藤」の親子丼、「センリ軒」のシチュー、「魚河岸海鮮」のあら炊きなど人気メニューの中で、今回は「小田保」のアジフライを紹介したい。

_97T8558

このアジフライがまた格別なのだ! 長崎や鹿児島など主に九州産の鯵は、大きいときには1尾200g、若干小さくても身がしっかりとした物を使用。そこに粗めのパン粉を程よく付け、170℃の純正ラードで揚げること3分。ラードでコク深くなったアジフライは外はザクザク歯触りが良く、中はかむほどにフワフワとほぐれていく柔らかさで「さすが築地!」と、膝を叩きたくなる逸品だ。

 

さらにソース、しょうゆもいいが、できれば自家製タルタルソースで食すことがおすすめ。ゆで卵、ピクルス、玉ネギの他、柴漬けをブレンドすることで軽快な歯応えと和テイストの風味が加わり、濃厚なのにサッパリ。ジューシーなアジフライをさらに美味しくしてくれるのだ。

_97T8613

ちなみにこちらの「小田保」では、前述の柴漬けや帆立ザーサイなど、小鉢も常時2~3品用意。定食でいただくときはもちろん、単品でアジフライと漬物をつまみに早朝の築地で一杯! なんて乙な楽しみ方もできるのだ。

【メニュー紹介】

「アジフライ」800円、「アジフライ定食」1,150円

 

魚問屋 魚一商店 恵比寿直売所

恵比寿で食べる産直の味

店内に足を踏み入れると、全国各地の漁港のパネルが飾られているのに気が付く。これらは同店と提携をしている港のもので、つまり、鮮度抜群な産直魚介を使用している証なのだ。その素材をベースに、夜は海鮮居酒屋として、昼は海鮮定食店として人気を博している。

d021

さて、昼のみの提供ということもあって人気を集めているのがアジフライだ。沼津や鴨川、長崎や島根などから届く鮮度抜群のアジは、三枚におろされた後、1日冷蔵庫に置かれることで余計な水分が抜け、うま味が凝縮するのだ。だからこそ塩・こしょうといった下味を付けることなく、約180℃の油で5分。表面のドライパン粉がからりと香ばしくなるまで揚げるだけで、アジ特有の香りとうま味が口で爆ぜるアジフライが完成する。

d025

しかも1尾100〜120gのものが2尾! これで単品790円、定食950円という感激価格なのだ。心から頭を下げたい。都心部・恵比寿で楽しむ漁港の味。ぜひ一度足を運んでみてほしい。

【メニュー紹介】

「アジフライ」790円(ランチの定食は950円)

 

蕎麦酒膳くら嶋

蕎麦屋の快心アジフライ!

「アジフライの取材に来ていただいて、本当にうれしいんですよ〜!」とご主人の倉嶋一雄さんが開口一番。さらに「うちの鯵は神奈川の走水産。それを、鯵で有名な築地の『魚昇』さんで開いてもらっている逸品です!」。

c091
店名通りのそばの美味しさはもちろん、酒を楽しむ際の一品料理……中でも魚介類のメニューの多さにも目を見張るものがある。だからこそ、そばではなくアジフライの取材でも、倉嶋さんは満面の笑みなのだ。

 

約100gの身厚の鯵に、パン粉専門店から取り寄せた食パンから作るパン粉を程よく絡め、太白ごま油を中温〜高温の間で繊細に調整しながらカラリと揚げる。

c124

そのままでも充分に美味しいのだが、この店がおすすめする「江戸チドリ」のソースをぜひとも垂らしたい。少し甘辛の中膿、しっかり味のウスターは、どちらもほのかにスパイシーで鯵の味わいをぐっと膨らませてくれるのだ。

「一度食べてから、アジフライ目当てに来るお客様も多いんです。それで一杯やりながら、〆にそば。作り手としては最高ですね。」とご主人。

 

酒膳とはいえランチ営業もあるので、お酒が飲めない人でもお気軽に楽しめるのもうれしい。

【メニュー紹介】

「アジフライ」1枚540円

 

金町製麺

ラーメン居酒屋の、丸ごとアジフライ

金町の駅近く。商業施設の一角にある、ラーメン店であり、居酒屋でもある金町製麺。
しかしながら、ラーメンにも劣らず評判なのがアジフライなのだ。こちらのアジフライは、つなぎに卵ではなく、天ぷら粉を使っているのが特徴。粗めの生パン粉と程よく合い、カリッと軽やかに香ばしく揚がるという。

e063

約160gの鯵を三枚におろし、身はフライに、背骨と頭は素揚げして、すべてひと皿に盛っているのも面白い。これは店主が食材のロスをできる限りなくしたいという考えだからだが、お客にもうれしいアイデアである。

 

また、手作りソースにも注目したい。中濃ソースにキャベツ、ニンニク、ニンジン、玉ネギ、トマト、ショウガなどをブレンドし、圧力鍋に掛け、さらにミキサーに掛ける。

e101

そして、クローブやブラックペッパーなどを加えることで、辛味のバランスを付けるという手の込みようだ。フライに掛ければ、その辛味が鯵の甘みを引き立てつつ、油感をさっぱりさせるというスグレモノ。

毎日新メニューを試行錯誤しているというが、まずはこの定番・評判のアジフライを注文してみよう!

【メニュー紹介】

「アジフライ」390円

 

山傳丸 赤坂店

コスパ&美味に全力を注ぐ

首都圏で現在6店舗を展開中の海鮮居酒屋である山傳丸。鴨川に自社のいけすを持ち、全国屈指の定置網漁業を行っている。そこで育てられ、厳選された鯵は、常時150g前後の大きさで届けられる。

DSC_3835

また、どれも丸々と首が盛り上がっているが、この形状は脂が乗っている証拠で、さらに、揚げた後も絶妙な歯応えとジューシーさがある物とのこと。

 

「揚げる工程で、途中で一度フライヤーから取り出し空気にさらし、油を切り、再び油に入れています。いわゆる二度揚げとは違うのですが、この工程をトータルで1〜1分半くらい掛けて揚げ過ぎないように行うことで、いっそうジューシーに仕上がるんです。」と、赤坂店・店長の宇佐美昭二さん。

DSC_3856

さらに新鮮な鯵に、日本酒の製法を応用した自社生産の焙炒造り生パン粉を使うのも、サクサクなアジフライが生まれる秘密だそう。

他系列店でももちろん、鴨川で獲れた鯵が堪能できる(時期によって変動あり)。目移り必至のメニューがそろうが、アジフライは絶対に注文すべき一品だと断言しよう!

【メニュー紹介】

「アジフライ」410円