【第3週のカレーとスパイス】お寺でカレー!? 神楽坂に異色のスリランカカレー店がオープン 「アーサイ」

神楽坂付近を散歩していたら偶然面白いお店を見つけました。スリランカの国旗がはためいているのが目に入り、何だろうと近づいてみればそこはお寺。

どういうこと?と思って行ってみると真清浄寺(しんしょうじょうじ)というお寺に併設された「アーサイ」という名のお店で、基本的にはテイクアウト専門店なのですがお寺の境内にイートインスペースがあり、そこでスリランカカレーを食べることもできるのです。なんと趣深い!

今回は特別に本堂でカレーをいただくことができました。手を合わせていただきますと小さく声に出したのですが「いただきます」の言葉の重みをいつも以上に感じます。

メニューは現状一品のみ。チキンカレーと豆カレーのあいがけ的な「スリランカカレー」700円。これに「ゆで卵」80円をトッピング。イートインの場合はテイクアウト容器ではなく、ちゃんとお皿に盛り付けてくれるのもうれしいです。

ゆで卵をトッピングした「スリランカカレー」

チキンカレーはスリランカらしく燻香感のあるスパイス使いで、ゴラカの程よい酸味のパンチが利いたカレー。ご飯がすすみます。日本米ですが、それが合うカレーになっています。豆カレーはスリランカ料理のパリップとしてはかなり濃厚なタイプ。スリランカカレーのワンプレートはメインのカレーと豆カレーに様々な副菜がのることが多いのですが、こちらはシンプルにチキンと豆に野菜のピクルスという構成ながら、チキンカレーも豆カレーも存在感がしっかりとあるのでこの形でも十分な満足感。

ゆで卵にもスパイスがふりかけられてさらに満足度が高まります。これが合わせて780円というのはかなりお得ですよ。

僕は特定の宗教を信仰しているわけではないのですが、それでもこんなにおいしいカレーを味わうことができることを神仏に感謝したくなる空間であり、食経験でした。

なぜこのような形になったのか聞いてみると、シェフはスリランカ人なのですが、元々こちらの住職と知り合いで、日本に留学しに来た際にお寺に住み込んでいたのだそうです。その際に住職のご家族にふるまったスリランカカレーのあまりのおいしさに感動した住職の息子さんのサポートにより、こちらでお店を開業することになったとのこと。テイクアウトや配達メインですが、場所が空いていればイートインも対応してくれるというわけです。

テイクアウト用のスリランカカレー

気に入って後日テイクアウトもしてみたのですが、温め直しでもおいしさは変わらず。スパイス料理は出来たてが一番おいしいとはよく言われるところですが、こちらのカレーは、スパイス感はもちろんですが奥行きのあるうま味もしっかりとした濃厚カレーだからこそ、温め直しもまた違う魅力を感じられるのでしょう。

店頭に人がいないことが多いですが、店頭のパラソルの下のテーブルにある電話番号に電話し、注文すれば持ってきてくれます。イートイン希望の場合はその際に相談してみてください。2022年10月にできたばかりのお店。今後は新メニューも考えているとのことなのでますます期待が高まります。

スリランカも国民の7割が仏教徒だと言われていますが、仏教が生まれたのはインド亜大陸であり、カレーとの縁も深い宗教だと言って差し支えないでしょう。事実様々なお寺でカレーのイベントも執り行われているわけですが、イベントではなく日常的にカレーを食べられるお寺というのは非常に珍しいです。

その地名の通り神社仏閣の多い神楽坂。神社仏閣巡りの合間の食事にもおすすめのお店ですよ!

【第4週のカレーとスパイス】初心者もマニアも楽しめる! 落ち着いた空間で味わう新感覚のネパール料理「ピプレー」

ネパール料理といえば大久保エリアが激戦区であり、現地そのままの味が廉価で食べられるお店も多く、マニアが日夜通っています。一方で、現地そのままの味となるとちょっとワイルドだったり慣れない香りや味わいだったりすることから、苦手意識を持つ方も少なくありません。個人的には慣れない味でも3回も食べれば色々と意味がわかってくるものであり、そうなるとおいしいと感じる幅が広がるので人生が豊かになると考えているのですが、いきなりハードコアすぎるお店に当たってしまうと、新たな魅力に気づく前に毛嫌いするようになってしまう場合もあるかと思います。

今回ご紹介する「ピプレー」はネパール料理の魅力をスマートに教えてくれるお店です。こちらのお店は小川町「グレビー」の姉妹店。本連載でも以前ご紹介したお店です。

場所は春日駅の近く。えんま通り商店街にある建物の2階に、2022年10月にオープンしました。以前はインドネパール系のお店が入っていた場所ですが、雰囲気はガラリと変わって上品で落ち着いた空間に。

メニューはダルバートをはじめネパール料理からインド料理まであるのですが、せっかくですからここではネパール料理を頼みたいところ。

夜は昼よりも少し高めな値段設定となっているのですが、どうせなら一番豪華なものをということで、本日のおすすめ「ダルバート」2,200円を注文しました。

「ダルバート」

内容は、ダル、バスマティライス、骨と皮付きラムのジョル(スープタイプのカレー)、野菜とえびのサブジ(スパイス炒め煮)、アルサデコ(じゃがいものスパイスあえ)、サグ(青菜炒め)、そしてアチャール(スパイス漬物)が大根、きゅうり、トマト、にんじんの4種類という絢爛豪華なダルバートです。

どれも上品で華やかなテイスト。洗練されたダルバートといった印象。特に野菜へのこだわりがあるお店ですから野菜料理がおすすめ。サブジにえびが入っているのが珍しく、食べてみれば確かに意外と相性が良いなと感じました。ラムも骨付きの皮付き。ブリブリの食感でしみじみとおいしい。

これだけでも十分な満足感なのですが「焼きモモ」400円も注文。

「焼きモモ」

モモとは小籠包のようなネパール料理なのですが、それを焼いたもの。つまりはほぼ餃子です。これにゴルベラコアチャール(ネパールのトマトチャツネ)が少しのっているという形。こちらのゴルベラコアチャールは甘味が強い個性派です。

一味違うネパール料理なのですが、作っているのも接客もネパールの方。ですから現地料理好きなマニアにとっては面白い個性派と感じられますし、現地料理に慣れていない方にとってもインド料理とは違う新たな魅力に気づくことができる料理だと言えるでしょう。

メニューはグレビーとほぼ同じですがグレビーにないものもありますし、逆に言えばピプレーにないものがグレビーにあったりするのが良いです。どちらかを気に入れば、もう一方へ行くきっかけになりますから。グレビー好きな方は是非ともピプレーに行ってみてください。そしてピプレーを気に入った方は是非グレビーに行ってみてください。そのようにして段々とネパール料理ファンが増えていくと良いなと思っています。

※価格はすべて税込です。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

※営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、最新の情報はお店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

文・写真:カレーおじさん\(^o^)/