お造り盛り合わせ&ゼリー醤油の名コンビで旬を堪能する
多彩に揃うメニューの中でも、旬の魚介を手ごろな価格で堪能できるのがお造り盛り合わせ。店主が錦市場や京都市中央市場などで仕入れてきた新鮮なネタの中から、とりわけおすすめのネタを見繕ってくれる。
そしてこれにゼリー醤油を添えて味わうのがポイント。だしで割った口当たりまろやかな醤油をゼリー状にすることで、素材の旨みを味わった後に醤油がふわりと香る。魚介自体の味をしっかりと感じるための工夫だ。
田中さん
とにかく季節の魚介を存分に味わえます。ネタの質は居酒屋というより一流料亭レベル。それでいてリーズナブルなのがうれしい。ゼリー醤油をちぎって添える食べ方も気に入っています。
京都らしいおばんざいも裏メニューもどちらも楽しみたい
京都の居酒屋には欠かせないおばんざいなど定番料理のほか、季節の品が10種類ほど。さらに口頭で伝えられるその日のおすすめが4~5種類。旬の素材や珍しい食材で作る裏メニューも多数あるという。
何度か通って初めて知る品もあれば、その日限りの料理にタイミング良く出会えることもある。「いつものをお願い」「おすすめの新作、食べてみる?」なんて、やりとりをしながら注文を決めるのも楽しい。
京野菜を使った伏見甘長おじゃこがけや、ごぼうのぴり辛、茄子のちょい辛、しっとりおから、こんにゃくきんぴらなど、おばんざいはお酒のすすむしっかりした味付け。一品の量を少なくしたり、2~3品の盛り合わせにするなど、要望に合わせて対応もしてくれる。
田中さん
いつも最初に注文するのがおばんざい盛り合わせ。おからはだしと生姜が利いていて、ほかで食べるものとはひと味違っています。盛り合わせにすると、少量ずつ色んな品を食べられるのもいいですね。
自家製さつま揚げは、バターで炒めた玉ネギやにんじんをタネに混ぜ、コクのある味わいに仕上げている。レンコンのシャクシャクした歯応えも小気味よい。これにモッツァレラチーズを挟んだ進化系のさつま揚げもある。
田中さん
生地にしっかり味が付いているのでそのまま食べてもおいしいですが、添えられたソースもポイント。マヨネーズに刻んだ瓜の奈良漬けを混ぜていて、和風タルタルソースといった趣です。
骨せんべいはいつもあるメニューではないので、あれば逃さず注文を。せんべいにするのは、骨の細さがベストだという平目だけ。3~5日干してから、カラッと素揚げにしている。ポリポリ歯応えよく、香ばしい風味で、せんべいも酒も止まらなくなる。
田中さん
隠れた人気メニューで、ある日はラッキー。あると聞けば必ずオーダーしています。しっかりディープに揚げた平目の骨が何ともおいしい。店主おすすめのハイボールと一緒に楽しむことが多いです。
町家を利用した温かみのある空間で、朗らかな店主が迎えてくれる「吟味屋 菜々色」。京都らしさを感じながら、心ほどける楽しい時間が過ごせる場所だ。グローバルに活躍するアーティストが京都に帰るたびに訪れたくなるというのも、十分に納得できる。