見事な手さばき。音、香りもごちそう

週末は大行列ができるも、機敏な動きで次々とオーダーをこなしていく今崎さん

今回は「エッグバーガーチーズ」450円と「フランクドッグ」400円をオーダーしました。
「焼きますから、ちょっと待っとってくださいね〜」
今崎さんはそう言ってフライパンを火にかけ、自宅で仕込んでいるハンバーグを鉄板にのせて焼き始めました。

カンカンッ、ジュワジュワ。鉄板とコテ、肉の焼ける音と香りが辺りに広がります

豚や牛のいろんな部位をブレンドして作る自家製のハンバーグ。新タマネギや安物は使わず、高価でもおいしいタマネギを使うこと。砂糖は加えず、バナナで甘味を出すのも、今崎さんのこだわりです。まずは両面を焼き、コテで半分に割って側面もきっちりと焼き上げます。

「辛子は入れますか〜?」と聞いてくれます

フライパンで具材のキャベツと挽肉を炒めながら、傍らでパンを準備。今崎さんが「ここのが一番合う」と選んでいるパンは、福岡の学校給食のパンも手掛けている老舗「唐人ベーカリー」謹製です。唐人ベーカリーのパンを食べて育った人は、このすべすべとした表面のドッグパンが懐かしくてたまらないことでしょう(私もその一人)。

使い込まれて黒光りしている鉄板の上で卵が躍る

パンをオーブンに放り込み、片手で卵を割る。コテで黄身を潰して塩コショウを振り、ハンバーグを裏返す。左手でオーブンを開け締めしながら、中のパンを上下入れ替えて焼き加減を調整。狭い車内の中でクルクル、テキパキ。動きに一切無駄がありません。

「もうパンが焼けますよ〜」「もうちょっとで出来ますよ〜」都度お客さんへの声掛けも欠かしません

辛子やソースを塗って軽く焼き、炒めたキャベツと挽肉を挟んで再度焼き、残りの具材を挟んで仕上げに焼く。こうして3度もオーブンをくぐらせ完成した今屋のハンバーガー(ホットドッグ)は、びっくりするくらいに熱々です。

出来上がってから最後にお会計。小銭を用意しておくといいですよ

「熱いですよ〜」とカウンターに置かれた袋を持ち上げると、ずっしり重い!!! 早く写真を撮らねば……と素手で持ち上げるも、めちゃくちゃ熱い!!! 皆さん、写真を撮るとき、食べるときはどうぞご注意を。

さぁ上を向いて思いっきりガブリ!

「エッグバーガーチーズ」450円。安い、安すぎます

パンはサクッ! ハンバーグはフワフワ、ジューシー。卵とチーズ、特製ソースが絡み合い、底に敷かれた炒めキャベツ&挽肉のシャクッとした歯ざわりとニンニクの風味が弾ければ……。「ギャーーー!ウマい〜〜〜〜〜」と、博多湾に向かって叫びたくなるくらいの衝撃。ぐっと堪えるも、やはり声が漏れてしまいます。
――うっまい。めちゃくちゃうまい。

「フランクドッグ」400円も安い、安すぎる! 自販機のコーラを買っても1,000円以内だなんて……

ハンバーグではなく、極太のフランクフルトを挟んだ「フランクドッグ」もガブリ。バリッ、みっちりとしたフランクの食感もまた格別です。具だくさんのバーガー&ドッグは、下を向いて食べてはいけません。こぼれないように思いっきり上を向いて、なりふり構わずかぶりつきましょう。

上を向いて今屋のハンバーガーを食べたら、つらいことやイライラもきっと吹き飛びます

目の前には、こんなに美しい青空が! 今崎さんのこだわりと愛情がたっぷり詰まったおいしさを噛み締めていると、食道だけでなく、胸の奥までもじんわりと熱くなります。

都心部とは思えないほどゆったりとした時が流れます

さらに遠くを見れば、船が行き交う博多湾や、荒津大橋、博多埠頭。気付いたら、今崎さんの愛犬・モモちゃんも横にいました。お値段以上どころか、お金では買えない豊かさが「今屋のハンバーガー」にはあります。

平日でも16時頃など早めに店じまいすることも。早めの来店か電話確認をして出かけるのがおすすめ

なんと、弟子の受け入れもされているという今崎さん。2020年9月には「西公園バーガードッグ 薬院×今屋のハンバーガー」、同12月には「今屋のハンバーガー 西新店」と、今崎さんの元で学んだお弟子さんが、それぞれの店を開業しています。
「おれもまだまだ、あと10年はがんばらんとね」と、今崎さんはにっこり。

皆さんも、天気の良い日に西公園の丘を登ってみてください。他では味わえない特別なごちそうと、優しい笑顔が待っています。

※価格はすべて税込

※本記事は取材日(2021年10月7日)時点の情報をもとに作成しています。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

撮影:森 絵里花 文:森 絵里花、食べログマガジン編集部