フランス料理の奥深さ

レストランはコミュニケーション能力と人間力をあげる場所。ちょっと堅苦しく聞こえてしまうかもしれないが、フレンチを楽しめるようになると人生はもっと豊かになるはず! 発表された「食べログ フレンチ 百名店」で、人生を豊かにしてくれるような特別な一軒を見つけくれたらうれしい。そんな奥深いフランス料理の魅力を『東京最高のレストラン』編集長の大木淳夫さんに教えてもらった。

教えてくれた人

大木 淳夫 
「東京最高のレストラン」編集長 
1965年東京生まれ。ぴあ株式会社入社後、日本初のプロによる唯一の実名評価本「東京最高のレストラン」編集長を2001年の創刊より20年に渡り務めている。その他の編集作品に「堀江貴文 VS.外食の革命的経営者」(堀江貴文)、「新時代の江戸前鮨がわかる本」(早川光)、「にっぽん氷の図鑑」(原田泉)、「東京とんかつ会議」(山本益博、マッキー牧元、河田剛)、「一食入魂」(小山薫堂)、「いまどき真っ当な料理店」(田中康夫)など。 好きなジャンルは鮨とフレンチ。現在は、食べログ「グルメ著名人」としても活動中。2018年1月に発足した「日本ガストロノミー協会」理事も務める。

レストランとコミュニケーション能力

フレンチを楽しむことは、恋愛や仕事が上手くいくことにもつながると、つくづく思います。なぜなら、コミュニケーション力が格段にアップするからです。レストランは単においしいものを食べに行く場所ではありません。心まで豊かにする存在であり、中でもフレンチは、ある意味“レストランの中のレストラン”ともいうべきものなのです。
では、具体的にどうすると楽しめるのか? 私も実践しているフランス料理店での過ごし方を皆さんにお伝えしていきましょう。

kurea
レストランは「劇場」   出典:kureaさん

大前提としてレストランは「劇場」だと思ってください。主役はもちろんあなたです。ご存じのように主役とは単に演じるだけではなく、共演する同伴者やサービススタッフ、シェフの良さも引き出しながら、最高の舞台を作り上げなくてはなりません。そう、コミュニケーション力が問われ、結果として磨かれる場所なのです。

えり助
フレンチは総合芸術の「オペラ」   出典:えり助さん

演劇に例えるなら、イタリアンはミュージカルでしょう。皆がとにかく楽しく歌い踊るイメージです。それに対してフレンチは総合芸術ともいうべきオペラ。なんて書くとちょっと身構えてしまうかもしれませんが、これからお伝えすることは全く難しくないので安心してください。でもこれができればきっと、最高の舞台を作り上げられます。

まず一番大切なのは、“今日はとことん楽しもう!”という気持ちと笑顔です。あなたが辛口評論で生計をたてているわけでなく、お店に出資しているオーナーでもなければ、ネガティブな気持ちやあら探しをするような視点で店を訪れても、何一ついいことはありません。せっかく安くないお金を払うんです。とことん楽しもうではありませんか。お店に入ったら、まずサービススタッフの顔をしっかり見て、笑顔で挨拶をしましょう。「こんばんは」でも「よろしくお願いします」でもなんでもいいです。

Rajah
初めてを楽しもう!   出典:Rajahさん

レストランに限らず、初めての印象は大事ですよね。商談でもなんでも、相手が目を合わせなかったり、むっとした顔をしていたりしたら、なんだか嫌な気分になるのと同じです。スタッフもプロとはいえ人間です。特に初めてのお客さんであれば、どんな人なんだろう?とそれなりに緊張しています。そこでとびきりの笑顔で“私は敵ではないのよ、ただただ楽しみに来た客なのよ”と伝えてください。これでまずお互いの緊張が解けます。

そして会話です。最近のお店はコース料理が多いせいもあってか、仲間同士でただしゃべり続ける人を多くみかけますが、本当にもったいない。スタッフと会話をして、“感じのいいお客さん”と認識されましょう。単純ですが大事なことです。このテーブルのお客さんいいな、食べるのが好きなんだな、と思ってもらうだけで、あなたを取り巻くお店の空気が変わります。