【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレー#105】「多国籍食堂 錆と煤」
全国的にカレーのお店が増えてきている昨今。一昔前にはカレーの名店が少ないといわれていた四国にも、注目すべきお店が増えてきています。その中でも、土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線立田駅近くにある「多国籍食堂 錆と煤(サビとスス)」は、高知を代表する名店であり、高知に限らず四国を代表する存在とも言え、さらには日本全国探してもここまでのクオリティのお店はほとんどないと言っても過言ではないくらい素晴らしいお店です。
まずそのお店の外観からして雰囲気があります。そもそも飲食店なのかどうか、一目見ただけではわからない建物。中に入ってみれば古民家を改造し、おしゃれで落ち着いた雰囲気の素敵なお店となっています。
基本的に予約制で、メニューは日替わりです。この日のカレーは「タイのほぐし身フィッシュカレー、」「チキンカレー、」「たまごカレー」の3種類。野菜のみのベジプレート、肉系カレーのノンベジプレート、そして全部のせ的なスペシャルプレートがあり、「スペシャルプレート」2,200円をオーダーしました。
まずはご覧くださいこの見目麗しき一皿を!
右から反時計回りに、たまごカレー、チキンカレー、フィッシュカレー、野菜カレー、豆カレー、ラッサム(南インドの酸っぱ辛いスープ)、ライタ(無糖ヨーグルトのサラダ)という並び。
真ん中のご飯は白いインディカ米と黄色い日本米の二段構造。ご飯の下には、スパイスを使ったおかずたち。とにかく華やかであり、手間暇かけて作ってあるのがわかります。一目見て思わず「おぉ!」と声を上げてしまったくらいの美しさです。
物腰柔らかな日本人女性がこのプレートを作っているのですが、食べてみてびっくり! キレキレの現地系名店レストランのベテラン男性現地人シェフが作ったような、パンチある男らしいスパイス使いなのです。
輪郭がしっかりと立ち、素材のおいしさがスパイスの力で何段階も上に引き上げられている肉系カレーと野菜カレー。逆に優しく柔らかいおいしさで癒やされる豆カレーと副菜の数々。
足し算と引き算のバランスが絶妙で、パンチがあるのに重くなくむしろ軽やかで、最後まですいすいと食べ進めてしまうおいしさなのです。特にたまごカレーが素晴らしかった。
半熟ゆで卵が具として入っているだけではなく、スパイスをまとったオムレツがグレイビーそのものになっているようなカレーであり、インド料理には「ドピアザ」という玉葱で作ったカレーがあるのですが、このたまごカレーを例えるならドピアザならぬ“ドアンダ”(ドとは2という意味。ピアザが玉葱、アンダが卵)とでも言うべき初体験のたまごカレーでした。
そして食後に頼んだ「マサラチャイ」550円。これがまた、とんでもないおいしさだったのです! インド式に甘さ強め。そしてやはりこちらもスパイスが強い! ゴリッゴリのジャリッジャリにスパイスが利いています。クローブやカルダモンなどマサラチャイには欠かせないスパイスはもちろん、ブラックペッパーをしっかりと利かせることによってピリっとくる刺激がたまりません。ピリっときながらも最終的にはまろやかで優しく包まれるようなおいしさ。
あまりのおいしさにボーっとしてしまいました。完全なる脱力です。これぞスパイスマジック。カレーの名店数あれど、食べ終わった後、幸せに脱力放心させてくれるお店は全国を探してもほとんどありません。こちらにはそれがあったのです。
何でこんなに凄いカレーが作れるのか。気になってお話を聞いてみると、京都の超名店「インド食堂タルカ」で調理補助をしていた経験があるそうです。そこで基礎を学び、ほかの飲食店でもカレーを出しながら様々な料理を作っていたとのこと。納得です。しっかりした基礎があった上での独創性。ここでしか食べられないおいしさになっているわけです。
味も見た目も接客も雰囲気も、全面的に素晴らしい超名店です。四国カレー界の至宝ここにあり!
※価格はすべて税込