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目の前で手際よく作られる、本場仕込みのイタリアンを堪能
ライブ感あふれるフルオープンキッチンに、ミシュランのビブグルマンを3年連続で獲得した妻形健司シェフが立つエンターテインメント性にあふれたイタリア料理店「BIFFI TEATRO di TSUMAGATA」。ディナータイムのコース料理が4,600円~10,000円と幅広い価格設定で、さまざまなニーズに応えてくれる。
劇場型フルオープンキッチンの非日常的な空間
白金台駅から徒歩7分、瀟洒なショップが立ち並ぶプラチナ通り沿いのビルの地下1階にある「BIFFI TEATRO di TSUMAGATA」。大きな黒い扉に店名がシンプルに記され、スタイリッシュな佇まいを見せる。
扉を開けると目の前に広がるのは、コの字形のカウンターに囲まれた大きなフルオープンキッチン。店名にある“TEATRO”とは、イタリア語で“劇場”を意味する言葉だ。ブラック×ホワイトの色彩を基調にした空間に、木のカウンターテーブルが温もりを添え、非日常感と居心地のよさを両立させている。
イタリアで修業を積んだ、妻形シェフの軽やかな料理の数々
この美しい厨房を舞台に、ゲストの目の前で腕をふるうのは妻形健司シェフ。イタリアを巡り、トスカーナ州、ウンブリア州、プーリア州などの星つきレストランを中心に2年間の修業で腕を磨いてきた。2010年に目黒の「リストランテ アニモフェリーチェ(Ristorante Animo felice)」(後に代々木上原に移転)のオーナーシェフとして独立開業し、ミシュランガイド東京のビブグルマンを2014年から3年連続で獲得した実績を持つ。2019年6月に同店は惜しまれながら閉店、今度はここ白金台で自身の名を冠した店のシェフを務める。
「お客さまの目の前で調理し、料理人がそのままサーブして説明をする。それが最も説得力のあるスタイルではないかと感じています。手元もすべて見えるため食材の扱いや衛生面にはもちろん気を使いますし、新鮮な魚を下ろすときもなるべくお客さまの近くで行って、料理が完成していく様子も楽しんでいただけるよう心がけています」
妻形シェフが供するのは「イタリアで学んだ郷土料理をベースにした、よりシンプルな料理」。調理工程も味わいも複雑な料理を追い求めた時期もあったというが、今は日本料理のような引き算の美学に惹かれているという。「イタリアンとはこうあるべき」という固定観念から離れ、和の食材も柔軟に使用する。
素材の味と個性を活かす、シンプル・イズ・ベストな仕上げ
ディナータイムのコース料理は4,600円、7,000円、10,000円の3種類。なかでもオススメは、イタリアのスタンダードな郷土料理を手頃な価格で味わえる4,600円のコースだ。先付け、前菜、魚料理、パスタ、肉料理、デザートの全6品を楽しめる。その中から、料理の一例を紹介していこう。
「前菜の盛り合わせ」は、ガラスのスクエア皿に色とりどりの前菜が盛られたうつくしい仕上がり。
この日は、フクラギ(ブリの幼魚)の炙りにオレンジと赤タマネギで合わせたサラダ、サンマとナスをベーコンで巻いたテリーヌ、アオリイカとオクラとシソのレモンサラダ、黒イチジクと生ハム、フランス産鴨肉のローストとリンゴを合わせたマスタード風味、という5種のラインアップ。魚あり肉ありの内容で、野菜も豊富に使っているところがうれしい。
食材はシェフが顔を合わせたことのある、信頼できる生産者からの産地直送が基本。鮮魚や野菜は石川県産が多く、黒イチジクは佐渡島産のもの。それぞれの個性を活かし、最小限の味つけでおいしく仕上げるのがモットーだ。
「フレッシュトマトとバジル、ブッラータチーズのスパゲッティ」は、トマトのさっぱりとしたうまみを味わえるシンプル・イズ・ベストなひと皿。妻形シェフが長年にわたり作り続けているメニューのひとつでもある。
まずフレッシュトマトを湯むきし、冷蔵庫に入れて熟成させて水分を抜くことでうまみを凝縮させる。ニンニクの香りをつけたオリーブオイルにトマトとパスタのゆで汁を加えて煮て、パルミジャーノチーズとブッラータチーズを加えてなめらかに仕上げる。スパゲッティを絡め、バジルとパルミジャーノチーズをのせたら完成だ。
「コースで提供するパスタは、食べ疲れがないよう塩の加減を意識しています。アラカルトで食べたなら少し塩みが足りないくらいの程合いにして、メインディッシュまで心ゆくまで楽しんでいただきたいのです」
ゲストに合わせた最高のソースに仕上げる
メインディッシュは「イタリア産 仔牛のサルティンボッカ レモンバターソース」。ローマの郷土料理であるサルティンボッカは、仔牛肉をたたいて薄くのばしてセージの葉をのせ、生ハムで包んでバターでソテーしたもの。妻形シェフは肉に塩・こしょうはふらず、パルマ産・生ハムのうまみと塩味を最大限に活かす。仔牛の骨からとった出汁に白ワインを加え、レモン汁とバターでソースを仕上げていく。
お肉にソースをたっぷりつけて、がぶりといただく。仔牛のきめ細かくやわらかな肉質に生ハムのうまみが加わったコクの深い味わいで、セージの香りの爽やかな香りにレモンバターソースが絶妙にマッチする。
ソース作りで重要なのが、白ワインのアルコールをどこまで飛ばすか。その具合により味のニュアンスが変わるそう。
「当店はフルオープンキッチンのため、お客さまがどんなふうに食事を楽しんでいるかよく見えます。例えば、食の細そうなかたならアルコールをあまり飛ばさずに、酸味を残してさっぱりとしたソースに仕立てます。赤ワインを楽しんでいるかたなら、酸味をしっかり飛ばしてバターを増やしてやや重めにし、そのかたに合わせて仕上げます」
デート、ママ友との食事会、大事な接待など、さまざまなシーンに対応
ゲストの顔を見て料理を仕上げるのが妻形シェフの流儀だ。特に魚料理に関しては、シンプルな炭火焼きにするのか、それともバターソテーにするのか、ゲストの様子によって調理方法そのものを変えることもあるという。
コースは、今回紹介したもののほか、郷土料理をベースに現代のアレンジを加えた7,000円のコースに、トリュフなどの高級食材を盛り込んだシェフのおまかせコース10,000円(2日前までに要予約)もある。アラカルトメニューも豊富で、パスタとワイン1杯を楽しんで帰ってもOKなのだとか。
ボトルワインも豊富で、リストに載っているものが55種ほど。リスト外のワインもストックしており価格帯も幅広い。ペアリングも行っていて、味の好みやその日のシチュエーション、そして何杯ほどで合わせるかを相談してセレクトしてもらうのもオススメ。
テーブル席や個室も完備しており、女子会などでワイワイと楽しむのはもちろん、接待や会食などのシーンにも利用できる。お子さま連れもOKで、テーブル席は奥がソファなので安心して過ごせるだろう。
クリエイティブなレストランを残していくために
妻形シェフは今、20代前半の若手シェフ2人と共にキッチンに立っている。自身の店を閉め、企業が経営するお店でシェフを務めるという新しい道を選んだ理由は、若手の育成という意味合いも大きかったという。
「これからの飲食業界にはイノベーションが必要だと感じています。クリエイティブな料理を学びながらも、休暇もしっかりとれる“働き方改革”をすることで新しい料理人が生まれてくると思うのです。また、そういった環境で楽しく仕事をすることが、お客さまに満足してもらえるサービスに繋がると僕は信じています」
若手シェフが一生懸命に働く姿もカウンター席でぜひ見守ってほしい、そう妻形シェフは語った。
※ディナータイムはコペルト代 1人600円
※価格はすべて税抜