出世ごはん
デキるビジネスパーソンはこんなお店で食べている! 元銀座のホステス&開運アドバイザーの藤島佑雪が、かつての同伴その他の経験から見極めた「出世する店」を「おいしい理由」とともにご紹介!
No.50 激辛への挑戦! 限界を知ってこそ、開ける出世の道がある
わたくしが身を置いていた夜の銀座には目玉が飛び出て戻ってこないんじゃないかってくらいの超絶美女がいて、そこらへんのお客さまより全然稼いでいたりするんですね。ところが、前にいたお店を聞くとかなり場末のスナックだった、なんてことも多いんです。で「自分なんかじゃ銀座は分不相応だ思ってた」ところをたまたま「お客さんが、君は絶対銀座に行った方がいい」ということで今のお店を紹介された、なんてのたまうんですよね。自分では銀座なんて夢のまた夢だと。
もし、銀座のクラブに口座をもっているお客さまと出会わなければ、ずっと場末で時給1,200円で働いていたわけですよ。何が言いたいかと申しますと、自分で自分の限界を決めちゃうともったいないよと。と同時に、さんざん大風呂敷を広げた結果、詐欺等で捕まった方々を拝見するに「分をわきまえる」ことも、平和に生きるには大切なことだなぁとしみじみ思い至るわけでございます。そこで今回、いったん最終回を迎える「出世ごはん」としては、食を通じて自分の限界を知ろうではないですかというご提案をもって締めくくりをと。
まずはその名も恐ろしい表参道「赤い壺」さん。
こちらのお店は、世界中のいろんな唐辛子を集めて、刺激的なお料理を提供していらっしゃいます。空気中を赤い粉が飛んでいるんでしょうね、ときどき、目がシバシバしちゃうんですが、ふとスタッフの方のTシャツを見れば「NO SPICE NO LIFE」の文字。確かに甘くスイートなことばっかりじゃ、人生に深みも出ません。こちらのアラカルトには辛さグレードが9段階あって、辛くないのがNO辛。で、1辛から数字が大きくなるにつれ、どんどん辛さがアップして、4辛から激辛に。
まだまだイケる方はランクを上げて、8辛「いかとニラのハバネロチヂミ(写真上)」に挑戦していただきたく。メニューになんと「ハバネロチヂミはご高齢の方、心臓が弱い方などはご遠慮ください。空腹で召し上がると貧血状態になるため、一番最後の方にお出ししています。また、自己責任であることの契約書にご署名頂きます。」との注意書きが! 怖いもの見たさのエンタメ気分で来店したつもりが、命を賭すほどの本気を問われる衝撃! わたくしなんか辛さ耐性が低いですから、もう4辛あたりをウロウロするだけで精一杯。これが自分の限界かな〜って、辛み成分漂う空気を吸いながら感じるわけですね。ただ、こちらは辛いだけではなく旨みものった“旨辛”なのでね、おいしく味わっていただけるお料理が揃ってますから、そこんとこよろしくお願い申し上げます。
虎ノ門と内幸町の間にある「味覚」さんは、国家特級調理師の方が厨房を預かっていらっしゃる本格的な中国料理店なんですが、看板メニューが刀削麺と「味覚石焼麻婆豆腐」。
麺点師が3時間もかけて捏ね上げる刀削麺はモチモチとした弾力が力強く、激辛テイストとめちゃくちゃ相性がいいんです。で、この麺を麻婆豆腐と合わせちゃったのが人気No.1の「味覚石焼麻婆刀削麺」。辛さは薄辛、普通、中辛、激辛の4段階。わたくしなんか虚弱な胃腸の持ち主ですから薄辛で精一杯ですが、ほかの方々も普通、中辛で汗ダラダラ。唐辛子に含まれるカプサイシンは脂肪燃焼効果や代謝促進、そして疲労回復の効果も期待できるようですから、薬膳としてたまにスパイシーなお料理をいただくのもいいですよね。激辛は噂では、注文しようとするとお店から注意事項を言い渡されるようですから、相当なご覚悟が必要と察せられます。
赤い建物からして、辛さに弱いひとは耐えられないであろう下北沢「マジックスパイス 東京下北沢店」さんは本店が札幌にある元祖スープカレーのお店。
基本になるカレーの種類がチキン、ポーク角煮、ハンバーグ、ベジビーン、シーフードなど10種類ある上に、チキンベースかトマトベースを選択。さらに辛さ、トッピングを選ぶという複雑なオーダーシステム。で、辛さグレードは7段階あって、入門編の「覚醒」から順に「瞑想」「悶絶」「涅槃」「極楽」「天空」「虚空」。ちなみに「覚醒」は「魔法薬草辛世界登竜門」、「虚空」は「最強辛宇宙超感覚覚醒」という説明書きあり。さらにさらにお好みで卓上にある2種のスパイスを加えてもよしという塩梅で、下界とはまったく違う世界観が広がっております。
ただ、こちらのカレーはどのカレーも野菜たっぷりで、本当においしいんですよね。辛さへの挑戦を出世の挑戦にたとえるなら、カレーのおいしさを仕事の楽しさにたとえたい。仕事は確かに辛いことも嫌なこともありますが、基本は楽しいものですから。これ、出世の基本ですよね。
そして、たかが激辛、されど激辛。辛さのグレードを選ぶとき、必ず「自分はどこまで耐えられるのか、そしてどの辛さで幸せになれるのか」って考えちゃうんですが、それって仕事でもプライベートでも、人生のさまざまな場面で選択を迫られたときに頭に浮かぶことじゃないですか。あと、ちょっとずつ試していくか、一気に駆け上ってみるかっていうトライの仕方もそれぞれのキャラクターが出て。スパイスと人生の関係って、つくづく深い。みなさまもときにスパイシーに楽しみながら、出世の階段を上られますよう。心よりお祈り申し上げます。