教えてくれる人

山本憲資

1981年生まれ。大学卒業後、広告代理店を経て雑誌『GQ JAPAN』の編集者に。テック系からライフスタイル、ファッションまで幅広いジャンルの企画を担当。コンデナストを退職後、Sumallyを起業、2023年10月末に代表を退任し顧問に就任。食だけでなく、アートやクラシック音楽への造詣も深い。

Asia’s 50 Best Restaurants 2024 Group shot

今年で12回目となる「アジアのベストレストラン50」の授賞式が、3月26日に韓国・ソウルのグランドインターコンチネンタルソウルパルナスで開催、本年のベスト50のランキングが発表された。アジア各国から選出された影響力のあるフードジャーナリストやシェフら300人余りからなる「Asia’s 50 Best Restaurants Academy」の評議員の投票により、レストランのランキング、種々のアワード受賞者が選出される。

「SÉZANNE」が1位を獲得し「Florilege」が2位に

Asia’s 50 Best Restaurants 2024 No.1 Shot

今回の1位はフォーシーズンズ丸の内のメインダイニングのダニエル・カルバート氏率いる「SÉZANNE」が昨年の2位から順位を一つ上げて受賞。2年前に17位で初めてランクインを果たし、3年目でトップに上り詰め、2022年の「」以来、2年ぶりに日本のレストランの1位奪還となった。2位は昨年秋に麻布台ヒルズに移転した川手寛康シェフの「Florilege」に。

日本のレストランが大健闘!

授賞式でランキングの発表が次々と進む中、ここからベスト3という時点で「SÉZANNE」と「Florilege」の名前はまだ呼ばれておらず、バンコクの「Gaggan Anand」の3位が発表になったタイミングで、日本のレストランの1位が確定。そこからは「SÉZANNE」「Florilege」の両店のシェフが称えられ、今年の1位の発表となった。

「SÉZANNE」内観
「SÉZANNE」内観   写真:お店から

1位に「SÉZANNE」の名前が呼ばれた瞬間、大歓声が巻き起こり、ダニエル氏の目には涙が浮かんでいるようにも見えた。「SÉZANNE」の前には香港の「Belon」でシェフを務めていたこともあり、アジア中にファンが多く、会場全体が盛り上がっていた。麻布台ヒルズのカウンターのステージ感にフォーカスを当てた新しいお店に移ってから初のアワードを迎えた「Florilege」の川手シェフにとっては悔しい結果だったかもしれないが、2位でも存分に素晴らしい結果なのはもちろんのこと、来年以降に期待したい。

カフェモカ男
「Florilege」お料理   出典:カフェモカ男さん

長谷川在佑シェフの「傳」は今回8位、9位には高田裕介シェフの「La Cime」(大阪)とTOP10に日本のお店が4店舗ランクイン、日本の食のレベルの高さを象徴するような結果になった。

他、14位に「NARISAWA」(東京)、35位に「ヴィラ・アイーダ」(和歌山)、39位に「茶禅華」(東京)、45位に「Goh」(福岡)、47位に「cenci」(京都)と日本からは9軒のレストランがランキング入りし、シンガポールと並び最も多くのレストランがランクインした国に。タイが8軒、香港が6軒と続く。

開催国・韓国からは4軒ランクイン

今回の開催国の韓国のレストランではこちらもランキング常連、ソウルの「Mingles」の13位が最高位に。他、「7th Door」(18位)、「Onjium」(21位)、「Mosu」(41位)の合計4軒が韓国からはランクイン。今回のイベントはソウル市がメインスポンサーとなっており、こちらでもガストロノミーが盛り上がっている。

他賞でも日本の活躍が!

銀座「FARO」のパティシエの加藤峰子氏が「アジアのベスト・ペイストリー・シェフ賞」を受賞。加藤氏が授賞式に招待され、会場に座っている時点でこのアワードの受賞が濃厚だったが、実際発表された瞬間には日本勢から大きな歓声があがった。

たちばな ななみ
「FARO」デザート   出典:たちばな ななみさん

また台北にある「Florilege」の系列店で、田原諒悟シェフによる「Logy」が22位にランクイン。日本人シェフの海外の店が評価されるのも日本人にとってはうれしいことで、「Logy」はさらに、ソムリエを務めるKevin Lu氏が「アジアのベスト・ソムリエ賞」を受賞。インターナショナルなチーム構成が功を奏していることがよくわかる結果になった。

ニューエントリーも要チェック

今回のランキングには新たに8軒のお店がランクインした。日本は常連のお店が中心だったが、「Crony」(58位)、「明寂」(76位)など、まだ50位以内にランクインしていない個人的にも好きなお店の、来年のさらなる躍進を期待したい。

全体で見た時に新しいお店が比較的多かったことには、新型コロナの影響で渡航が制限されていた期間が明けて、アジアの中でも人々の行き来が盛んになり、インターナショナルなレストランシーンの活気も戻ってきた昨年の様相の影響も少なからずある。往来がますます盛んになりそうな2024年、どのような新たな風が吹くのか今から楽しみでもある。また、東京での単独の授賞式は未だ開催されておらず、そちらが実現される日もまた今から楽しみにしている。

受賞店一覧

文:山本憲資、食べログマガジン編集部