【カレーおじさん \(^o^)/の今月のカレー】10月を振り返る

今月は、昨今流行の間借りスパイスカレーに始まり、北インドカレー、ネパールカレー、パキスタンカレーの名店をご紹介しました。日本ならではのスパイスカレーも楽しいですが、それが生まれたのはやはりインド亜大陸の様々なカレーあってこそ。

 

特に今月ご紹介したパキスタンカレーは、愛知県の一地方で突如現れたかのように見える名店。実はパキスタン人コミュニティあってこそで、必然ともいえる誕生でした。カレーを見ていると、カレー以外の様々なことにも気づけることがあり、楽しいです。

 

全国的にカレーのさらなる盛り上がりを感じた10月。どうぞご覧ください。

【第1週のカレー】食べられるのは毎週火曜だけ!目黒で味わえる間借りスパイスカレー「トーキョー スパイスカレー」

現在の日本のカレー界の盛り上がりの大きな立役者となった存在に、カレー研究家としても知られる水野仁輔さんもかつてメンバーだった、カレー界では有名な「東京カリ〜番長」というユニットがあります。その東京カリ〜番長のリーダーである伊東さんが毎週火曜日限定で、目黒のコワーキングスペースを使って間借りカレーを営んでいるんです。

 

店頭入り口のTシャツ

 

かつては富ヶ谷でやっていた間借り営業。現在の目黒に移ってからちょうど1年がたち、カレー好きはもちろん目黒界隈で働く人達や海外からの旅行者など、様々な人種で溢れる興味深いスペースとなっています。

 

メニュー

 

メニューは毎回変わります。この日のカレーは、「鶏もも肉と牛蒡のカレー」「枝豆とレンズ豆とクルミのカレー」のあいがけに、様々な副菜がったワンプレート1,000円(税込)でした。

 

今日のカレー

 

チキンと牛蒡のカレーはスパイシーでありつつ旨味もしっかりと出ているサラサラカレー。枝豆のカレーはマイルドで優しい深みのあるカレー。副菜もさっぱりとしていながら食感、彩り、味にも良い変化を与えてくれるもので、途中から混ぜ合わせて食べると新たな美味しさに変化していく楽しさは、まさにスパイスカレー!

 

カレーのアップ

 

スパイスカレーというと大阪が聖地ですが、そもそもスパイスカレーという言葉を使い出したというか広めたのが先述の水野さんともいわれていて、その水野さん所縁の伊東さんが作るカレー、しかも店名からしてトーキョー スパイスカレーですから、東京流のスパイスカレーのひとつの答えといえるのではないでしょうか。

 

週1限定営業、売切次第閉店ということで行くのにハードルの高いお店ですが、スパイスカレーの楽しさと美味しさを味わえる素敵なお店ですよ!

【第2週のカレー】マニアにも初心者にも愛される北インド料理の名店「インディアンレストラン アールティ」

かつてはインドカレーといえば北インドカレーであり、濃厚なカレーとナンの組み合せを想像する方も多かったことでしょうし、今でも多いかもしれません。しかし昨今のカレー界ではむしろ北インドカレーは流行の中心からは外れてしまっており、僕自身も最近は南インド料理やスパイスカレーを食べることの方が多くなっています。

 

そんな中でも定期的に通っている北インド料理の名店が、秋葉原にある「インディアンレストラン アールティ」です。ディナータイムにはインド屋台料理の数々もいただける楽しいお店。今回は仕事の打ち上げで個室を予約利用。こういう使い方もできるのが嬉しいですね。

 

「そら豆のクミン炒め」480円(税込)

「アルティッキ」560円(税込)

 

まずは「そら豆のクミン炒め」480円(税込)と「アルティッキ」560円(税込)で乾杯。アルティッキをわかりやすく説明するなら、インド式コロッケの豆カレーソースがけといったところでしょうか。これが実に美味しいんです。お酒のつまみにも前菜的にも最高です。そら豆のクミン炒めがお酒に合うのは言うまでもありませんね。

 

「ミックスベジタブルカレー」920円(税込)、「カブリナン」420円(税込)

 

カレーのおすすめは「ミックスベジタブルカレー」920円(税込)。こちらのお店の野菜カレーは全てがハイクオリティでハズレが無いのですが、まずはこれから食べるとそれがわかりやすいでしょう。

 

「ミックスシーフードカレー1,000円(税込)、「チーズナン」420円(税込)

 

今回はそれに加えて「ミックスシーフードカレー」1,000円(税込)を「カブリナン」420円(税込)や「チーズナン」420円(税込)と合わせていただきました。ナンが美味しいのもこちらの魅力のひとつです。

 

ご飯ものなら「マトンビリヤニ」1,260円(税込)。全てが美味しい!

 

「マトンビリヤニ」1,260円(税込)

 

今回は仕事相手との打ち上げで、インドカレー慣れしていない方々との会食だったのですが、皆さんに喜んでいただけました。つまり、マニアにも初心者にもどちらにも美味しいと思える絶妙のバランス感ということです。このようなお店が増えてくれれば、北インド料理もまた盛り上がっていくことでしょう。

【第3週のカレー】ネパール最大のお祭り真っ最中に食べたいネパール定食「ロイヤルガーデン」

10月のネパールは、最大のお祭りである“ダサイン”の真っ最中なんです。ヒンドゥー教のお祭りなのですが、ネパールにおいては盆と正月が一緒になったような時期だそうです。ネパール暦によって毎年日付は変わるのですが、2018年は10月10日から2週間ほど。10日目のティカと呼ばれる日はメインにあたる日で、今年は10月19日でした。

 

せっかくなのでこういう時はネパール料理を食べてみてはいかがでしょうか? ネパール料理といってもイメージしにくいかもしれませんが、インドの北隣にある国なのでカレー的なスパイス料理が多く、日本人の舌にも合うと思います。

 

ネパール料理といえば新大久保周辺エリアが日本一の激戦区。数々の名店がひしめき合い、美食家達の間では新大久保は韓国料理よりネパール料理の方がレベルが高いといわれる程です。老舗の「MOMO」をはじめ、今年の「食べログ カレー 百名店 2018」に選ばれた「アーガン」等、現地の人気店にも引けを取らない美味しさのお店が多いのですが、そんな新大久保に登場した注目の新店が、「ロイヤルガーデン」です。

 

ダルバトセット

 

裏通りの地下にあるお店ですが、入ってみれば広くて明るく、初心者でも安心できる雰囲気。見慣れたインド料理もありますが、ここでは「ダルバトセット」500円を頼まないわけにはいきません。ダルバト(ダルバート)とはネパールの定食で、豆スープとカレー味のおかずとご飯が一緒になったもの。素朴ながら深みのある優しい美味しさです。

 

スープモモ

 

「スープモモ」650円も身体が温まります。

 

グンドルクサデコ

 

「グンドルクサデコ」350円も最高! グンドゥルックという青菜を発酵乾燥させたネパールの食材と豆のスパイス和えなのですが、おつまみに良し、おかずに良し、おまけに身体にも良いんですから。

 

こちらのシェフ、僕が定期的に通っているお店のオープニングシェフだった方。そりゃ美味しいわけです。安くて美味しいネパール料理。激戦区に現れた期待の新星。要チェックですよ!

 

※価格は全て税抜き

【第4週のカレー】愛知の秘境で見つけた新たなるパキスタンカレーの聖地候補「インターナショナルビレッジ」

埼玉県の八潮市、富山県の射水(いみず)市はどちらもパキスタンカレーの聖地として、マニアには「ヤシオスタン」「イミズスタン」と呼ばれて親しまれています。その射水を、パキスタンカレーの聖地へと変身させるために一役買った名シェフが、今は愛知県のとある村で腕を振るっていると聞いて行ってきました。

 

名古屋市から三重県方面へ車で1時間弱。飛島村と弥富市の境界線近くにあるお店。見た目は飲食店という雰囲気ではありません。壁に囲まれた作業所のような、工事現場のような雰囲気。

 

プレハブ小屋のような雰囲気の店舗

夜空にはためくパキスタンの国旗

 

はためくパキスタンの国旗がまた混乱を深めます。しかしこの混乱、とても楽しい混乱でして。ワクワクしながら中に入れば、店内はちゃんと飲食店の雰囲気。厨房には、眼鏡で有名な名シェフ、カムランさんが確かにいらっしゃいました。

 

マトンコフタ

 

メニューは日替わり。どれを食べても美味しいのですが、特に気に入ったのが「マトンコフタ」850円。分かりやすく言えば、マトン(羊)の肉団子カレーです。

 

マトンはスパイスの下味によって肉の臭みが消え、旨味だけ凝縮されていて笑顔になる美味しさ。しっかり油で素材の味を引き出すパキスタン式のカレーには、ゆで卵とじゃがいもも入っています。このじゃがいもがまた美味しくて。スプーンで割るとホクっとした感触でありながら、食べるとねっとりした舌触り。面白いなぁ。美味しいなぁ。

 

チキンビリヤニ

アンダチャナ

マライティッカ

 

「チキンビリヤニ」850円も「アンダチャナ」750円も「マライティッカ」600円も、確かな技術を感じる美味しさ。そして、どれもが非常に安いということもまた魅力。わざわざ車で行く価値のある名店です。

 

このエリアが新たなパキスタンカレーの聖地となるには、地元の方々が足を運ばなくてはなりません。このお店をきっかけに、新たなパキスタンカレーの聖地が生まれたとしたら楽しいですね。そんな期待を込めて。近隣の方はもちろん、カレー好きなら遠路はるばる行って損の無いお店です。僕もわざわざ東京から行った甲斐がありました\(^o^)/

 

※価格は全て税込

取材・文:カレーおじさん\(^o^)/