和の静寂に包まれて過ごす大人の休日
徳島市内から車で走ること約1時間、山々に囲まれた上勝町に「ペルトナーレ」はあります。鳥のさえずり、川のせせらぎ、森林の香り……、都会では体験できない美しい大自然が360度のパノラマとなって広がる光景におのずと胸が高鳴ります。
こちらは人気イタリア料理店「ペルトナーレ」が古民家をリニューアルし、夕食は絶品イタリアン、朝食は和定食がいただけるレストラン付きのヴィラとして移転オープン。1日1組限定とあって、2階にある広々とした部屋が独占でき、旅の疲れもすぐに吹き飛びます。
ひきたての豆で入れたコーヒーを飲むゆっくりと流れる時間に心身ともに癒やされます。空の色がブルーからオレンジ、そして濃紺に変わった頃、待望のディナーが始まります。
徳島食材とシェフのこだわりが創り出す至極の料理
オーナーシェフの表原 平さんは運送会社のドライバーから転身した異色の料理人です。徳島から上京してフランス料理店で修業した後、イタリア料理「アル・ケッチァーノ」に入社。奥田政行氏のもとで地産地消の料理理念を身につけ、2014年、地元である徳島に戻り、上勝町に「ペルトナーレ」をオープンしました。
豊穣な地で育った食材のポテンシャルを昇華させる表原さんのイタリア料理は評判を呼び、徳島市内から1時間の地でありながら客足が途絶えることのない人気店に。県外からの客の「宿泊できたら」という声に応え、10年を機にレストラン併設のヴィラとして移転リニューアルしました。レストランのみの利用もでき、移転前からの顧客も変わらず足を運んでいます。
宿泊客には10品のおまかせコース、レストランのみの利用客にはアラカルトでも提供しています。その日、その時に手に入る地元食材を生かすのはイタリア料理の真骨頂。目の前の勝浦川でとれる鮎、アメゴ、スッポン、手長海老に天然の鰻、阿波華牛に野蒜や山菜、キノコなどの山の幸、こちらでいただけるのはまさに“素材が主役のイタリア料理”なのです。
イタリア料理の定番「トマトのカプレーゼ」。フルーツトマトではないのに、甘みも酸味も十分にあり、しかも濃厚。地のトマトだとこうも違うのかと驚かされます。
パスタは手打ちと乾麺を食材やソースによって使い分けます。こういうシンプルな料理ほどシェフの腕の見せどころ。自家製パンチェッタのうまみと脂の甘みに、トマトの酸味との完璧なバランスが舌を魅了します。
「『阿波華牛』は脂のおいしさが特徴的なので、それを最大限に生かす煮込みにしました」と、時間をかけて煮込んだスネ肉は口中でホロホロとほどけ、脂はとろけます。これがモッチモチの手打ちのタリアテッレと絡み、想像を超えたおいしさへと昇華します。
魚、肉、圧巻の薪焼き!
肉はDIYで作った焼き台で薪焼きに。「湿度のある炎にしたかったんです。薪は木に含まれる水分が水蒸気となり肉の表面を保湿しながら焼けるので、炭ではなく薪を使っています」と表原さん。
焼きあがった雄鹿はしっかりと歯応えがあり、噛むたびに中に閉じ込められていた肉汁とうまみが口中をいっぱいにします。冬には猪や穴熊などのジビエ料理も楽しめ、勝浦川でとれる川魚の薪焼きも絶品です。
知られざる食材の宝庫、徳島グルメ旅!
翌朝の朝食、スタート時間を自由に選べるのは1日1組の特権。前日の夕食とはうってかわって新鮮な魚と白飯が主役の和定食というのも表原さん流のおもてなし。提供される茶は農家さんと共同で茶葉を育てたオリジナルの「阿波晩茶」。8月に摘んだ茶葉を発酵させ9月頃に新茶ができあがります。味よし、香りよし、ぜひご堪能あれ!
イタリア料理の魅力は土地ごとに異なる美味があることですが、「ペルトナーレ」は日本にいながらそんなイタリア料理の真髄を感じさせてくれます。とれたての食材をどれだけおいしくできるか、どれだけ昇華できるか、そこに情熱をかけた表原さんの料理はこの場所でしか味わえません。その唯一無二の料理の魅力に引きつけられ、どんなに遠くてもここへ集うのです。
移転前の場所にはジェラートの店「TONPUKU」がオープン。他にもカフェやバー、クラフトビールの店には地元客でにぎわっています。
徳島駅付近にも見目麗しい八寸や看板料理のしんじょう椀、とれたての魚が絶品の「かま田」や、甘いお好み焼きの「豆天玉」で有名な「はやしのお好み焼」などグルメが満足する店が軒を並べます。次は食材の宝庫、徳島グルメ旅に出かけてみるのはいかがでしょう。
※ランチコース:7,700円(税込)
ディナーコース:12,500円(税込)