【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレー#78】「スパイスカレーMANTRA」

「イタリアにはカレーを出すお店がほとんど無い」。そんなことを聞いたことが何度かあります。以前某TV番組で行われたアンケートでも、世界で一番カレーを食べない国がイタリアだという結果が出ていました。イタリア料理といえばトマト。そしてニンニクやハーブを使うことも多いので、カレーとの共通点も少なくないのですが、逆に共通点があるからこそ、カレーにするよりはイタリア料理にしたくなるのかもしれません。

 

ただし、イタリア料理とインド料理の相性が悪いわけではありません。特に日本人は現地の料理をアレンジすることに長けている民族。そもそもスパゲッティのナポリタンはイタリア料理風の日本料理ですし、カレーもインドの料理とは別物として成り立った経緯もあります。

 

そして日本のカレー界は今、自由で新しいカレーが続々と生まれている状況。中華とカレーの融合は既にかなりのお店で試みていますし、フレンチとインド料理を融合させた「モダンインディアン」と呼ばれる料理を出すお店も全国的に少しずつ登場してきています。そんな中、イタリアンとスパイスカレーを融合させた面白いお店が東京・高円寺にできました。9/3に開店した「スパイスカレーMANTRA(マントラ)」です。

 

注文したのは「カレー3種盛り+8種トッピング」1,380円。カレーは「チキンカレー」「キーマカレー」「ポークカレー」の3種。それぞれ王道のスパイスカレーと言いますか、一般受けする方向性。初心者向けでもあり、逆に言うと毎日のようにカレーを食べているマニアには少し物足りなくも感じる味かもしれません。しかし、そこに隠れた大いなる可能性を感じたのです。

「カレー3種盛り+8種トッピング」

 

その可能性が現れているのが個性的な副菜の数々。赤玉葱はイタリアのピクルス的な料理である「アグロドルチェ」に。ブロッコリーはパスタにもよく使われるアンチョビと一緒にマリネ。うずらの卵はイタリアの特産品であるバルサミコ酢でピクルスに。そしてゼッポリーネというピザ生地を揚げたものがあしらわれるというイタリア三昧。

色鮮やかなトッピングの数々

 

これらの副菜がどれもおいしく、基本的にピクルス系が多いのですが、酸味の方向性が微妙に違うので食べ比べるのも面白いですし、混ぜ合わせて食べることによってシンプルなカレーを引き立てて味の隙間を見事に埋めていました。これは計算されているなぁと感心。中でも驚いたのは桃みたいなトマトピクルス。本当に桃のような甘さで、ひときわ存在感を放っています。

カレーは単品、2種盛り、3種盛りとある

マスターは若きイケメン。学生時代からカレーのお店を営むことを夢見ていたそうですが、イタリア料理店で修行し、カレーは独学で身につけたとのこと。一見まわり道にも思えるイタリア料理での経験があったからこそこのカレーが生まれたのですね。

 

トッピングは季節ごとに変えていく予定だそうです。カレーも進化していきそうなポテンシャルを感じ、今後面白くなっていきそうなお店だと思っています。高円寺がさらにカレーで盛り上がってきました!

 

※価格は税込

 

取材・文・写真:カレーおじさん\(^o^)/