良い体を作るには、良い食べ物が必要。それは牛や豚でも同じこと。

“肉食系フードライター”の小寺慶子さんによると「美味しい肉を育てるために、飼料にもさまざまな取り組みがなされているんですよ」とか。

 

その具体的な内容はというと、「よく知られているところでは、松坂牛はビールを飲ませて育てている生産者もいます」と小寺さん。

ビール酵母の働きで第1の胃の環境を整え、食欲の促進を図っているそうだ。

 

続けて、「他にも、徳島県のすだちで育ったすだち牛、長野県のりんごで育った信州牛、香川県のオリーブで育った讃岐牛と、その土地の名産を食べている牛たちもいるんです」と話す。

 

なるほど、地場で育てられた食物であれば安全性も高い。そのうえビタミン類が豊富な食材や人間にとっても“健康食”として重用されているオリーブなど、それぞれ体に良さそうな物を食べていて納得だ。

実際に食べてみたくない?

良い肉の大本をたどれば良い物を食べているということに気付く。だがしかし、それが穀物や牧草だけではないというのが最近の傾向のひとつらしい。想像もしなかった食事情を知った後は、どんな物かと食べてみたくなるもの。

 

というわけで、一風変わった飼料で育ったお肉が食べられるお店をご紹介!

1.葡萄牛

ワインを造るときに出るブドウの搾りかすを配合した飼料で育つのが葡萄牛。ポリフェノールが多いことでも知られるブドウによってやわらかく風味豊かな肉質になるのが特徴だ。脂は少なめなので、赤身の美味しさが際立っている。

体験するなら5月25日にリニューアルオープンした「Salt by Luke Mangan」の新作メインディッシュ「葡萄牛のグリル~ステーキパイの再構築」はいかが?

 

使用されているのは、オーストラリアのニューサウスウェールズ産アンガス種系に限定し、約220日間以上、ブドウの搾りかすを配合した穀物で飼育された葡萄牛。シェフのルーク・マンガン氏がオーストラリア名物のミートパイから想起したモダンなひと皿だ。

【メニュー紹介】

葡萄牛のグリル~ステーキパイの再構築(Signatureコース8,000円の一部)

2.オリーブ牛

オレイン酸を豊富に含むことで知られているオリーブ。香川県では、小豆島のオリーブの搾り果実を黒毛和牛に与えることで品質と美味しさが向上。他の和牛よりもオレイン酸測定値が高いのが特徴だ。抗酸化成分によりヘルシーでやわらかく風味や肉質もピュア。

瀬戸内海周辺の食材を各県から直接仕入れている「Setouchi Kitchen」で食べられるのは、シンプルな味付けでオリーブ牛のうま味がダイレクトに伝わる「香川 オリーブ牛のステーキ」。

 

淡路島の玉ねぎを使用した特製ソースとともにワサビやレモンを足しても美味しいが、何も付けず肉のみでも十分なほど深い脂のコクと火入れの良さが印象的だ。

【メニュー紹介】

香川 オリーブ牛のステーキ1,990円

3.バームクーヘン豚

最後にご紹介するのは、バームクーヘン豚。そう、あのお菓子のバームクーヘンで育った豚、藏尾ポークの通称だ。甘い飼料のおかげで、豚の脂身もほんのり甘い。それでいてしつこさがなく、後味もさっぱりとしているのでいくらでも食べることができる。

そのバームクーヘン豚を使用した、その名も「ミートバームクーヘン」というメニューが松濤の「TABLE O TROIS」にある。

 

バラ肉をバームクーヘンの形にくるくると巻いていき、5時間ゆっくりと時間をかけて煮込んだ後に、さらに200℃のオーブンで一気に焼き上げる。焦がしたバターと煮汁の自家製ソース、下に敷かれたマッシュポテトと合わせて楽しんで。甘みとやわらかさがたまらない一品となっている。

【メニュー紹介】

ミートバームクーヘン1,980円

 

編集協力:小寺慶子