出世ごはん

デキるビジネスパーソンはこんなお店で食べている! 元銀座のホステス&開運アドバイザーの藤島佑雪が、かつての同伴その他の経験から見極めた「出世する店」を「おいしい理由」とともにご紹介!

No.32 無理難題にストップを言える部下になるための、おまかせ串揚げ

ひたすらイエスマンに徹する。それもひとつの出世道ではありますが、意に反することに対してはノーと言う、上司が出した無茶な企画にはうまいことストップをかけられるビジネスパーソンでいたいですよね。

 

今回はそんな“ストップ力”をブラッシュアップするための、串揚げのススメです。昨今、お好みで1本ずつオーダーできるところや、10本2,000円で決まったものが出てくるお店もありますが、大阪の串揚げスタイルはおまかせで次々、串が出てきて、もう十分となったら「ストップ」をかけるのが基本。東京では新宿「立吉」、赤坂「六波羅」、神楽坂「串揚げ 風の音」あたりで、そのスタイルが踏襲されています。

 

このストップをかけるタイミングというのが案外難しいんですよね。大体、「ストップ」と言った時点で2、3本は揚げている最中だったりするので、満腹になってからストップをかけるのでは遅いんです。腹7、8分くらいでストップをかけるのが正解なのですが、その1本後に一番食べたかったズワイガニのクリームコロッケがやってきたりして、「もうちょっと頑張ればよかった」なんて後悔したり。

おすすめ店その1、新宿「立吉」。最初はおまかせで串が出てきて、一度ストップをかけるとやっと自分の好きなものを注文できるスタイル。出典:okamoooさん

 

最初に食べられないもの、苦手なものなどを聞いてくれるわけですが、おまかせでやってる=闇串状態ですから、キスのフライよりうずら卵がよかったとか、ストップをかけるまでにいろんな思いが交錯するわけです。せっかく時間とお金を使って食べにきたからには少しでもおいしい思いをしたいという欲があるじゃないですか。次にもっとおいしいものがくるかもしれない。いやいや、これ以上食べるとお腹いっぱいになって、好きなものもおいしくいただけなくなる。自分のお腹の具合と、一か八かのロシアンルーレットのような闇串の探り合いに、自滅しそうになりつつ、それをまたワクワクドキドキして楽しむのが、おまかせ串揚げなんですけどね。

おすすめ店その2、赤坂「六波羅」では、四季に合わせた25〜36種類の串を、六波羅特製のソース・塩・タレ・醤油で。お腹が一杯になったところで「ストップ」と声をかける「おまかせ」が本来の姿。写真:お店から

 

で、このおまかせ串揚げをずーっと受け身で食べ続けるのも、ビジネスパーソンに必要な“受け入れ力”を磨くにはいいのですが、今回のテーマは“ストップ力”のブラッシュアップ。自分の意に反する状況にストップをかけ、より自分好みの方向にもっていくためのレッスンとして、出される串をできる限りコントロールして欲しいんですよね。

 

最初に食べられないもの、苦手なものを伝えたら、こちらから「今日のおすすめ」は何かを聞き出したり、和牛が好きだとか絶対コロッケは食べたいとか、自分の好みを主張して、お腹がいっぱいになる前に出してもらえるよう交渉していただきたいのです。もう、そのへんは仕事と一緒。お相手から情報を引き出し、自分の情報も伝え、お互いの需要と供給が合致するポイントを探り出すことで、無駄なく最高のパフォーマンスを引き出してください。その際、次に飲む日本酒やワインを決めたいから、この後何が出てくるか教えてください、という風にメニューを聞くなど、自然でさりげない会話を心がけるのもお忘れなく。

おすすめ店その3、神楽坂「串揚げ 風の音」では、1串100円〜380円をおまかせで楽しめる。素材感溢れる串揚げのひと口めは、まず塩で味わって! 写真:お店から

 

上司や取引先など、目上の立場の方にストップをかけるのって、すごく勇気が要ることだったりしますよね。いきなりストップをかければ、波風も立ちますし。でも、こんな風に会話の中から情報を引き出しつつ、こちらの意思も伝えながら、折り合える地点を見つけて、フワッと軟着陸できるストップをかけることって、可能だと思うんですよね。お互いの腹具合から、ストップをかけるタイミングをぜひ、見極めてくださいな。

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