料理男子というよりはむしろ……

料理男子というよりは僕、“女子力が高い男”という言葉の方が当てはまるような気がします(笑)。先日は、自分で砕いたクルミ粉を入れてパウンドケーキを焼きました。

 

クルミは仕事で地方へ行った際に購入したんですけど、地方へ行くと、必ずといっていいほど食材を買って帰るんです。地場の食材を使った加工食品ではなく、原材料を買ってきて自宅で作ることが好きなんです。

 

美味しいメニューに巡り合えたら、「これは何が入っているんですか?」と聞いて、自宅で再現することもあります。レパートリーが増えるから楽しくて。

 

カメラも好きだから、料理は盛り付けや写真にもこだわっています。美しく写るよう、太陽光を取り込みつつ「こんな感じかな。」と試行錯誤しながら撮影しています。

 

……って、やっぱり僕、料理男子ではなく“女子力が高い男”の部類に近いですよね(笑)。

 

ただし、何人もの男友達を自宅に招く日は別。凝った料理ではなく基本的に鍋を作ります。男には簡単でいいんです。質は大切ですが量も大事ですから。

 

とはいっても鍋だけで済ませるのではなく、前日に常備菜を仕込んでおくようにはしています。同じ食材を使うとしても調理法を変えて、品数を増やします。他には、ご飯と野菜料理も添えて。

 

昔、ひとり暮らしを機に自炊を始めたのですが、人間、食事をしなければ生きていけませんから、当初は生きるためだけに作り始めたんです。ですが、続けるうちに料理の奥深さにハマってしまい、「どうせ食べるなら美味しいものを食べたい。」という気持ちが、今の料理熱につながっています。

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テキーラが好き!

メキシコのイタリアンレストランで常温で飲んだらすごく美味しかったのが、好きになったきっかけです。自宅で夕食を取るときは健全な生活を維持したいのでお酒は飲まないのですが、家でひとり飲みするのも同じブランド。

 

国内では販売している店舗が少ないそうです。バーではショットグラスでクイッと飲むか、テキーラサンライズしかオーダーしないほど、今はテキーラを愛飲しています。

外食へのこだわり

小さい頃から今も変わらない大好物が、刺し身。店によってもネタの味が違うところが刺し身の面白さで、同じ時季に食べる鮪でも店によって味も違えば、土地ごとに食べ方も違う。

 

この、同じ食材を使っても同じ味を提供する店がない、という点が外食の醍醐味だと思うんです。しかも、同じレストランで同じメニューを頼んでも、同じ味で提供されることはほとんどない。

 

食す側の体調にもよるのかもしれませんが、「今日はどっち寄りの味なのかな。」と、期待しながら味わうのが楽しいんです。

 

誰しも外食をするなら、ありきたりではない美味しいお店に連れていきたいと思いますよね。それは僕も同じで食べログ、いつも拝見しています。というか、毎日見ています(笑)。

 

「ここなら自信を持って連れていくことができる。」というお店を探求する努力と過程にワクワクするんです。役者の商売道具は、目には見えない「感情」ですから、レストラン選びなどの事柄も含め、経験が感情を豊かにし、“人間味”にも関わってくると捉えています。

バイブルはあのアニメソングとブルーハーツの歌詞

『アンパンマンたいそう』の歌詞が僕にとってのバイブル……だからといって、笑わないでくださいね。歌詞が子どもだけじゃなく、経験を積んだ大人の僕にもすごく刺さったんです。

 

子ども向けとはいえ、心に染み渡りませんか? 僕はアンパンマンと誕生日が一緒という理由もあり、もはやバイブルの一部と化しています。

 

歌詞が胸に響く楽曲が好きなんです。その点では青春時代からずっと聴いてきたTHE BLUE HEARTSも、僕の人生とは切り離せない存在ですね。

 

THE BLUE HEARTSは音楽シーンに大きな風穴を開け続けてきましたし、それが社会現象にもなっているわけですから、いつの時代にもなじむクラシックと呼べると思います。平成の次の時代になったとしてもパイオニアなんです。

 

どの曲も、恥ずかしがり屋でピュアな人と話をしているような感覚になるところがすごく好きなんです。格好付けずに等身大でストレートな歌詞と曲調がカラオケでも盛り上がるから、僕もしょっちゅう歌っています。

 

だからTHE BLUE HEARTSの歌詞を映像化した『人にやさしく』への出演は、本当にうれしかったです。撮影は2年前でしたが完成作を観て、作品が問い掛ける「あなたならどうしますか?」というメッセージを、僕自身も受け取りました。

 

生涯最期の一品

ゲテモノ料理でも何でもいいから、いままでに食べたことがないものを食べたいです。未体験ゾーンに足を踏み入れてから死にたい。

 

自分の死期を悟ってしまったら、未開拓のメニューを人からどう見られるかなど一切気にせず食べてから、人生を終えたいんです。

 

食べたことがないメニューへの挑戦は、海外に行ったときもしています。避ける人とチャレンジする人に分かれると思いますが、僕は後者。

 

最近チャレンジしたのは雪です(笑)。「ここの(土地の)雪はどんな味がするんだろう?」と思って食べてみたんですけど、あまり変わりませんでした。

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映画『ブルーハーツが聴こえる』について

市原さんの最新主演作は、SFというはるか遠い未来の話ではありますが、「人間が極限にまで追い込まれたときにどんな性(さが)が出るかも含め、1シーンごとに常にお客様に問い掛けています。」とのこと。

 

SF作品にもかかわらず、最新技術のCGを使わずあえて特撮の手法を用いた理由を市原さんは、「どんなに技術が発達しようが、人間の心にある芯はブレないという原点を映したかったのでは。」と考察していらっしゃいました。おっしゃるとおり、CG未使用だからこその独特の世界観と画力、そして撮影手法によってあふれ出す懐古感とストーリーとのギャップに、画面に釘付けになり納得です。

 

小気味よいストーリー展開と、最終的に誰が『人にやさしく』接したのか、そして市原さんの肉体美とキレッキレのアクション。見どころばかりですが市原さんからは、「100人いれば100通りの答えがあると思うので、一緒にご覧になった方と『あなたならどうする?』と話し合ってみていただきたいです。」とのコメントを頂戴しました。

 

音楽界のレジェンド、THE BLUE HEARTSの6つの名曲を自由な解釈で映像化した6編が集結したぜいたくな映画『ブルーハーツが聴こえる』は、4月8日より全国公開。(市原さんは『人にやさしく』にて主演)

 

写真/Hiro Kimura @W