小宮山雄飛の〈今月最高のツマミ〉2026年10月「たつろー 宮益坂本店」

小宮山さんがよく行くお店

渋谷駅から徒歩5分、宮益坂を上がってちょっと小道に入ったところにある、やきとん屋の「たつろー」。実はここ、渋谷区観光大使もやらせてもらっている、地元民の僕がプライベートで一番行っている酒場なんです。 

下町の酒場のような雰囲気の内観

真っ赤なパイプ椅子に壁一面の短冊メニュー。思わず「ここホントに渋谷!?」と思ってしまうほど、下町の酒場のような雰囲気が落ち着きます。僕は、いつもこのカウンターで、ぽつんとひとり飲みをしています。 

もつ煮込み 580円

お店自慢の「もつ煮込み」は、もつ自体がおいしいのは当然のこと、実は汁の方に秘密が。一見、具はもつだけで、他になんの野菜も入っていないように見えるのですが、ニンジン、玉ねぎ、大根、キャベツなどの野菜を3日間じっくり煮込んで、最後に濾して味噌で味を調えている、言わば濃厚な野菜スープなんです。野菜の甘みやうまみが、もつの味と合わさって最高の一杯になっているわけです。 

新鮮なもつの身はぷりっぷり

こちらのご主人は、恵比寿で20年ほど和食に携わっていた方なので、出汁や素材の扱いが見事。だから、もつ煮込みひとつとっても、一品料理としての完成度が高いのです。シャキシャキのネギもいいアクセントです。 

豚タンやわらか煮 640円

煮込みとならんで、こちらに来たらぜひ食べてほしい名物が「豚タンやわらか煮」。タンの表面のゴツゴツ感がちょっと生々しくて勇気がいりますが、その見た目を良い意味で裏切ってくれます。 

圧力鍋で煮たタン

タンらしく、ゴリッとワイルドな食感かと思いきや、「やわらか煮」の名の通り、めっちゃくちゃ軟らかいのです!  これは正直、食べてもらわないとわからない。みなさんが、今この写真を見て想像している食感の、おそらく10倍は軟らかいです!  圧力鍋を使い、タンを徹底的に軟らかく煮る。すると、タンの味わいはそのままに、口の中でするっと崩れる、最高の食感になるんです。 

とろレバ刺 620円

刺し系もおいしいですが、中でも「とろレバ刺」がおすすめ。こちらのお店、肉の部位ごとに、それぞれ一番良いと思う業者から仕入れるというこだわりようで、今も4つの取引先から肉を仕入れているそう。「レバーは絶対に加藤畜産」とご主人が絶対的な信頼を置く、群馬の加藤畜産のレバーです。 

断面の輝きが違う! 

とろっとろのジューシーで、甘みがすごい。生産から販売までを一貫して手がけている加藤畜産から直接仕入れているから、鮮度抜群なのです。 

ホッピーセット(白・黒) 620円

お肉に合わせるのはホッピー白セット。見てください!  ホッピー 、焼酎、ジョッキの3つとも冷えている、いわゆる「三冷(さんれい)」のホッピー。新鮮なもつとキンキンに冷えたホッピーの組み合わせ、最高すぎます。 

レバ 220円、ナンコツ 240円、カシラ 220円

名物のもつ焼き「レバ」「ナンコツ」「カシラ」 一本一本が大ぶりで、食べ応えも抜群。 

ナンコツばかり頼むことも

僕はここのナンコツの大ファンなのです! 今回は取材ということで、あれこれ紹介していますが、実はひとりで飲みにくると「ナンコツ3本!」とか、とにかくナンコツ狙いです。コリコリの食感と、肉厚の身のおいしさが合わさって、噛めば噛むほど肉のうまみが滲み出てくる、最高の一本です。

牛スジカレー(チビサイズ) 620円

最後の締めにして、実はお店の看板メニューが、もつ焼き屋さんが本気で作る「牛
スジカレー(チビサイズ)」。このカレー、料理人歴20年以上のご主人が考案したものかと思いきや、なんとご主人の奥さんが家で作っていたものが、知り合いの間であまりにおいしいと評判になり、ご主人がこちらのお店を開く際にメニューに取り入れたという、ちょっと面白い経緯が。 

もつ焼き屋さんのカレーということで、てっきりお店で余った色々なお肉で作っているのかと思いきや、このカレーのためだけに和牛を仕入れているというこだわりよう。 

スパイスが利いていてたまらない

和牛のうまみにスパイスもしっかり利いていて、ちょっぴりビターでめちゃめちゃおいしい! 煮込み同様、こちらもセロリ、玉ねぎ、ニンジンなどたっぷりの野菜が溶け込んでいて、実に深い味わいです。 

目立つところに「名物 牛スジカレー」

よく見たら、外の看板にも、もつ焼き屋さんなのにしっかり「名物 牛スジカレー」という表記があるくらい、お店の看板メニューなのです。最近、カレーだけに特化して、キッチンカーも始めたそうで、音楽フェスに出店して3日で2,000杯が完売したというから、すごい人気! 酒場の締めにしては本格的すぎる牛スジカレー、渋谷に来た際はぜひ食べてみてください。

※価格は税込

文:小宮山雄飛、食べログマガジン編集部
撮影:GENIUS AT WORK