再開発にともない、有名ITベンチャー企業によるオフィス移転の動きも活発に見られ、しばらくこの地を離れていた大人たちから再びの注目を集める街・渋谷。だけど、いざ来てみたら食事処に迷ってしまうというケースもしばしば。そんな、“シブヤお久しぶり組”の迷える大人たちのため、渋谷区観光大使を務める小宮山雄飛さんに渋谷の新旧グルメスポットを教えてもらおう! というこの連載。

 

新店紹介編に続く[旧]編では、創業47年目を迎える昔ながらの洋食屋さんをご案内します。

【大人の渋谷メシ・[旧]編】第1回「れすとらん牛舎」

カレー用語に“シャバシャバ系”というのがあります。小麦粉を使わない南インド系のシャバシャバなカレーのことですね。そんなシャバシャバ系を愛する人たちに朗報です! 渋谷でもシャバシャバ系を食べられるのがこちら、老舗の洋食屋さん「れすとらん牛舎」。

しかし、シャバシャバといっても、カレーじゃないんです。なんと、こちらではポーク生姜焼きがシャバシャバなのです!

「ポーク生姜焼き定食」

マニアックなファンも多いこちらのシャバシャバ系の生姜焼き、たっぷりの豚のコマ切れ肉の下にはシャバっとしたタレがこれまたたっぷり。同じ皿に盛られるのは、生姜焼きでは定番のキャベツ千切りではなく、ドレッシングがかかったレタス。さらに添えられたポテトサラダもどちらかというとしっとり柔らかいタイプ。この全体的にウェットな感じが、実にご飯に合うんです。

ランチは950円、14-17時のカフェタイムはトマト付き1,000円、17時からのディナーはさらに卵焼きが付いて1,100円。時間によって値段も上がるが、トッピングが増えていくという店主考案のうれしいシステム。

面白いのは洋食屋さんということでマグカップでお味噌汁が提供され、ご飯は茶碗ではなく平皿、さらにこれらをフォークとナイフでいただくという、一般的な豚生姜焼き定食とはかなり違う、唯一無二のスタイル。

生姜焼きに使用しているのは、100%大沢牧場豚。

おすすめの食べ方は、まずはそのままお肉をオン・ザ・ライスで。お肉の量がかなりあるので、ケチらずどかっと盛りましょう。次はポテサラをたっぷりのタレに少し溶いて、もったりしたオリジナルソースを作ってお肉にからめると、これがまろやかでまたイケる。レタスやお味噌汁で口をリフレッシュしたら、今後は卓上のタバスコをかけて味変を。(生姜焼きにタバスコ合うんです!)

 

このポーク生姜焼き、創業以来47年、味を変えていないというのもすごい! あのシャバシャバなタレこそが、渋谷のソウルソースだったのです。(そんな言葉あるか?)

 

※価格はすべて税込

 

文:小宮山雄飛

写真:外山温子