大好評! ひのようこさんによるパンガイドシリーズ。今回は、「世界のパン」をテーマに複数回にわたってご紹介。世界には多種多様でユニークなパンがありその専門店も続々と登場しているなか、今食べたいパン、訪れたいお店とは。幅広い視野で長年にわたり日本におけるパンならびにパンカルチャーを見続けてきたひのさんが、その魅力と必食メニューを案内します。はえある第1回は「ベーグル編」をお届け。

唯一無二の食感が、ベーグルの個性であり魅力

ひのさんとベーグルと出合いは、今から約20年ほど前。「パンクラブ」をはじめた初期だったそう。

 

「インテリア雑貨店で購入できるベーグルがあって。当時は本格的なベーグルを取り扱っているお店がなかったのですが、そこのは目のつまったみっちりとした食感で、一気にファンになりました。その後、実際にニューヨークでベーグルショップ巡りをしたことで、更にベーグルに夢中になりました」

まめぞう
和素材×ベーグルで人気の専門店。「ケポベーグル」   出典:まめぞうさん

その土壌や歴史、文化など。様々な背景をもとに生まれたパンが世界にはたくさんある。ひのさんが感じ考える、ベーグルの魅力のひとつが、その食感だという。

 

「ベーグルとほかのパンとの一番の違いは、作り方。焼く前にゆでたり、スチームをたっぷり入れたりします。この工程によって、生地の表面に独特のハリともちもち感が出ます。噛み応えのある食感はそのままでもおいしいですが、サンドする具によって表情を変わるから飽きがこないのがいい。ニューヨークでは、その場でクリームチーズやサーモンなどと一緒にベーグルサンドにして販売しているお店を沢山みかけます。なお、ベーグルというと、ニューヨークを思い浮かべられる人が多いと思いますが、それはポーランド系ユダヤ人の移民の方々が広めたからと言われています」

ひのさんのおすすめ店&メニュー No. 1

ニューヨークスタイルを満喫できる「OZO ベーグル」

甘いもの大好き女子
出典:甘いもの大好き女子さん

「ニューヨークさながらの食感と味わいのベーグルを楽しめるベーグル専門店。お店で作られたフィリングもとてもおいしいので、サンドメニューも必食です」(ひのさん)

ひのさんのマストオーダー

OZOのチキンと細ネギクリームチーズサンドのベーグル

飯炊きの権助
出典:飯炊きの権助さん

「ネギとクリームチーズの組み合わせはあまり見かけませんが、ベーグルにとてもマッチするのでぜひためして欲しいフィリングのひとつ。ベーグルの種類が選べるのですが、私はエブリシングが好き。迷うようならお店のスタッフにおすすめを教えてもらいながらいろいろな組み合わせにチャレンジするのも楽しいですよ」(ひのさん)

日本でベーグルが愛され続けるワケ

一過性のトレンドではなく今もなお長く愛され続けるベーグル。その理由をひのさんに聞いてみた。

 

「もともと米文化の日本では、もちもちした食感の食べ物が好まれる傾向があります。ベーグルの持つ独特のもちっと食感が支持され、長く日本でも愛されているのかも知れませんね。また、和の食材とも好相性だったり、生地に抹茶を練り込んだりと、和のアレンジがきくのもきっと理由のひとつですね」

ひのさんのおすすめ店&メニュー No. 2

和素材を使ったベーグルといえばここ!「ケポベーグルズ」

まめぞう
出典:まめぞうさん

「和素材を使ったベーグルを得意とするお店です。ここでしか食べられない、アイデアあふれるオリジナルメニューは、自分で楽しむだけでなくギフトやパーティのおもたせとしても大活躍。“カンバセーションベーグル”として、会話がはずむはずです」(ひのさん)

ひのさんのマストオーダー

ケポベーグルズの黒豆もちベーグル

アコタン
出典:アコタンさん

「和の素材を使ったもちもちベーグルは、黒豆のほのかな甘さがアクセント。ほかにも野沢菜やきなこを使ったベーグルもおすすめ。“和ベーグル”を食べ比べてみるのもいいですね」

次は何がくる? 知っておきたい、ベーグルのネクストトレンド

専門店も増える一方、パン屋にも欠かせないスタンダードメニューとして“お茶の間”に浸透したベーグル。パンの楽しみ方が多様化するなか、知っておきたいベーグルのトレンドについて、ひのさんに先読みしてもらった。

 

「ベーグルメロンパンや、ベーグルドーナツといったハイブリットタイプに注目しています。チアシードなどのスーパーフードを混ぜ込んだベーグルや、米粉を使用したものなど、今後も様々なスタイルが登場するでしょう。また、通販で販売している地方のベーグルショップも多く、受付と同時に売り切れる人気店もあるなど、購入ルートの広がりも止まりません。選択肢が多すぎて、どれを食べていいのか迷ってしまうけれど、このバリエーションの豊かさというか“七変化”なところこそが、ベーグルの魅力。気分やシチュエーションに合わせて、探して食べ比べてみて」

ひのさんのおすすめ店&メニュー No. 3

専門店ならではのバリエーションを楽しめる「マルイチベーグル」

ココア-Tokyo
出典:ココア-Tokyoさん

「東京における、ベーグル専門店の草分け的存在の人気店。白金高輪に移転後もお客さんが絶えません! できあがったベーグルサンドをくるくると薄紙で包んで、そこに商品名を書いてくれる“ライブ感”や親しみやすい雰囲気も、ニューヨークのベーグルショップに来たようなワクワク感があります」(ひのさん)

ひのさんのマストオーダー

マルイチのエブリシングでタマゴサンドとポテトサラダサンド

*あんこ*
出典:*あんこ*さん

「ベーグルの種類が豊富でいつも迷ってしまいます(笑)。サンドメニューは具材を2種類選べます。おすすめは、定番のタマゴとポテトサラダのコンビ。シンプルだけにごまかしのない、しっかりしたおいしさがベーグルの生地をさらに引き立てます。一度はお試しあれ!」

PROFILE

ひの・ようこ

〈こんがりパンだパンクラブ〉主宰。〈ベッカライ徳多朗〉のミルクフランスでパンに開眼。そこから来る日も来る日もパン、というパン生活が始まり、気づけば、それを生業とするパンコーディネーターに。現在も1日3食パン。家でごはんを炊くことはない。月に1回、クラブでパンの試食会を行っている。