ファッション誌『mer』や『mina』などで活躍するモデルでありながら、豪快な飲み方がなんとも男らしい! お酒好きを公言するモデル・村田倫子が、気になる飲み屋をパトロールする連載。

 

「同世代の人にもっと外食、外飲みを楽しんで欲しい!」と願いを込めてお送りする連載15回目は、気になる銘柄がずらり揃う日本酒と、創作和食料理が人気の東京・目黒の人気店「酒嚢飯袋」をパトロールします。

呑み屋パトロール vol.15「日本酒の秘密基地みたいな小料理屋で満腹な夜の巻」

JR線・目黒駅から目と鼻の先。呑み屋がひしめくビルの2階で、ひときわ活気溢れるお店「酒嚢飯袋 (しゅのうはんたい)」。笑顔が素敵な若いオーナーが、ひとりで切り盛りされています。

 

全16席。コの字形の客席が心地よい店内

カウンターの上部を覆うメニューたち

 

カウンターの天井まで続くメニューを見上げていると、「うちでは、8割くらいの方がおまかせでオーダーされますよ」と、オーナー直々のオススメに、まずは大好きな日本酒で乾杯したい! とリクエスト。

 

ここは、日本酒の種類も豊富! メニューにあるものはもちろん、オーナーに好みを伝えれば、裏メニューも出てきたり……!?

 

「フルーティで香り豊かなものを」と伝えると、「とっておきがありますよ」と、にやっとしながら注いでくれたのは、いきなりの裏メニュー「星泉(ほしいずみ)」です。

 

 

この銘柄は、初めまして。くうううう。

 

 

香り立つフルーティさに仄かな甘みが、シャンパンのようです。期待値以上のものを振舞われると、参ってしまいますね。美味しい!

 

そして食事は、シメのご飯までついてくる「Food おまかせ(4皿+飯)」2,300円 をオーダー。まず運ばれてきたのは、「前菜盛り合わせ」です。

 

 

内容は、いぶりがっこ、クリームチーズ、味付け卵、イチゴとチーズと生ハム、トロたくのカナッペ、モナカでサンドしたポテトサラダ、新玉ねぎとホタルイカのマリネ……なかなかニューな組み合わせです。

 

 

秋にはイチゴが柿になったりと、旬によってレパートリーは変わるのだとか。なんて柔軟でセンスよいラインアップ。新しい表現に、食材たちも生き生きしているように見えます。

 

ここで早くも、日本酒のグラスもすっかり空。次もオーナー推しのものをオーダーすると、「これはすごいですよ」と、大事に抱えて持ってきてくれたのは「Ohmine Junmai(おおみね じゅんまい)」。

 

 

2010年に、50年以上休眠状態だった大嶺酒造を復活させ、リニューアルした注目の日本酒だそうです。ちなみに、こちらも裏メニュー。「あ、もう……。すきです!」ちょっとここ、銘柄日本酒の秘密倉庫なのでは?

 

お次は色鮮やかな「生野菜盛り合わせ」。

 

 

見たことない野菜……と思いきや、実は人参(写真上、柚味噌マヨをディップしたスティック状の野菜)。人参といえば、私たちにとってはオレンジ色が一般的ですが、実はその色は人為的なもの。本来の色はこちら(紫色)なんですって。

 

実は人参の甘みが苦手な私ですが、ここの子たちは飾ってない自然な甘みでポリポリと食べられました。添えられた柚味噌マヨとの相性も抜群です。

 

3品目は、「ぬか漬けさんま焼き」。

 

青魚好きにはたまらないチョイス。ぬかに漬けられ旨味がぎゅいんと詰まったさんまは、ずるいほどに濃厚。これはお酒が進みますよ……。

 

ひとり一尾ずつというのも気前が良い。前菜の時点から思っていましたが、この「おまかせコース」お得すぎます。

 

美味しいに比例して、日本酒に伸びる手も捗ります……。

 

 

(エンジンがかかってしまい、この日はかなり呑んでしまいました……)次々と私の日本酒リストがアップデートされていきます。大収穫な夜です!

 

さぁて、最後は「大山どりの手羽先」! なんと、さんまに続きダブルメインコースです。

 

 

オリジナルの甘辛ダレにチーズが相まって、タレが手につくのもおかまいなし。無心にしゃぶりつく。

 

あぁ、なんだろう、この絶妙な味加減。センスのよさってこういうことなんだなと。ちょっとした工夫とアイディアで、知っているはずのものにドキドキする。すごい。

 

シメは、お待ちかねの「海鮮わっぱ飯」。

 

 

「宝石箱や〜!」と思わず叫びたくなります。

 

イクラ、マグロ、いぶりがっこ、紅しょうが、しょうが、シラス、大根の葉と、彩り豊か。そのままでも文句なしの美味しさですが、とろろと溶き卵を注いで、山椒もちょびっとのせて……もう、たまらんのぅ……。

 

 

はぁ、大満足です。独創的な食材の組み合わせ。視界に飛び込んできた瞬間から、胸が高鳴り、お腹も鳴る。うむ、すごいぞ酒嚢飯袋。

 

「いや、うちなーんも特別なことないっすよ、そんな取材なんて……」と、何度も繰り返す、とても腰の低いお洒落すぎるオーナー。

 

 

「これ、どうですかね?」と、私好みの日本酒をぴたっと提案してくれたり、メニューのポリシーを、雑学を交えて教えてくれたり、帰りも出口まで見送ってくれたり……そういうところですよ。

 

 

お客さんを最大限にもてなす姿勢と笑顔。そこがたまらなくて、嬉しくて、あったかくて、みんなまたこの店に帰ってくるんだろうな。

文:村田倫子